2022年8月上旬・午後14:15頃・晴れ
山中の泉に落ちたセンチコガネ(Phelotrupes laevistriatus)が水面でもがいていました。
(泳ぐ能力を調べるようと池に放り込んで実験した訳ではなく、偶然の観察記録です。)
陸生のセンチコガネの足には水掻き用の毛が密生していないので、泳ぎは下手糞です。
水面でいくら手足を動かしても前に進みません。
水中に沈まないのは、浮力があるというよりも、表面張力が強く働いている印象です。
関連記事(同日の撮影)▶ オオセンチコガネ♂の水難事故2.5時間前に別の場所で観察したオオセンチコガネが水溜りで水没していたのと対象的です。
センチコガネの体表はオオセンチコガネよりも撥水性が高いのでしょうか?
里山の湧き水(地下水)が溜まっている浅い泉で日当たりの良い場所の水中には緑の藻が少し繁茂しています。
池に落ちたセンチコガネの足に緑藻が絡まっているのかと思ったのですが、私の勘違いでした。
水面に広がる波紋を感知したアメンボ(種名不詳)が数匹近寄って来ました。
センチコガネに触れたものの、獲物として襲うことはなくアメンボは離れて行きました。
体格差があるので獲物として手強いとアメンボが判断したのか、それとも体表が鎧のような硬いクチクラで覆われている甲虫にはアメンボの口吻が突き刺さらないのでしょう。
このままでは岸に辿り着けないまま溺れそうなので、センチコガネを救出してやりました。
池にアメンボ以外の捕食者(カエルなど)がいれば、そのまま成り行きを見守ったかもしれません。
夕方に水浴しに来る野鳥が水面のセンチコガネを見つけて捕食するシーンがトレイルカメラに撮れたかな?
「お魚観察ケース」で池の水ごとセンチコガネをすくってやると、水温が低いので透明プラスチック容器の表面がすぐに結露してしまいます。
水滴を拭いても拭いてもすぐに曇ってしまい、容器越しの撮影は諦めました。
容器側面に定規の目盛が刻んであったのに、ピントが合わずセンチコガネを採寸できませんでした。
後で落ち着いて考えれば、水を捨ててからじっくり撮影するべきでしたね。
水に洗剤(界面活性剤)を垂らしてセンチコガネが水没すれば、表面張力で浮いている説が実証されたことになるでしょう。
この日は山中で溜め糞が見つからなかったので、センチコガネも家に持ち帰って飼育してみます。
(溜め糞があれば、拾った糞虫を放って行動を観察するつもりでした。)
この個体の性別は?
さて、同じ日に糞虫(オオセンチコガネおよびセンチコガネ)の水難事故を2件も目撃したのは果たして偶然でしょうか?
現場付近を探しても、糞虫を誘引する獣糞は落ちていませんでした。
水に落ちる瞬間を見ていないのですが、岸辺を歩いていてうっかり池に落ちてしまったのか、それとも飛来したセンチコガネが池の眩しい水面を地面と見間違えて無謀な着陸をしたのでしょうか?
昆虫採集の特殊なテクニックのひとつに、イエローパントラップ(黄色水盤)という方法があります。
水を入れた皿を野外に放置しておくと、飛来した昆虫の中にはなぜか勝手に水に飛び込んでしまう者がいて、抜け出せなくなるのだそうです。
黄色の皿を使うのが最も効果的らしい。(黄色に誘引される)
今回の池には緑藻が少し繁茂しており、飛んできた虫には水面が黄色っぽく見えそうです。
しかしネット検索してみても、黄色水盤で糞虫がよく採れるという情報は得られませんでした。
虫好きの教養として知っているだけで、自分で実際に試したことはありません。
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