2018/11/04

クズの葉に噛みついた姿勢で朝の化粧をするクズハキリバチ♀



2018年8月中旬・午前6:39〜6:46

川沿いの堤防に繁茂するクズの群落で早朝からクズハキリバチ♀(Megachile pseudomonticola)を見つけました。
クズの葉縁を大顎で噛んでいたので、すわ巣材集めか!と喜び勇んで動画を撮り始めました。
私は未だハキリバチ類の♀が巣材集めに葉を切り取る行動を一度も見たことがないのです。
ところが観察してみると、時間をたっぷり掛けて朝の化粧をしただけでした。
もしかすると、夜はクズの葉縁を噛んだ体勢で寝ていて、たった今目覚めたばかりなのでしょうか?
たとえ巣作りをしている段階でも、夜になると母蜂は巣で寝るとは限りません。(巣とねぐらは違う概念です。)
夜眠る際に植物を大顎で噛んで体を固定する蜂が幾つか知られています。
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葉縁を大顎でしっかり噛みしめて体を固定し、両脚を擦り合わせています。
身繕いしながら頻繁に腹部をグイーンと背側に大きく曲げた謎の海老反り姿勢になります。
このときよく見えた腹部下面のスコパ(花粉刷毛)に花粉は付着していませんでした。

腹部背面(腹部第2背板後縁)に顕著な明色の毛帯が一瞬見えたので、クズハキリバチ♀と判明しました。
クズハキリバチ♀の腹部の刷毛は黒色だが前方は黄褐色とのことで、映像を見直すと確かにその通りでした。(『日本産ハナバチ図鑑』p319より)

飛び立つと少し離れた別の葛の葉に止まり直しました。
クズの葉縁にかすかに噛み跡(歯型)が残っています。
二度三度と場所を変えても、ひたすら身だしなみを整えています。
毎回クズの葉縁を噛んだ体勢になります。
脚が6本もあるのに、それを全部使って身繕いするために、大顎で体を固定するのでしょう。
実際に、身繕い中にバランスを崩しかけても、葉縁を噛んで体を固定していたおかげで滑落を免れました。

後半になるとようやく噛んでいたクズの葉を離し、頭部や触角を前脚で拭い始めました。
長い口吻を伸ばし、前脚を舐めて唾液で湿らせながら顔を念入りに洗っているようです。

もしかするとダニなど吸血性の寄生虫に体外寄生されていて体が痒くてたまらないのか?と心配になったのですが、少なくとも映像で見る限りではクズハキリバチ♀の体表に微小な赤ダニなどは集って居ませんでした。



最後は川の対岸へ元気よく飛び去ったのですが、撮り損ねました。
私が採集しようと決断した途端に殺気を感じたのか、逃げられました。

今回もなぜか葉切り行動はしてくれませんでした。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


クズハキリバチ♀@クズ葉縁噛み+身繕い
クズハキリバチ♀@クズ葉縁噛み+身繕い:海老反り
クズハキリバチ♀@クズ葉縁噛み+身繕い:海老反り
クズハキリバチ♀@クズ葉縁噛み+身繕い:脚上げ
クズハキリバチ♀@クズ葉縁噛み+身繕い

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