2020年7月中旬・午後15:10頃・くもり
民家の庭でアケビの蔓棚に見慣れない防鳥グッズがぶら下がっていました。
蔓棚で育つアケビの未熟果を野鳥や動物の食害から守るための工夫なのでしょう。
プラスチック製の赤くて細長い螺旋状のオブジェが糸で吊り下げられていて、風が吹くとクルクルと回ります。
調べてみると、「鳥よけ棒」という名前で色とりどりの商品が売られていました。
鳥よけ棒の両側には、片面が銀色に光るCD-ROMを糸でぶら下げていました。
回転の仕方が鳥よけ棒とCDは違うので、併用することで鳥に慣れが生じないようにする効果がありそうです。
※ 動画編集時のミスで無音になってしまいました。
風の音が無いと雰囲気が伝わりませんね。
しかし、そもそもアケビの実を食害する野鳥がいるのでしょうか?
候補としてはヒヨドリやカラスなどが考えられそうです。
アケビの実は熟しても赤く色づかないので、種子散布に鳥はあまり当てにしていない気がします。
むしろ哺乳類に種子散布してもらいたいはずです。
『種子散布:助け合いの進化論〈2〉動物たちがつくる森』によると、
種子がヌルヌルした甘い果実に包まれているのは、歯のある哺乳類に食べられても種子が破壊されずに丸呑みしてもらうための適応。(p111より引用)これはまさにアケビに当てはまる特徴です。
タヌキやハクビシンなどの野生動物が民家の庭に忍び込んでアケビの実を盗み食いするのかな?
さすがにニホンザルはこんな街なかに出没しないはずです。
wikipediaでは、アケビ果実の種子散布戦略について次のように説明しています。
成熟した果実の果皮は心皮の合着線で縦に裂開し、内部に乳白色で柔らかい果肉(胎座)と、そこに埋もれた多数の黒い粒状の種子を裸出する[7]。種子は黒色の径5 - 6ミリメートル (mm) の偏楕円形で、エライオソームがつく[6]。この胎座の部分は甘くて可食でき[7]、様々な鳥類や哺乳類に食べられて[6]、種子散布に寄与する。また、アケビの種子の周囲にエライオソームが付いていることから、アリによっても種子散布されると考えられます。
アケビを巡る生態学だけでも今後撮影してみたい多くの題材があります。
もしかすると、鳥よけ棒やCDは必ずしも蔓棚のアケビ果実を食害から守るために設置したのではなくて、周囲の家庭菜園の作物を守るためかもしれません。
【追記】
飯島正広『野生動物撮影ガイドブック: 機材選びから撮影テクニック、動物の探し方まで』というハウツー本を読んでいたら、アケビの実を食べに来たらしいヤマネの見事な生態写真がp119に掲載されていました。
ただし今回の撮影現場は郊外の住宅地なので、ヤマネが生息しているとは考えにくいです。
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