2023年7月上旬・午後12:20頃・くもり
里山の急峻な尾根道でホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が残したと思われる溜め糞場qをときどき定点観察しています。
この日は新鮮な糞が追加されていました。
タヌキの糞には、未消化の種子だけでなく獣毛も含まれていました。
ウグイス♂のさえずる鳴き声♪が聞こえます。
甲虫では、少なくとも3匹のアカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシ;Platydracus brevicornis)がタヌキの溜め糞場qに集まっていました。
肉食性なので、糞塊の上をうろついて近くのハエに襲いかかろうとしています。
しかしハエの方が反射神経でも敏捷性でも優れており、アカバトガリオオズハネカクシが近距離までにじり寄っても横歩きや後退りであっさり逃げてしまいます。
ハエ類は警戒を怠らず、肉食性ハネカクシから常に安全な距離を取りながら、吸汁しています。
アカバトガリオオズハネカクシの中には、獲物を追い回すのを諦めて、溜め糞上の小さな巣穴に潜り込んで獲物を待ち伏せする作戦に切り替えた個体もいます。
それでも狩りは失敗続きです。
三脚を立てて長時間じっくり動画撮影しないと、狩りの成功シーンを撮るのは難しそうです。
肉食性のハネカクシ類はハエの幼虫(蛆虫)も狩るはずなので、産卵前のハエ♀を追い払うのは得策ではないはずです。
関連記事(1年前の撮影)▶ 溜め糞に群がるキンバエ類を待ち伏せて狩ろうとするアカバトガリオオズハネカクシ
複数のアカバトガリオオズハネカクシが獲物を追い込んで挟み撃ちにする高度な協同作戦はしませんでした。
それどころか、アカバトガリオオズハネカクシ同士が出会う度に激しい喧嘩になります。
狩場を巡る縄張り争いがあるのでしょう。(占有行動)
アカバトガリオオズハネカクシ同士の喧嘩は初見です。
喧嘩は毎回一瞬で終わり、すぐに離れます。
相手構わず(獲物にも同種にも)襲いかかるということは、アカバトガリオオズハネカクシはよほど飢えていて殺気立っているのかな?
狩りに失敗続きのアカバトガリオオズハネカクシが苛々して同種に八つ当たり?
アカバトガリオオズハネカクシ同種間の闘争を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@3:08〜)
2匹が出会い頭に相手の大顎にすばやく噛み付きました。
大顎で噛み合いながら、やや小型の個体は腹部を前方に曲げて腹端を相手に向けました。
腹端にある一対の棘(正式名称は?)で相手の頭部を狙ってサソリのように攻撃するのでしょうか?
この行動は同種間の喧嘩で繰り返し見られましたが、スロー再生すると実際に相手を刺してはいませんでした。
腹端を相手に向けて排泄物や分泌物などを放出したようにも見えません。
したがって、ただの威嚇や儀式的な攻撃と考えられます。
ハネカクシの性別の見分け方を私は知らないのですが、もしかして♂が腹端の把握器で♀を確保しようとする配偶行動だったりしますかね?
大型個体も噛み合いながら少しだけ腹端を上に持ち上げていました。
喧嘩は一瞬で決着が付き、2匹は離れて行きます。
大型個体が常に勝利を収めるようで、小型個体が逃げ出します。
殺し合いではなく、ライバルを狩場から追い払いたいだけのようですが、逃げた相手もすぐにまた戻ってくるので埒が明きません。
アカバトガリオオズハネカクシが同種間で共食いする可能性もあるのでしょうか?
ラストシーンでは、獣糞の下の隠れ家から追い出された個体が振り返って反撃…したように見えました。
しかしスローモーションを何度も見直すと、横の落ち葉の下に潜んでいた別個体が糞塊の外に出てきた個体を攻撃していました。
(アカバトガリオオズハネカクシ3匹の喧嘩)
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