2011年10月下旬・室温20℃
9日前に羽化して以来、クワコ(Bombyx mandarina)成虫♀aの飼育を続けています。
飼うと言っても、クワコ成虫の口器は完全に退化しているので餌も水もやらずに大きめのプラスチック容器にただ閉じ込めておくだけです。
求愛交尾を観察したかったので、もう一つの繭b(終齢幼虫が一日遅れで繭を紡いだ)から成虫♂が羽化するのを期待して待ちました。
ところが、待てど暮らせど二頭目は羽化してくれません。
残念ながら蛹内で変態に失敗したのか寄生されていたと思われます。
【追記】12月上旬、羽化してこないクワコ繭bを切り開いてみたところ、寄生ではなく蛹化異常でした。放置している9日間に、容器内で虚しく性フェロモンを放出したクワコ♀aは未交尾のまま、止り木として入れておいた割り箸に計85個、プラスチック容器内のあちこちに計41個の未受精卵を産み付けていました。
「産ませてよ!」
産卵基質として割り箸だけでは気の毒に思い、幼虫の食餌植物である桑の葉を採集してきました。
飼育容器の蓋を開けて桑の葉をそっと差し出すと、クワコ♀は驚いたのか飛んで逃げました。
品種改良(家畜化)されたカイコとは違い、原産種である野生のクワコは飛ぶことが出来ます。
室内の座布団に止まると、直ちに腹部を曲げて黄土色の無精卵を産み始めました。
せっかく採って来た桑の葉が無駄になりましたけど、座布団の方が観察しやすいので、予定を変更してそのまま見守ることにしました。
(映像はここから。)
カイコの本で読んだ通り、産卵基質の選択は無頓着のようです。
青い座布団の布地は絹…ではなく化繊で、1マス約3.5mmの網目になっています(映像から採寸するのに好都合)。
産卵の合間にときどき羽ばたいたり少し移動したりしました。
ときどき休憩するものの、クワコ♀の翅や体にそっと触れたり刺激すると慌てたように産卵を再開しました。
次々に産み付けて卵塊を作りますが、特に几帳面に(規則的に)卵を並べたりはしないようです。
映像の前半は10倍速の早回し映像をお届けします。
後半は側面から産卵管を接写しました。
腹端にうまく照明を当てるのに苦労しました。
(座布団の下に鏡を置いて照明を反射させました。)
つづく→シリーズ#6