2015年5月下旬
ヒオドシチョウの飼育記録#1
水辺(湿地帯)に生えたオノエヤナギの木で葉を集団食害するヒオドシチョウ(Nymphalis xanthomelas japonica)の幼虫を2箇所から採集してきました。帰宅途中で落としてしまったようで、残る幼虫は4頭でした。
全て終齢幼虫だったことが後に判明します。
早速、一緒に採集してきた柳の枝を水差しにして飼育開始。
ヒオドシチョウ幼虫の食餌シーンは野外で去年、散々撮ってきました。(接写、微速度撮影など)
そこで今年は目先を変えて、夜食を摂るシーンを赤外線の暗視動画に撮ってみました。
夜になっても(22:02 pm、室温23℃、湿度43%)食欲旺盛で柳の枝葉を徘徊し、葉を蚕食しています。
ところで、ヒオドシチョウの幼虫を採集した際に、あの恐ろしげな棘状突起が指で触れても全く痛くないことに気づき、とても意外でした。
なんか「騙された!」と思いました。
イラガ幼虫など、触ると激痛が走る毛虫に擬態しているのでしょうか?
心理的なブラフ(こけおどし)の効果は抜群かもしれませんが、痛くないことがばれたら鳥なんか平気で捕食しそうです。
天敵(捕食者)に対する防御効果は実際にどうなのか?と不思議に思っていたところ、毛虫の毛の意味について「生きもの写真家 安田 守の自然観察な日々」さんのブログでタイムリーな記事を見つけました。
その中で興味深い論文を紹介していました。
全文PDFをダウンロードして読んでみると、非常に興味深かったです。
Sugiura, Shinji, and Kazuo Yamazaki. "Caterpillar hair as a physical barrier against invertebrate predators." Behavioral Ecology 25.4 (2014): 975-983.ヒオドシチョウ幼虫の棘状突起を見て個人的に思うことは、飛来する寄生蜂やヤドリバエ♀が体に着陸できないようにして、少しでも寄生産卵を妨げるために発達したのではないか?という気がします。
鳥に対しては例えば実際にニワトリに与えてみて、防御効果を調べる実験ができそうです。
つづく→#2:夜に排便するヒオドシチョウ終齢幼虫【暗視映像】
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