2015年5月中旬・深夜23:48〜23:55頃(室温25℃、湿度50%)
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交尾中のノシメマダラメイガ♀♂(蛾:結合部のアップ)
ノシメマダラメイガの飼育記録#5
ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)♂による求愛行動を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。容器の蓋として張ったサランラップの裏に静止した♀がコーリングしています。
♀が腹端の誘引腺(側胞)から放出した性フェロモンに反応した♂が下から飛び上がってきたり、激しく羽ばたきながら歩いて背後から♀に接近したりします。
♀が♂を気に入ると方向転換して、顔を♂と向かい合わせました。
♂は激しく羽ばたきながら腹端を持ち上げ、海老反り姿勢で交尾を試みます。
しかし交尾器を上手く連結できませんでした。
残念ながら求愛が成就して交尾に至るシーンは撮れていません。
撮れたのは交尾未遂シーンばかりで、♂は毎回諦めてしまいます。
【参考文献】で学んだことを箇条書きに。
桑原保正. "メイガ科昆虫の性フェロモンに関する研究." (1971).(全文PDF)
- 性フェロモンに曝した場合に♂蛾が示す代表的な3行動は、バタツキ行動(翅を特徴的に振動させる)、定位行動、および誘引行動。
- callingを行っている♀蛾に♂が誘引され、♀の尾端に接近すると♀蛾が半回転して♂と向い合い、その後交尾が行われる。
- ♀が積極的に配偶行動に加わり、接近する♂を半回転して待ち受ける種(スジマダラメイガ、ノシメマダラメイガ、チャマダラメイガ)には、その♂にwing glandが存在する。一方、求愛されても♀が全く動かないスジコナマダラメイガでは、その♂はwing glandを欠く。
- 交尾を試みるノシメマダラメイガ♂のwing glandがドイツ語Borstentrichterの意味(漏斗状の剛毛)通りに、漏斗状に開いていることが観察できる。通常の歩行および飛翔時には、これはたたみこまれており、♂蛾がフェロモンを感知し、性的に興奮し、♀蛾に誘引され、♀蛾に接近した時、はじめて♂蛾はwing glandを開く。
- ノシメマダラメイガについて、wing glandは、ツヅリガ類の場合ほど、交尾行動に重要性をもっていないかもしれない。
ハイスピード動画(1/8倍速のスローモーション)でも求愛している♂のwing glandがどうなっているのか、その状態がよく分かりませんでした。
静止画の写真を撮る(瞬間を切り取る)しかなさそうです。
背側から撮らないと見えないのかな?
つづく→#6:♀の残り香で性的に興奮するノシメマダラメイガ♂(蛾)
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