2015年9月下旬
郊外の脇道で1羽のハシボソガラス(Corvus corone)が半分に割れたオニグルミの実を嘴に咥えていました。
クルミの堅果を舗装路に投げ落として割った直後のようです。
地面に埋めて貯食しようとしていたのかもしれません。
カメラを向けている私に警戒したカラスaはクルミを咥えたまま芝生から飛び立ち、低空飛行で逃げました。
仲間の近くに降り立つと(計3羽:三羽烏の群れ)採食を開始。
奥の路上にクルミを置くと、カラスaが半分に割れたクルミの実を足で押さえつけながらコツコツと啄んでいます。
食べ残しを路上に放置して仲間のもとへ歩き始めると、別個体のカラスbが駆け寄って来ました。
3羽の中でこの一羽だけがクルミの実を持っていません。
するとカラスaはカラスbに盗まれないように慌ててクルミの実を拾い直しました。
少し離れた位置で採食を再開。
争ってクルミの実を強奪することはありませんでした。(仲間に襲われそうになったらカラスaはクルミを持って飛んで逃げてしまうでしょう)
横取りされるのが嫌なら独りでこっそり食べても良さそうなのに、わざわざ見せびらかすのはちょっと意地悪な行動にも見えます。
自分で捨てておきながら誰かが欲しがると急に惜しくなる(独占欲)というのはヒトの子供の喧嘩を見ているようで、微笑ましく思いました。
もしカラスbが若鳥だとしたら、採餌法を教育しているのかな?と想像したりしました。
なんとなくカラスbの行動は以前観察した雛が餌をねだる行動の名残のような気がしました。
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巣立ち雛に給餌するハシボソガラスの家族群(野鳥)ただし、今回この距離では遠過ぎて若鳥かどうか、口の中の色を見分けられません。
カラスaは再びクルミを手放し、歩き去りました。
その間、左奥でもう一羽のカラスcが同様にクルミの実を食事中ですけど、建物の死角でよく見えません。
この後でカラスbが忍び寄ってカラスaの食べ残しを入手できたかどうか、興味深いところです。
しかし、こうした一連のドラマに気づいたのは後で映像を見直してからで、撮影中の私は全く気づかずにすぐ飽きてしまい、撮影を終了してしまいました。
もう少しだけ粘って撮るべきだった…と後悔しても後の祭りです。
カラスがクルミの堅い殻を割るために空中から投げ落として舗装路に叩きつけたり走って来る車に轢かせたりする賢い行動が話題になります。
こうした高度な採餌行動はおそらく仲間(親世代)の真似をして学習し、群れに広まった文化だと思われます。
ところが、私がこれまで何回か撮影したカラスのクルミ割り行動は全て単独行動でした。
今回群れの行動が「固いクルミの実はこうやって割って食べるんだよ。後は自分でやりなさい。」という教育を垣間見れたのだとしたら、ミッシングリンクに近づいたかもしれません。
賢いカラスは仲間に教育してやろうという意識がなくても、結果としてお手本になっているということもありそうです。
「教育」以外で何かもっとふさわしい用語が思いつきません。
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