2020年12月上旬・くもり
里山の山腹で、とある落葉樹の枝に見慣れない黄色くて丸い実が多数なっていました。
蔓植物ツルウメモドキの未熟果にしては実の付き方が不自然です。
枝に塊状に局在しているため寄生植物のヤドリギかな?と思ったものの、ヤドリギの葉は確か常緑で冬でも青々と葉が茂っているはずです。
今回見つけた寄生植物は、なぜこれほど葉が少ないのか、不思議でなりません。
栄養を葉の光合成に頼らない寄生植物は、葉が少なくても(ほとんど無くても)これほど大量の実を作れるのかな?
寄主(宿主)となった樹木は完全に落葉していましたが、ハンノキと判明しました。
来春に咲く花序の冬芽と熟した果穂が枝に残っています。
山渓ハンディ図鑑『樹に咲く花―離弁花〈1〉』という本格的な植物図鑑で調べてみたら、ヤドリギの次にホザキヤドリギ(穂咲き宿り木)という別種の植物が掲載されていました。(p362)
「中部地方以北に分布し、ヤドリギの仲間ではもっとも寒冷地に適応した種類」らしく、寄主植物のリストにハンノキが含まれていました。
果実は液果で、10〜11月に淡黄色に熟すのだそうです。
更にインターネット検索で調べると、常緑のヤドリギ(ビャクダン科)と異なり、ホザキヤドリギ(オオバヤドリギ科)は冬に落葉するのが特徴なのだと知りました。
科レベルで違う別種なのに、寄生植物としてここまで収斂進化するとは驚きです。
謎の寄生植物の正体がずっと分からず、気になったまま春まで放置していました。
すぐに調べてホザキヤドリギと知れば、冬の間に定点観察に通って、鳥が熟果を食べに来る様子(鳥による種子散布)を観察したかったです。
見つけた日は辺りに鳥を1羽も見かけませんでした。
果実が赤く熟すまで鳥は食べに来ないのかと思ったら、ホザキヤドリギは黄色が熟果の色なのだそうです。
せめて樹の下に黄色い落果を拾いに行って、果肉に粘り気があることを確認すべきでしたね。
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