2024年10月中旬
イチョウの種子は被食型の動物散布で分布を広げることが知られています。
私が調べたタヌキの溜め糞場でも秋になるとイチョウの種子が未消化のまま含まれていました。
イチョウの熟した果肉(正確には外種皮)からは酪酸由来の糞便のような独特の酷い悪臭がしますが、種子散布者となる野生動物の興味を引くためだと考えられています。
野生動物がイチョウの落果を丸呑みにして食べるシーンを撮るのが次の目標です。
しかし、人通りの多いイチョウ並木の下にトレイルカメラを設置するのは無理そうです。
そこで、ちょっとした給餌実験をして、イチョウの種子散布を調べてみることにします。
シーン1:10/10・午後13:17・晴れ・気温24℃(@0:00〜)
シーン1:10/10・午後13:55・晴れ・気温26℃(@0:04〜)
平地の二次林にあるニホンアナグマ(Meles anakuma)の営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。
イチョウ並木の下に熟して落ちていた果実、銀杏 を道中で6個だけ拾い集めてきました。
(ちなみに、まだ黄葉していませんでした。)
アナグマの巣口L、Rの中間地点にひとまとめにした銀杏を置いてみました。
ここはホンドタヌキも頻繁に通う獣道にもなっています。
給餌した銀杏をタヌキやアナグマが食べてくれるかな?
この二次林にイチョウの木は全く生えていません。
シーン2:10/12・午後16:38・晴れ・気温19℃(@0:12〜)
2日後、営巣地に侵入したタヌキを追い払うために巣穴Lから出てきたアナグマ(前の記事を参照)が、セットをうろついています。
ようやく私が給餌した臭い銀杏を嗅ぎ当てました。
興味津々のアナグマが鼻先を付けて銀杏の匂いを嗅ごうとすると、地面で銀杏(イチョウの熟果)が転がってしまいます。
しかし、結局アナグマは銀杏を食べませんでした。
シーン3:10/12・午後16:38(@1:12〜)
別アングルで設置した監視カメラは、薄暮のためモノクロで録画していました。
残念ながら、ギンナンを給餌した地点が、手前のミズキ枯木の陰になって見えません。
アナグマが銀杏(イチョウ落果)の匂いを長々と嗅ぎながら鼻先で転がしたものの、食べず仕舞いでした。
シーン4:10/12・午後16:56(@1:51〜)
約20分後に、アナグマが再び銀杏の匂いを嗅ぎに来ました。
地面に転がっていたイチョウの落果を見つけると、前脚で押さえながら食べようとしましたが、やはり食べませんでした。
しばらくすると、別個体のアナグマが巣穴Lの入口から外に出てきました。
個体識別ができていませんが、この2頭は親子(母子)なのかな?
給餌場に後から合流した個体も、ギンナンの匂いを嗅いだだけで、やっぱり食べませんでした。
シーン5:10/21・午後16:56・晴れ・19℃(@2:52〜)
シーン5:10/21・午後13:18・晴れ・18℃(@3:03〜)
給餌期間を終えた現場の様子です。
給餌した銀杏(イチョウ落果)が少し散らばっていたものの、食べられないまま残っていました。
イチョウの果肉には天然の防腐剤が含まれているのか、カビが生えたり腐ったりもしていませんでした。
異臭を嫌ってアナグマが銀杏を土で埋めることもありませんでした。
我々ヒトのように単純な糞便臭と誤認する訳ではないようで、銀杏の上に自らの排泄物(糞尿)でマーキングすることはありませんでした。
【考察】
当地のアナグマは銀杏(イチョウ熟果)の強烈な匂いが気になるようですが、2頭とも食べませんでした。
私の知る限り、この辺りでイチョウの木は次々に伐採されて雄株しか残っていません。
もしかすると当地のアナグマは銀杏(イチョウの果実)を見るのも匂いを嗅ぐのも初めてなのかもしれません。
やはりイチョウの種子散布者の本命は、アナグマではなくタヌキなのでしょう。
つづく→
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