2023年6月下旬・午前11:30頃・くもり
里山の整備が行き届いていない山道を冬に倒れた倒木が何本も塞いだまま放置されています。
重いザックを背負ったままで1本ずつ跨いで乗り越えるのが大変でした。
(登山客の往来がほとんどない廃道の方が、実は自然が多く残されていますから、私は廃道が結構好きです。)
ニホンカモシカがフシュ♪と鼻息を荒らげて威嚇する鳴き声を繰り返し聞いたものの、藪が密生していて姿を見つけられませんでした。
朽ちた倒木の端の上にこんもりと残されている新鮮な獣糞を見つけました。
倒木の樹種はスギ(またはアカマツ?)だと思います。
山中で倒木の上という目立つ場所(サインポスト)にあったことから、初めはホンドテン(Martes melampus melampus)の糞かと思いました。
しかし、形状がテンの糞とは明らかに違います。
植物質の餌を多く食べたようで、緑がかった色でした。
ゴマ粒大の未消化の種子が糞に含まれています。
どうやらニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の糞でした。
棒で獣糞をほぐして中身を探るなど、もう少し真面目に糞分析すれば、何を食べたのか(食性)より詳しく分かったはずです。
熊谷さとし、安田守『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』で調べると、
(サルの)フンは基本的にはいくつかの節に分かれた「モスラの幼虫」形だ。ただし、季節や食べ物により色や形にバリエーションがある。(中略)春夏に新芽や若葉を食べると、フンは緑色でやわらかく、節目がわかりにくくいソーセージ状。(p40より引用)同じ日の山行であちこちで見つけたニホンザルと思われる糞の写真(節目のある典型例)を最後に掲載しておきます。
長い倒木が山道を塞いでいたことから、群れと一緒に遊動中のニホンザルが丸木橋のように渡る途中で腰掛けて排便したのかもしれません。
山道の横は荒れたスギ植林地でした。
獣糞の横で私がじっとしていると、逃げていたハエが続々と糞に戻ってきました。
ほとんどが緑色の金属光沢に輝くキンバエの仲間(種名不詳)で、最大8匹が集まりました。
キンバエ間で求愛や交尾などの配偶行動は始まらず、獣糞を舐めて吸汁しているだけです。 (色気より食い気)
1匹だけキバネクロバエ(Mesembrina resplendens)も倒木上を歩いて獣糞に接近しました。
肉食性のサビハネカクシ(Ontholestes gracilis)が獣糞に集まるハエ類を狙って付け回しています。
しかしキンバエの方がすばしこくて、サビハネカクシが忍び寄る前に易々と飛んで逃げてしまいます。(ハエ狩りに失敗)
ムネアカオオアリ(Camponotus obscuripes)のワーカー♀も倒木上を歩いて来ました。
獲物を待ち伏せしているサビハネカクシにすばやく触れたものの、慌てて逃げ出しました。
ようやく獣糞に到着すると、触角で少し調べただけで離れて行きました。
その写真(節目のある典型例)を最後に掲載しておきます。
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