2023年3月下旬・午後12:25頃・晴れ
この冬の目標は、ニホンカモシカ(Capricornis crispus)の溜め糞場を見つけることです。
雪山に登る度に足跡を辿ってみたのですが、一度限りの脱糞跡しか見つかりませんでした。
関連記事(2ヶ月前の撮影)▶ 雪山で見つけたニホンカモシカの立小便跡と糞粒【アニマルトラッキング・フィールドサイン】
里はもう雪がほとんど溶けて早春ですが、入山すると未だ残雪が深いです。
雪崩に埋もれた渓谷を監視するトレイルカメラの様子を見に来たら、隣接するスギの植林地で大量のカモシカの糞を雪面に見つけました。
これまで気づかなかったということは、溶けた雪の下からカモシカの古い糞が現れたのでしょうか?
ザラメ状の雪面にはスギの落葉落枝が散乱しています。
カモシカの足跡は不明瞭でした。
スギの木の下で少しずつ位置をずらしながら、カモシカは少なくとも3〜4回は排便していました。
冬は糞虫やハエなどの分解者が全く活動しないので、野生動物が排泄した糞は溜まる一方です。
ニホンカモシカの新鮮な糞粒はつやつやした真っ黒ではなく、緑色がかっています。
ユキツバキやエゾユズリハなど何か常緑樹の灌木の葉を食べた後なのでしょう。
古い糞粒は褐色(茶色)になります。
採寸代わりに、熊よけスプレー(長さ20cm)をそれぞれの溜め糞の横に並べて置きました。
カモシカが本当に排便しに通ってくるかどうか確認するために、早速ここにトレイルカメラを設置してみましょう。
ニホンカモシカは基本的に群れを作らず単独で暮らしています。
タヌキのように複数個体が溜め糞場srを共有しているのか、それとも同一個体が繰り返し使っているのか、という点にとりわけ興味があります。
雪崩谷が危険で渡れなくなったので、立ち往生したカモシカが縄張りの境界に排便するようになったのかもしれません。
関連記事(1、2ヶ月前の撮影)▶
もしかすると、カモシカはここで寝ている(塒 )かもしれない、という可能性も考えられます。
カモシカの排泄行動は、小便する様子を実際に観察したことがあります。
排便シーンが未見なので、なんとか自動センサーカメラで撮影してみたいものです。
【追記】
フィールドで俵状の黒っぽい糞粒を見かけたら、無条件にカモシカの糞だと思ってもこれまでは問題ありませんでした。
多雪地帯の当地では シカは基本的に越冬できません。
雪のない季節に、ごくまれにトレイルカメラにシカの姿がちらっと写っているだけです。
しかし近年は温暖化が進行し、当地にもシカがいつ本格的に進出してくるか、予断を許さない状況になりました。
つまりシカの糞と見分けられるようにしておく必要が出てきました。
大町山岳博物館『カモシカ:氷河期を生きた動物』という本によれば、
糞については、カモシカとシカとで違いがあるので紹介しておこう。シカもカモシカも同じように粒状の糞をし、その数は両種とも1日におよそ1000粒にもなる。ところがシカの方は1回に100粒ほどを10回ほどに分けて出すのに対して、カモシカの方は、1日に3回ほど、1回に300粒もの糞をまとめてする。つまり、シカが小出しなのに対して、カモシカはまとめ出しをする。また、シカがどこでもおかまいなしに排泄するのに対して、カモシカは行動圏の隅など決まった場所に排泄し、溜まった糞が小山のようになることも少なくない。 (p38〜39より引用)
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