2023年11月上旬
シーン0:10/30・午後13:15頃・くもり(@0:00〜)
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。
山林の斜面を抜ける獣道でカラマツの根元の窪みに給餌場を設けてあります。
里山で拾い集めた大きさの不揃いなクリの堅果を右の餌場Rに50個並べて置きました。
左の餌場Lには5個のオニグルミ落果(果皮つき)をまとめて置きました。
シーン1:11/2・午前5:00頃(@0:04〜)日の出時刻は午前6:02
雨が降りしきる未明に右からツキノワグマ(Ursus thibetanus)が登場しました。
真っ黒な毛皮には枯葉の破片や小さなひっつき虫が付着しています。
通りすがりにカラマツの幹を見て、次に逆側のシナノキを見たら、トレイルカメラの存在に気づいたようです。
臆病なツキノワグマは、途端に慌てて左に逃走しました。
シーン2:11/6・午前4:00頃(@0:00〜)
4日後も未明にツキノワグマがやって来ました。
前回と同一個体なのかな?
林道から法面を登って来たらしく、画面の左下に後ろ姿が写っています。
左側の餌場Lにあるオニグルミ落果の匂いを嗅いでいました。
次は右側の餌場Rにも気づいて、クリ堅果の匂いを嗅いでいます。
今回もツキノワグマはクリの実(堅果)を全く食べなかったのが意外でした。
以前、クリ園でクマの糞を見つけたので、てっきりクリの実が大好きなのだと思っていました。
それとも、賢いクマは、何かの罠だと疑っているのかもしれません。
ヒト(私)や野ネズミの残り香が気に入らないのかな?
給餌場の付近にクリの木は自生しておらず、クリの実だけが地面に積まれてあるのは明らかに不自然です。
地面の匂いを嗅ぎながら、ゆっくりカメラの方へ向き直りました。
シナノキの幹に固定してあるトレイルカメラに興味を示し、頻りに匂いを嗅ぐ鼻息が聞こえます。
おかげで迫力満点の映像が至近距離から撮れました。
胸の白い三日月紋もちらっと見えました。
同一個体が通っているのかどうか、三日月紋で個体識別できるかもしれません。
熊の怪力でカメラを壊されずに済んで一安心。
斜面をトラバースするように右に歩き去ったと思いきや、またすぐに右から戻って来ました。
カラマツの幹の根元の匂いや餌場Rに置かれたクリ堅果の匂いを嗅ぎ回りました。
やはりクリを食べてくれずに左へ立ち去りました。
このときチラッとカメラに目線をくれたので、やはりトレイルカメラという異物の存在を警戒しているようです。
【考察】
やはりツキノワグマは夜明け前によく出没する(雨天決行)ようです。
トレイルカメラをもっと高所に設置していれば、クマに警戒されずクリの採食シーンを隠し撮りできたかもしれません。
給餌場に通う小さな野ネズミの行動を撮影するために、監視カメラをローアングルで設置していたのが仇となりました。
里で農作物を食い荒らしたり人身事故を引き起こしたりするツキノワグマに対して給餌する行為は問題視されるかもしれません。
私としては、野ネズミやリス、野鳥などを目当てに少量の餌を年に数回試供しているだけですし、現場は里からかなり離れた山中です。
記事のタイトルを「ツキノワグマは山中の給餌場でクリの実を食べるか?」としましたが、クマに給餌するのが私の主目的ではありません。
クマが餌場に立ち寄ったのはたまたまです。
私の個人的な給餌場でツキノワグマやニホンイノシシが食餌したことは(残念ながら)その後も一度もありません。
逆に、熊が里に降りてこなくても済むようにと、山中に「クマ用の畑」を自腹で設置している確信犯のヒトもいます。(『「クマの畑」をつくりました: 素人、クマ問題に挑戦中』)
つづく→
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