2023年4月中旬〜下旬
二次林にあるニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の営巣地に設置したトレイルカメラの映像記録です。
当時は何が起きているのかよく分からなかった雑多な動画をまとめただけです。
今になって見返すとアナグマの性別がなんとか見分けられるようになり、少し解釈できるようになりました。
シーン1:4/13・午後23:54・(@0:00〜)
真夜中に1頭のアナグマ♂が奥の巣穴Lの周囲をうろついています。
巣口Lを覗き込んだものの、中には入らず左に立ち去りました。
しばらくすると、左から戻ってきました。
手前の巣穴Rに近づいたところで1分間の録画終了。
シーン2:4/14・午前0:38・(@1:00〜)
日付が変わった深夜にアナグマ♀が奥からセットに戻って来ました。
この♀個体(若い♂かも?)は左右の目の大きさに違いはなく、正常に見えます。
この個体がヘルパー(前年に生まれた子供)で、左右の目の大きさが違う♀が母親だと考えています。
どうやらこの営巣地(セット)には、少なくとも2頭の♀が住んでいるようです。
手前の巣穴Rにしっかり入巣したものの、後退して(巣内の土を掻き出しながら?)再び外に出てきました。
巣口Rを改修
巣口Rの近くで座り込み、体を曲げて痒いところを甘噛みしています。(毛繕い)
シーン3:4/14・午前0:53・(@1:53〜)
奥の巣穴Lの周囲をひたすら徘徊しているのは、ヘルパー♀かな?
シーン4:4/20・午前3:38・(@2:31〜)
夜這いに来た♂がセットの奥をうろついています。
右の二次林に入ってしばらくすると、戻ってきました。
手前の巣穴Rを覗き込むだけで入巣せず、すごすごと右へ引き返しました。
このときは巣内の♀が♂を撃退しませんでした。
シーン5:4/20・午前3:40・(@3:20〜)
♂が巣口LR付近の地面の匂いを嗅ぎ回り、ひたすらウロウロしています。
シーン6:4/20・午前4:01・(@3:59〜)
画面中央の林縁で♂が毛繕いしているようですが、手前の枝葉の陰でよく見えません。
右奥の二次林の林縁をぶらついています。
シーン7:4/20・午前4:04・(@4:27〜)
左奥に立ち去りました。
シーン8:4/20・午前4:05・(@4:38〜)
画面中央奥の林縁で♂が何か(採食?)しています。
右の林縁からセットを見守ります。
夜明け前の記録はここまでになります。
シーン9:4/20・午後23:08・(@5:00〜)
深夜に現れた♂が左奥のエリアを徘徊しています。
立ち止まって身震い。
奥の巣穴Lに侵入を試みたものの、諦めて左に立ち去りました。
シーン10:4/21・午前2:49・(@5:42〜)
日付が変わった未明に奥の獣道から♂が♀のセットに現れました。
今回は巣口LRには近づかず、未練がましくセットに周囲をうろついています。
シーン11:4/21・午前2:51・(@6:38〜)
いつの間にか♂が回り込んで手前の巣穴Rに近づいて来ます。
入巣Rしないで右の二次林に立ち去りました。
その後、右の死角から♂が求愛する鳴き声が聞こえます。(@6:54〜)
いわゆる「じぇじぇじぇビーム」です。
♂が独特の求愛声を発しながら、右下から戻ってきて、♀の巣穴Rに近づきます。
残念ながら、ここで録画が打ち切られていました。
金子弥生『里山の暮らすアナグマたち:フィールドワーカーと野生動物』には「音声によるコミュニケーション」と題した章があり、少し参考になりました。
アナグマが音声によるコミュニケーションについても豊富なバリエーションを持っていることはあまり知られていない。 (p66より引用)ニホンアナグマでも、私の知る限り、ヨーロッパアナグマで報告されている唸り声、威嚇音、遠吠えは存在する。さらに交尾のときに♂が巣穴の前で♀を呼ぶ「ジジジジ…ジジジジ…」というささやき声もある。(p67〜68より引用)
アナグマの配偶行動について最も参考になったのは、福田幸広『アナグマはクマではありません』です。
日本各地でアナグマの恋を観察しましたが、恋の季節はすんでいる地域によって少し違うようです。2月下旬ぐらいから始まり、4月中旬頃から下旬までに終わるようです。♂は♀よりも広い範囲を行動圏としていて、1頭の♂の行動圏の中には複数の♀が生活しています。♂は♀よりひと足早く冬眠から目覚めて、自分の行動圏内にある巣穴を見て回り、♀の冬眠場所を特定するようです。♀は冬眠から覚めて少しすると巣穴で出産します。驚くことに出産後すぐに発情して交尾が始まります。(p50より引用)
※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。
今回は右の茂みが邪魔で、白飛びしています。
今のところはトレイルカメラの設置アングルを試行錯誤しているところです。
これから初夏にかけて巣穴の周囲の灌木に葉が生い茂ると、ますます観察しにくくなることが予想されるので、それまでになんとかしないといけません。
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