2016年6月上旬
ヒダリマキマイマイ(Euhadra quaesita)の腹足が細かく波打ちながら前進する様子を透明プラスチックの容器越しに撮りました。
微速度撮影(10倍速映像@2:30〜3:22)の方が、波打つ筋肉の蠕動を見易いですね。
曲がり角の対応が見ていて面白いです。
腹足全体を密着させるとは限らず、多少のギャップは乗り越えることが出来ます。(腹足の一部を着地面から浮かせて進むことがある)
【追記】
野島智司『カタツムリの謎: 日本になんと800種! コンクリートをかじって栄養補給!?』によると、
ガラスなどの透明な板や網の上にカタツムリを載せて、移動する様子を裏側から観察すると、カタツムリの後ろから前に向かって、暗い帯のようなものが動いている様子を見ることができます。(中略)この帯状の模様は「足波(そくは)」と呼ばれています。 足波は多くの軟体動物で見ることができますが、種によって足波の伝わり方が違っています。(中略)カタツムリはこの足波の部分で筋肉を伸び縮みさせ、それを利用して前進していると考えられます。 (p60-61より引用)
ちなみに、「足波」を岩波生物学辞典・第4版で調べると、
[英pedal wave 独Fusswelle]腹足類において,匍匐時にその足の下面に相ついで見られる一種の収縮波.動物をガラス板上に這わせてガラスを透して観察できる.筋肉運動の特殊な一形態であるが,動物体推進の機構は蠕動運動のそれに近い.足の下面に,物体表面と密着して静止した部分と,主に背腹方向に走る筋繊維の収縮によりもち上げられた部分とが交互に横縞状に生じたもので,これが前方へ移行する順行型(direct type)のもの(例:カタツムリ)と後方へ移行する逆行型(retrograde type)のもの(例:アメフラシ)とがある.前進はもち上げられた部分がつぎつぎに前方に移動することによって起る.後退がみられることはまれである.足波が1列の単走性(monotaxic)のもの,2列の二走性(ditaxic)のものなどが区別される.
ブルーバックスのシリーズで鈴森康一『ロボットはなぜ生き物に似てしまうのか―工学に立ちはだかる「究極の力学構造」 』にもカタツムリの移動法が詳しく解説してありました。
カタツムリやナメクジは地面に接する腹の部分にからだの前方に伝播する進行波を発生させて移動する。(中略)カタツムリやナメクジ、ゴカイでは、「進行波の進む向き」と「移動方向」は一致している。 (p70より引用)
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