2023年2月上旬〜中旬
里山を流れる沢の水の侵食作用により、V字状の深い渓谷が形成された場所があります。
両岸の険しい崖を野生のニホンカモシカ(Capricornis crispus)が登り降りして沢を渡り縄張りを行き来していることが、夏は地面に残る蹄の跡から読み取れます。
雪が積もった冬も渡河したカモシカの足跡が雪面に残ります。
「義経の鵯越の逆落し」のような光景が繰り広げられているようです。
この険しい崖を登り降りして渓谷を渡る野生動物を動画で記録したいという構想をずっと温めていたのですが、現場はトレイルカメラを非常に設置しにくい場所でした。(草木がわんさか生い茂る夏は特に)
雪に埋もれた渓谷の対岸は少し遠いので、暗視カメラの赤外線が届かないかもしれないと思いましたが、駄目元でやってみると、意外にもちゃんとした映像が撮れて大満足。
冒頭のシーン(2/8夜)で対岸の雪面に写っている足跡は、前日にスノーシューを履いて渓谷を渡った私の足跡です。
その手前にクレバスのように見える黒い地形が深い渓谷で、画面の左上から右下に向かって沢が流れています。
積雪期に対岸に渡ろうとしたら、切り立った崖から飛び降りてから、雪深い急斜面を登り直す必要があります。
雪質は凍っていないフカフカの深雪なので、アイスクライミングのようなスキルは不要です。
私の場合は履いていたスノーシューを脱いで壺足のキックステップで崖を登り降りできました。
(クレバスや雪庇、雪崩など雪山の危険性について知識のない人は真似しないでください。)
一夜明けた昼間の映像では、新雪で私の足跡がほとんど掻き消されていました。
本題は(@0:20〜)からです。
いよいよ夜行性のニホンカモシカが現れました。
対岸の雪原をラッセルしながら渓谷に来た跡が暗視映像でもくっきり見えます。
残念ながらトレイルカメラの起動が遅れ、クレバス(沢)を渡る様子は撮れていませんでした。
雪国の野生動物は厚い皮下脂肪と体毛で断熱性が高く、体温が体表に達しなくてセンサーが感知しにくいのかもしれません。
サーモグラフィカメラで撮れば確かめられるはずです。
渓谷沿いの急斜面をラッセルしながら斜めに登って来ます。
登り切ったカモシカが右下隅にちらっと写りました。
残りは同じトレイルカメラが記録したおまけの定点映像です。
激しい風揺れや吹雪、落雪によって頻繁に誤作動してしまうのです。
これでも低山なのですけど、雪山の変わりやすい天候や雪景色をお楽しみください。
崖の上に立つスギ大木にカメラを固定したところ、常緑の枝葉に降り積もった雪の塊がときどきドサッと落ちる瞬間が何度も記録されていました。
↑【おまけの動画】
カモシカの登場シーンだけを抜粋した短い動画をブログ限定で公開しておきます。
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