2023年4月中旬・午後14:10頃・晴れ
春の里山で人気のない山道を私が静かに下っていると、前方の茂みから鋭い鼻息がします。
2頭のニホンカモシカ(Capricornis crispus)が寄り添うように並び、藪の陰からこちらを振り返っていました。
私の方が少し高所から見下ろす位置関係になっています。
手前に居る個体は額の毛が茶色で角が発達していることから、成獣と分かります。
その後ろに居る個体は額も含めて全体的に白っぽい毛皮で、角は短く細いことから、幼獣と分かります。
つまり、この2頭は親子でした。
カモシカの性別を外見で見分けるのはほとんど不可能なのですが、普通に考えれば母親♀が我が子(幼獣)を連れて歩いている可能性が高いはずです。
幼獣の白っぽい毛皮は、雪国の冬山では目立たない保護色になっています。
しかしこの時期は里山の残雪がもうほとんど溶け去り、山の落葉樹も若葉が芽吹き始めていました。
カモシカは視力が悪いので、私がじっと撮影していると警戒を解いて私に背を向けました。(斜面の谷側に向き直った。)
それでも耳はこちらに向けたままで、私の立てる物音に油断なく耳を澄ませています。
左の母親♀がゆっくり先導し、続いて幼獣も一緒に斜面を下って行きました。
つづら折れの山道は完全に雪解けした後で、周囲はスギと雑木の混交林です。
そのまま動画を撮りながら、逃げたカモシカ親子を追跡してみます。
山道の日陰には所々、わずかに残雪ありました。
スギの落ち葉を踏みしめる足音をなるべく忍ばせて進みます。
すると私の足音に反応して、カモシカがフシュ♪と鼻息を荒げる音が右下から聞こえました。
ニホンカモシカの母子はつづら折れの山道をショートカット(近道)したようで、また再会できました。
カモシカも立ち止まって私を見上げています。
今度は見通しよく見下ろせます。
母親♀は横目で私を睨みながら腹立たしげに前足を軽く踏み鳴らしました。
これも威嚇の行動ですが、地面に落ち葉が深く積もっているため、蹄の音が響かず迫力がありません。
続けて、鼻息を荒らげて威嚇してきました。
母親♀がためらいがちに逃げ出すと、幼獣もついて行きます。
最後は鼻息を荒らげながら斜面を駆け下りました。
姿を見失ってもしばらくはフシュフシュ♪という鼻息が聞こえました。
この間、幼獣は一度も鼻息威嚇をしませんでした。
自分で鼻息を荒げるようになったら、一人前(成長した証)なのかもしれません。
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