2023年11月中旬・午後14:25頃・くもり
街なかを流れる川で上流から飛来したハシボソガラス(Corvus corone)が、川面から何か小さな物を器用に掬い上げて右岸に着陸しました。
(映像はここから。)
コンクリートブロックで護岸された堤防を歩き回るカラスが嘴に咥えていたのは、オニグルミの堅果でした。
直前の行動を想像すると、ハシボソガラスが運搬中のクルミを川にうっかり落としてしまい、それを取り戻したのかもしれません。
オニグルミの木は水辺に自生していますから、枝から川に落ちた堅果が川上からドンブラコと流れてきて、それをカラスが拾ったのでしょうか?
(オニグルミの堅果は水に浮きます。)
コンクリートブロックの上に長い年月を経てわずかに堆積した土壌の中にカラスはクルミを浅く埋め込みました。
次に、周囲の落ち葉を穴に詰め込んで隠蔽しました。
食料の乏しい冬に備えて、秋のうちからせっせと蓄えているのです。
貯食作業を終えたハシボソガラスは、辺りをキョロキョロ見回してから堤防をトコトコ歩いて登ると、どこかに飛び去りました。
後日お腹が空いたら、埋めたクルミを掘り出して回収し、投げ落とし法で硬い殻を割り、美味しい中身を食べることになります。
実は貯食作業の一部始終を別個体のカラスが近くで見ていました。(映像なし)
直後にその別個体が貯食物(隠したオニグルミ堅果)をちゃっかり盗むかな?と予想したものの、何も行動を起こしませんでした。
おそらくこの2羽は縄張りを共有する♀♂番 で、貯食物を盗み合うような関係ではないのでしょう。
もしもライバルのカラスに見られていると気づいた場合は、貯食作業を中断して、別な場所にこっそり隠し直すはずです。
オニグルミの種子は重力散布、水流散布、貯食型の動物散布と何段階も経て母樹から遠くに散布され、分布を広げます。
今回カラスは半分に割った食べかけのクルミではなく丸ごと地中に埋めたので、もし食べ忘れたらオニグルミの種子散布に貢献したことになります。
しかし土壌が貧弱(浅い)な場所ですから、発芽してもしっかり根付いて成長するのは難しそうです。
ハシボソガラスがオニグルミ堅果を丸ごと隠す貯食行動を観察したのはこれが初めてです。
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