2024年3月下旬
平地の落葉した二次林で、ニホンアナグマ(Meles anakuma)が冬眠している営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。
長期連載している記事ですが、アナグマの死という大事件を先にお伝えした後で、話は数日前の出来事に戻ります。
どうしてそんなややこしく時間軸を行ったり来たりしてブログを書くのかというと、アナグマがいつどこで死んだのか、分からないからです。
アナグマ営巣地で監視カメラに写ったホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の(いつもとは違う)行動から推理するしかありません。
シーン1:3/24・午後12:14・晴れ・気温22℃(@0:00〜)
よく晴れた昼下がりに、 タヌキaが右からセットにやって来ました。
落葉したミズキ灌木の根元に伏せると、全く動かなくなりました。
日向ぼっこしながら昼寝を始めたようです。
林床の残雪は完全に溶けていました。
シーン2:3/24・午後12:18・晴れ・気温23℃(@0:19〜)
3分後、もう1頭のタヌキbが合流していました。
(巣穴Rから外に出てきた直後かもしれません。)
昼寝していた個体aは立ち上がって出迎えたものの、再び元の場所(ミズキの下)に戻って昼寝を再開。
後から来た個体bは少し林内に入ってから横になり(横臥)、昼寝を始めました。
シーン3:3/24・午後12:51・晴れ・気温21℃(@1:19〜)
タヌキの♀♂番 は30分以上もぐっすり昼寝して、動きがなかったようです。
ようやく目覚めた個体♀aが立ち上がると、巣口Rに顔を突っ込んで点検してから、再び元の場所に戻って昼寝を再開。
その間、♂bは横臥の体勢から顔を少し上げて、パートナー♀aの様子を見ています。
これ以降の行動で、性別が判明します。(個体aは♀で、個体bが♂)
【考察】
タヌキの♀♂ペアが気持ち良さそうに日光浴していました。
実は、この二次林で日向ぼっこができるのは、早春の時期が最適かもしれません。
夏には樹冠に葉が鬱蒼と生い茂って日差しがほとんど遮られ、林床は昼間でも薄暗くなるからです。
近所のタヌキがアナグマの営巣地でこれほどリラックスして長時間過ごしたのは初めてです。
明らかに我が物顔で長居しています。
死んだふり(擬死)ではない本当の「狸寝入り」を初めて見ることが出来ました。
私の予想では、この時点ですでに巣穴の主のアナグマは死んでいて、タヌキの♀♂ペアがアナグマの巣穴を乗っ取ったのではないかと思います。
空き巣になったからタヌキ♀♂がこれ幸いと引っ越してきたのか、それとも冬眠中のアナグマから力づくで奪い取ったのか、不明です。
タヌキが「同じ穴の狢 」であるアナグマを殺したとは考えにくいのですが、死因については何とも言えません(迷宮入り)。
ちなみに、私がアナグマの死骸を営巣地の端で発見したのが3日後の3/27です。
新鮮な死骸ではなく、かなり日数が経っていて一部はスカベンジャーに食われかけていました。
その日の晩からアナグマ死骸をタヌキが本格的に食べ始めました。
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