しかし手前に植林されたスギ林の樹高が高くて見えませんでした。
青々としたイネが一面に育つ広大な田園地帯で農道を歩き去る私の上空でノスリ(Buteo japonicus)が再び飛び始めました。
ところが今度は全く鳴かなくなりました。
夕方で風が強く、風切り音♪がうるさいのですが、ノスリの鳴き声は聞こえません。
私が営巣地から遠ざかったので、警戒声を発する必要がなくなったのでしょう。
個体識別できていないのですが、なんとなく同一個体のノスリではないかと思っています。
関連記事(数十分前の撮影)▶ 対人威嚇の波状飛翔ディスプレイを繰り返しながら鳴くノスリ(野鳥)私を威嚇するために繰り返していた鬼気迫る波状飛翔ディスプレイとは全く違い、リラックスして滑翔しています。
やがて、空中の一点に止まりながら激しく羽ばたくようになりました!(@0:27)
チョウゲンボウ風の停飛です。
激しく羽ばたいても頭部は動かさず、地上の獲物に狙いを付けているようです。
直後にスーッと軽く降下するも、獲物にアタックする急降下ではなく、滑翔に戻りました。
田んぼの上空を飛びながら獲物を探索しているのだと分かりました。(探餌飛翔)
ホバリングと降下を繰り返し、飛翔高度を少しずつ下げています。
関連記事(4年前の撮影)▶ 水田の上空でホバリングするノスリ(野鳥)場所をあちこち変えながら、再び水田の上空で停空飛翔(ホバリング)を繰り返しました。(@1:57、2:10)
いよいよ狩りのシーンが撮れるかと期待して見守ったのですが、残念ながらノスリは地上に急降下してくれませんでした。
『フィールドガイド日本の猛禽類vol.04ノスリ』を読み返すと、まさに観察した通りの記述がしてありました。
狩り Hunting 風が強い日ほど飛びながら獲物を探すことがよくあり、その際には停空飛翔をする。(中略)獲物を見つけたノスリは段階的に下降しては体勢を整え直すことで徐々に獲物に近づき、最後は落下するように地面に向かって急降下していく。風の強い日にノスリが翼を少し折り曲げ、尾を巧みにあやつって農耕地や山林の上空一点にピタリと浮いて探餌する姿は、夏に本種のいない西日本の大部分の地域では冬の風物詩といえる景色であろう。 (p4〜5より引用)翼の下面がようやく順光で見えて、白地に黒い前縁紋があったことからノスリと確定しました。(@1:39、2:35、3:15)
後半になると、飛行高度を再び上げるために上昇気流に乗って帆翔するようになりました。
夕方の空にくるりくるりと弧を描いています。
一時はかなり遠ざかってしまったノスリが再び私の近くに戻って来てくれました。
最後は山麓のスギ林に飛び込んで枝に止まったように見えたのですけど、見失ってしまいました。(動画を撮り損ね)
5年前にもノスリが夕方に高速飛翔でこのスギ林に飛び込むのを見ています。
「空を背景に飛ぶ猛禽」のように、被写体の周囲に物が無いシーンの場合、手ブレ補正すると副作用で不自然な動きの映像になってしまうからです。
今まで実際に見たことのなかったノスリの習性をこの日だけで幾つも動画で記録することが出来ました。
こういう決定的なブレークスルーがたまにあってミッシングリンクが繋がるので、フィールド調査は止められません。
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