2025/12/09

ザクロの果実を食べかけで捨てたのは誰のしわざ?【フィールドサイン】


2024年9月下旬・午後14:00頃・くもり 

山麓を流れる水路沿いの小径にザクロの果実が落ちて粉々に割れていました。 
周囲にザクロの木は生えていません。
近所の民家の庭木から何者かが果実を持ち去り、少し味見してから捨てたようです。 
私が真っ先に疑ったのはニホンザルです。
山里に頻繁に出没する猿たちの食べ残しだろうと予想しました。
「ニホンザル採食植物リスト」のPDFを参照すると、ザクロが含まれていました。
三戸幸久. ニホンザル採食植物リスト. Asian paleoprimatology, 2002, 2: 89-113.
ただし、食べたのが果実なのか葉なのか肝心の情報が記述されていません。
元の文献は、金森研究室『愛知県内のニホンザルの現状(1990)』とのことですが、原典まで辿り着けませんでしt。


最近になって、ツキノワグマの可能性もあると知りました。 


庭に植栽されたザクロの木をトレイルカメラで監視して、秋に果実を食べに来る野鳥や野生動物の証拠映像を撮ってみたいものです。
テンやハクビシンなども怪しいと睨んでいます。
また、ザクロは鳥媒花らしいので、初夏に咲く花でヒヨドリやメジロなどの鳥が吸蜜する代わりに授粉を媒介する様子も観察してみたいものです。


【考察】
いつものように、Perplexity AIに謎解きのブレインストーミングの相手になってもらいました。
ザクロは中東から西南アジアを原産国とする外来種で、日本の山林には自生しません。

ザクロの果実は厳密には典型的な漿果ではないものの、液果状の特異な多肉果なのだそうです。
果実の外側は厚く比較的硬い外果皮(革質)で覆われ、その内部に多数の種子が詰まり、それぞれが多汁な仮種皮(sarcotesta)に包まれています。​
このように「果皮の一部が多汁で、種子周囲が食用となる」という点で、広義の液果=多肉果の一種と扱われ、「液果状」と表現されることが多いです。

ザクロの種子は動物散布(被食散布)が主な散布様式と考えられます。
たとえ鳥や獣に果実を食べられなかったとしても、ザクロの母樹から運ばれて遠くに捨てられた今回の事例は、動物散布型の種子散布に半ば成功しているとみなせます。





↑【おまけの動画】
「シマリスがザクロを食す/Chipmunk is eating a pomegranate」 by Bikke the chip シマリスと暮らす さん 

私が期待したような野生シマリスの生態動画ではなく、飼育個体にザクロの実を給餌した様子を撮った映像でした。
本州にシマリスは生息しませんが、ニホンリスが山里の庭まで降りてきてザクロを食べていたら面白いですね。
リスがザクロの果実を丸ごと持ち去って貯食するのは、重すぎて無理な気がします。
そもそも、長期保存の可能な堅果しかリスは貯食しないはずです。


 

↑「ザクロとメジロ (4K) / pomegranate and Japanese White-eye」by 1890 atrsさん 

野鳥のメジロが開裂した果実から多汁な果肉(ではなく正確には仮種皮)に包まれた種子を嘴で1粒ずつ取り出して、次々と丸呑みしています。 
しかしザクロの果実を丸ごと咥えて運ぶのは、重過ぎて非力なメジロには無理でしょう。 
ヒヨドリも果実食性ですが、体格が中型なのでザクロの小さな実しか運べないはずです。 



 

 ↑「ヒヨドリとザクロの実 秋冬 かわいい 好物 庭に来る野鳥 茶色のほっぺ 定点カメラ 留鳥 bulbul and pomegranate」 by ふわはるな さん 

開裂したザクロの果実を庭で給餌した様子を定点カメラで撮影しておられます。
ヒヨドリはメジロと同様にザクロの種子を1個ずつ食べている(丸呑み)だけで、果実を丸ごと持ち去ろうとはしていません。

ヒヨドリよりも大型のカラスなら、ザクロの果実を丸ごと咥えて運ぶのも可能かもしれません。



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