2022年10月上旬および11月上旬
野外でときどき、植物の葉がずっと揺れ続けているのを見かけることがあります。
風が吹いて植物の群落全体がザワザワと揺れるのは珍しくありませんが、枝葉の中で1枚だけ(あるいはごく小数)揺れるのが気になります。
幼少時はこれを見て不気味に思ったり怖かったりしたのですが、この現象は自励振動と呼ばれます。
葉柄に弾性があるために、力が加わると振動するのですが、ある角度で一定の微風を与えると振動が減衰しなくなります。
一定のリズムで強弱をつけた風が吹いている訳ではないという点がポイントです(非振動入力が振動に変換される)。
理屈が分かれば何も怖くありません。
自励振動の動画を撮り溜めたら面白そうと思い、野外で見かけたら撮るようにし始めました。
まだサンプル数が少ないので偶然かもしれませんが、イタヤカエデの葉がよく自励振動するようです。
シーン1:10月上旬
峠道の横に自生するイタヤカエデの木で、枝先についた緑の葉の1枚だけが規則正しく左右に振動しています。
この1枚だけ、受風面の角度が自励振動の発生条件に合致しているのでしょう。
その葉には、虫食い穴(食痕)がありました。
シーン2:11月上旬
1ヶ月後、山中で(スギ林の林縁で)黄葉したイタヤカエデが秋風に吹かれて自励振動していました。
枝についたままの黄葉の中で、特定の数枚だけ規則的に揺れ続けています。
イタヤカエデの葉は特に自励振動しやすい形状なのでしょうか?
おそらくそうではなくて、色々な向きに葉が付いているために、どれかは風の向きに同期してしまうのでしょう。
他の植物でも自励振動する例を今後も動画で記録してみるつもりです。
子供の頃に昔話や民話を読んでいたら、葉っぱの自励振動現象を引き起こす妖怪が登場したと記憶しています。
今となってはその妖怪の名前を思い出せず、ネット検索しても出てきません。
何かご存知の方(民俗学者?)がいらっしゃいましたら、教えてください。
科学が未発達な時代でも、不思議なことがあったら何らかの説明をしないと納得できず不安になります。
民俗学的あるいは宗教学的な説明というのは、不安解消のために必要だったのでしょう。
例えば、皮膚がいつの間にか切れているのに血も出ないという謎の怪奇現象を説明するのに、「かまいたち(鎌鼬)」という想像上の妖怪を作り出したのは秀逸だと思います。
▲解説動画
【身近な科学】地縛霊のせい?勝手に揺れる葉っぱの秘密を解説!【自励振動】 / 米村でんじろう[公式]/science experiments
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