2021年5月上旬・午後15:10頃・晴れ
春のリンゴ園をあちこち見て回ると、リンゴの木の下に設置されたマメコバチ(Osmia cornifrons)の巣箱を観察しやすい場所を新たに見つけました。
▼前回の記事: リンゴ園でヨシ筒の巣に出入りするマメコバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】
果樹園の敷地内に立ち入らなくても横の公道から撮影が可能です。
この日はもうリンゴの花が萎れかけていて、受粉を媒介する訪花昆虫(送粉者)の姿はほとんど見当たりませんでした。
(クマバチのリンゴ訪花シーンを撮り損ねました。)
切り揃えたヨシの茎を大量に束ねたネスト・トラップをプラスチックの箱の中に水平に収納しています。
巣箱が雨で濡れないようにする屋根は簡易的で、ビニールシートを無造作に被せてあるだけでした。
これを園内に設置しておくだけで多数のマメコバチが勝手に営巣してくれ、春の受粉期に大活躍するのです。
斜めにカットしたヨシ筒束の切り口がマメコバチの巣口になっています。
その手前で多数の小さな蜂が忙しなく飛び回っていました。
肉眼では蜂の動きが早過ぎて何が起こっているのか分かりませんから、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみましょう。(@0:45〜)
すると、巣箱の周囲で群飛している個体のほとんどが雄蜂♂であることが判明。
マメコバチの雄蜂♂は体型がほっそりしていて触角がやや長く、頭楯に白い毛が密生しているのが特徴です。
つまり、この群飛は雄蜂♂が交尾相手の処女♀を探索する探雌飛翔でした。
マメコバチもおそらく♂成虫が♀よりも早く羽化する雄性先熟なのでしょう。
・♂が♀よりもやや早く羽化を始める現象をプロタンドリー(protandry;雄性先熟)・1年で1世代しか過ごさず、決まった季節に蛹から羽化してきて数週間の配偶行動を経て産卵を終えるというタイプの昆虫は、♂が♀よりも早く羽化する(プロタンドリー現象) 渡辺守『チョウの生態「学」始末』より引用
♂はヨシ筒束の巣口から羽化してくる未交尾♀を近くで待ち構えて、見つけた♂が早いもの勝ちで交尾するのでしょう。
マメコバチ♂は巣箱の手前でひたすらホバリング(停空飛翔)しています。
♂同士の縄張り争いや空中戦は全く見られませんでした。
(空中で軽く衝突して墜落することがたまにありました。)
ときどきヨシ筒に着陸して潜り込む雄蜂♂も見受けられました。
しばらくすると外に出てきて、再び探雌飛翔を続けます。
羽化直後の処女♀と巣内で交尾したとしても、このアングルではおそらく見えないでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿