2014年8月中旬
里山の尾根道が広場のように広くなった地面で2匹の巨大なヤマナメクジ(Incilaria fruhstorferi)が巴のマークのような体勢で交尾していました。
明け方に降った小雨で雑木林の林床が濡れていたのがナメクジには好適な条件だったようです。
朝日が昇ると落ち葉がどんどん乾いていきます。(午前中に撮影)
慌てて三脚を立てて微速度撮影してみました。
50倍速の早回し映像でご覧ください。
ご存知のようにナメクジは雌雄同体で、生殖器は頭の横にあります。
肉眼ではじっとしているようでも早回し映像で見ると、白い精子嚢が波打っています。
体の上部右側(生殖口の下)にある呼吸口も開閉していました。
交尾するまで互いにグルグルと回りながら周囲を這い回ったのでしょうか、カピカピに乾いた透明の粘液がシート状に残されていました。
この粘液はアリ避け効果がありそうです。(どこか本で読んだかも?)
交尾中のナメクジは無防備なので、アリに襲われないよう何か対策していても不思議ではありません。
カメラのバッテリーが今にも切れそうでヒヤヒヤしましたが、無事に交尾を終えたペアは同じ方向に移動を始めました。
採寸のために15cm定規を並べて置きました。
(このシーンだけ10倍速映像ですけど、移動速度も求められるはずです。)
次に機会があれば2匹のナメクジが出会って交尾を始めるまでの過程を微速度撮影してみたいものです。
6年前に出会ったときには生憎、三脚を持参しておらず微速度撮影できませんでした。
それ以来ずっと待ち続けて、ようやくチャンスが巡ってきました。
▼関連記事【追記】
ヤマナメクジの交尾
岩波科学ライブラリー『ナメクジの言い分』p53によると、
交合のときは、互いに呼吸孔から陰茎を反転させながら押し出す。相手の呼吸孔から生殖孔へと挿入された陰茎は、受精嚢に精子の塊を放出する。この塊を精包という。受精嚢ではしばらく精包の形で預かり、ここから精子の一部が取り出され、自分の卵子と受精させ、受精卵を産むのである。
【追記2】
松尾亮太『考えるナメクジ ―人間をしのぐ驚異の脳機能』によれば、
うんちも生殖器も体の右側から出てくるのは、ナメクジを含む腹足類の受精卵が「らせん卵割」という方式で卵割しながら発生することにより生じる、体の左右非対称性を反映しているものと思われます。(p34より引用)
おまけの映像
同じ素材で早回しの速度を変えたバージョンをブログ限定で公開します。
どれを見て最も心地よく感じるかは人によって違うかもしれません。
↑30倍速映像
↑10倍速映像
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