2022年7月下旬・午後12:15頃・くもり
里山の山道を登り始めたら、ムネアカオオアリ(Camponotus obscuripes)の行列と出会いました。
白い幼虫(蛹?)を咥えて運んでいるワーカー♀が行列に混じっているので、初めは奴隷狩りかと思いました。
「ムネアカオオアリは奴隷狩りする習性があったっけ?」と混乱しつつ観察を続けると、同種の成虫を口で咥えて運んでいる個体もいました。
それでようやく、引っ越し中のコロニーなのだと判明しました。
関連記事(11年前の撮影)▶ 仲間の成虫を咥えて引越しするムネアカオオアリ
仲間(幼い妹)を運ぶのは大型のワーカー♀の仕事のようです。
空荷で歩く個体は何も持たずに身一つで引っ越しするのか、それとも随伴護衛を務めているのかな?
行列を逆行する個体と出会うと、触角で挨拶するだけですれ違います。
微小の白い卵を口に咥えて運んでいる個体も動画にちらっと写りました。
運んでいる白くて大きな物体が幼虫なのか繭なのか、マクロレンズでしっかり接写すべきでした。
ムネアカオオアリの幼虫は繭になるので、裸の蛹を運ばないはずです。
白い幼虫の一端に見える黒い点は、終齢幼虫の口器なのか、それとも蛹化前に排泄した糞なのかな?
白くて太った幼虫を運ぶ個体に注目して接写しようとしたら、砂利を踏む私の足音に驚いて引き返してしまいました(行列を逆行)。
草の根際に隠れるように静止しています。
アリの引っ越し作業を邪魔しないように望遠マクロに戻しました。
運ばれていくアリ成虫の胸が赤いかどうか、見下ろすアングルでは確認しにくかったです。
マクロレンズを装着して、横からじっくり接写すべきでしたが、先を急ぐ用事のあった私は億劫で横着してしまいました。
成虫運搬のシーンのみ1/5倍速のスローモーションに加工しました。
直後に等倍速でリプレイ。
ムネアカオオアリの成虫同士が互いに大顎で噛み合って運んでいました。
赤色が薄い羽化したばかりの若い個体を運搬してあげているのでしょう。
若い成虫は自力で遠くまで歩くのも未だ覚束ないのかな?
古川晴男『蟻の結婚』第9章アリの引越し によると、
アリは仲間の働き蟻を口に咥えて運ぶことがある。これは社会生活をするハチ類等に絶対見られないことである。(中略)運んでもらう方のアリは親虫に成り立ての若いものが多いようである。運ぶ方のアリが仲間を咥えようとすると、運ばれる方のアリは脚を縮めたりして相手が運びやすいように気を配るのである。 仲間の体をもつ持ち上げ方は種類によって多少形式が違っている。ヤマアリ類やオオアリ類では、運ぶものは自分の大腮で運ばれるものの大腮を咥え、運ばれる方は髭と足を縮めて腹側と腹側が向き合うような姿勢で運ばれて行くのである。 (p182より引用)【ムネアカオオアリ飼育日記 2】ついに働きアリが羽化 ネット検索で見つけたブログサイトによると、
胸から腹部前方にかけて赤いのがムネアカオオアリの特徴ですが、羽化して間もない働きアリはその色が薄く、薄いオレンジ色に見えます。
行列の源流を突き止めようと遡ると、山道を少し登ってから、路肩の法面に生えた枯れ草(イネ科)の上をムネアカオオアリが乗り越えていました。
最後は藪の中に見失ってしまいました。
ムネアカオオアリは森林性で木の腐朽部に営巣するそうです。
逆に、行列の下流を辿ってムネアカオオアリの新しい巣を探すべきでしたね。
9日後に現場の山道を再訪したときには、当然ながらアリの行列は無くなっていました。
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