2015/09/16

涼しい夕刻に扇風行動するキボシアシナガバチ♀の謎【暗視映像】



2015年7月中旬・午後18:20

キボシアシナガバチ巣の定点観察@柳#11


この日の観察で初めて、キボシアシナガバチPolistes nipponensis)の持続的な扇風行動がようやく見られました。
1匹のワーカーと思われる♀が巣盤下面の縁にぶら下がり、向きを変えながら激しく羽ばたいています。
ところが気温は23℃しかなくて、寝苦しい熱帯夜どころか体感では全く暑くありません。

この日は午後から観察してきましたが、日中は扇風行動を示しませんでした。
暑い昼下がりならともかく、何故よりによって気温が下がる日没後から扇風を始めるのか、理解に苦しみつつも驚きました。
夜は湿度が上がるから、巣に夜露が結露しないよう除湿するための行動なのでしょうか?
柳の枝葉に囲まれた巣上の微気象は風通しが悪くて蒸し暑いのかな?
今後は湿度計も必要ですね。
扇風行動が解発される温度が種として厳密には決まっておらず、「暑がりの個体」が居るのでしょうか?(個体差)

一方、巣盤中央に陣取る創設女王と思われるα♀個体は扇風していません。
翅を半開きにして警戒姿勢を取り、ときどき身繕いや優位行動をするだけでした。

昨年は樹洞内で営巣するモンスズメバチの門衛が涼しくても巣口で夜通し扇風行動する様子を見て不思議に思いました。

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アシナガバチの巣はスズメバチの巣とは違い外被が無くて開放的なので、巣内が酸欠状態になり換気が必要になった、という可能性は考えられません。
巣の温度を冷やすための行動という従来の解釈が単純過ぎるのかもしれません。
夜に観察してみるだけでも、新しい発見や不思議なことはまだまだたくさんあるようです。


つづく→#12:偽交尾【暗視映像】


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