微速度撮影したので200倍速の早回し映像をご覧ください。
白い絹糸を口から吐いて周囲の葉を綴り合わそうとしています。
三田村敏正『繭ハンドブック』によると、ナシケンモンは
餌植物の葉を綴って繭を作る。(中略)繭層は非常に薄く、中の蛹が透けて見える。(中略)繭全体が葉でくるまれていることもある。 (p61より引用)ところが巣作りが遅々として進まず、休んでいる時間の方が長いです。
寄生されていない正常個体の営繭行動を私は未だ観察したことがないのですが、もしかすると、オトシブミのように葉裏から葉脈に噛み傷を付けて萎れさせ、巣材を加工しやすくしているのか?と初めは思ったりしました。
ベニバナボロギクの葉がみるみる萎れていくのは、至近距離から照明を当てているためのようです。
対策として、途中で花瓶の水を追加しました。
ナシケンモンの幼虫は自身の体の周りの葉裏に辛うじて少量の絹糸を張り巡らしただけで動かなくなりました。
あまりにも異例尽くめなので、この時点になると体内寄生されてることを確信しました。
絹糸腺は寄主の生存に不可欠な器官ではありませんから、おそらく寄生蜂の幼虫にほとんど食われてしまい、巣作りや営繭に必要な絹糸を吐けなくなったのでしょう。
この個体の徘徊運動がギクシャクとぎこちないのは前からですが、葉裏に静止している間もピクピクと不規則に蠕動しています。
筋肉組織や運動神経系も寄生蜂の幼虫にどんどん食い荒らされているのでしょう。
体内寄生虫が寄主の行動を操作して自らの生存に都合の良い構造物(巣)を作らせる「延長された表現型」の事例はいくつか知られています。
しかし、今回の観察例もそうなのかどうかは疑問です。
せいぜい、寄主が力尽きる前に全身を植物にしっかり固定させているぐらいだと思います。
比較のために、寄生されていない正常個体の営繭行動を観察するのが次の宿題です。
↑【おまけの映像】
同じ素材で早回し速度を半分の100倍速に落とした動画をブログ限定で公開します。
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