2012/04/18

キジ♂の縄張り宣言と母衣打ち♪を声紋解析してみる【野鳥】



2012年4月上旬・気温3℃


日の出直後の早朝に♂のキジPhasianus versicolorが早春の残雪を歩いてこちらにやって来ました。
雪原で立ち止まり辺りを油断なく見回します。
蹴爪が鋭いですね。
少し歩くと断続的に縄張り宣言の示威行動を三回披露してくれました。
合間に少し羽繕い。
実は遠くで別の♂が鳴いている声がかすかに聞こえます。
ライバルのアピールを耳にすると、この♂は対抗心を剥き出しにします。
伸び上がるようにケンケーン♪と鳴いてから激しい羽ばたき(母衣打ち、ほろ打ち、ドラミング)とワンセットで行います。
♂は木霊のように互いに鳴き交わし縄張りを宣言します。
雉も鳴かずば撮られまい。


声紋解析
この動画の音声を声紋解析してみました。
第一声の縄張り宣言を抜き出したスペクトログラムがこちら。
ケンケーン♪という爆発的で力強い雄叫びとそれに続く母衣打ち(ドラミング)が声紋に現れています。



データの高周波数域に不自然な上限(~15500Hz)があるのは、内蔵マイクの性能がいまいち悪いせいか、カメラの仕様で音声をAC3形式(lossy codec)で非可逆圧縮しながら録音したせいで非可聴域の情報が失われたと思われます。
動画撮影の際に音声だけ非圧縮(または可逆圧縮)で録音できるオプションがあると良いのですが。

そしてこちらが第二声のスペクトログラム。




最後の第三声。


こうして並べて見ると、特徴的な声紋パターンに再現性がありますね。

【参考】
『野鳥を録る』p205に掲載された声紋の例では、キジがケンケン鳴いた声の後、0.3秒間に4回翼を体に打ちつけてドドドと低い音を出していることが読み取れます。

声紋として可視化する利点の一つとして、このように時間を計って正確にカウントすることが出来るのです。



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