2019年8月下旬・午前11:20頃
道端に咲いたツユクサの群落でクロマルハナバチ(Bombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。
この組み合わせは初見でした。
ツユクサは「朝咲いた花が昼しぼむ」性質がありますから、午前中にフィールドに出ないと訪花昆虫の活動は見れないのでしょう。
クロマルハナバチ♀は後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を満載しています。
花から花へと忙しなく飛び回りますが、採餌ルートはさほどシステマチック(効率的)ではなく、ほぼランダムのように見えます。
花畑をなるべく無駄無く巡回した方が良いと思うのですが、マルハナバチは一度採餌した花を記憶したり目印を付けたりしているのでしょうか?
小さな脳でどうやって巡回セールスマン問題を解いているのでしょう?
花の直前でホバリング(停飛)しただけで着陸せずに飛び去ることも多い点が興味深く思いました。
雄蕊の花粉量を瞬時に吟味して、花粉が少ない花を敬遠しているのでしょう。
240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:25〜)
蜂がツユクサの花に着陸すると体重で茎が大きくしなります。
採餌中に花から滑落しても慌てずに空中ですぐに姿勢を立て直し、次の花へ飛んで行きます。(@7:02)
空中で両足を擦り合わせているものの、口吻は伸ばしていません。(吸蜜してないので当然ですね)
森田竜義・濁川朋也『花の性型の可塑性:雄花を咲かせるツユクサの不思議な性表現』によると、
ツユクサの花には蜜腺がない。訪花昆虫に報酬として提供するのは花粉のみということになる。
花粉報酬花と呼ばれるこの性質… (『花の自然史:美しさの進化学』第16章 p229より引用)
田中肇『昆虫の集まる花ハンドブック』でツユクサを調べると、
両性花。蜜はなく餌は花粉だけ。奥の3つの雄しべが偽花粉を出す。
偽の花粉をつくる花。花には3つのタイプの雄しべがあり、花の中心に3本ある最も派手で黄色い雄しべが偽花粉を作る。黄色は昆虫にとって餌のサイン。誘われてその雄しべをなめているうちに、花の前方に伸びている雄しべの本当の花粉を昆虫の尻につけるのだ。昆虫に気づかれないようにと、(受精能力がある)本当の花粉をつくる雄しべは地味だ。(p75より引用)
本書の解説でツユクサの主な送粉者は「ハナアブ・小形のハナバチ」を想定していますが、大型のクロマルハナバチも訪花していることが今回の観察で分かりました。
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ツユクサの花粉を舐めホバリングするホソヒラタアブ♀
クロマルハナバチ♀@ツユクサ訪花集粉 |
クロマルハナバチ♀@ツユクサ訪花+飛翔 |
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