2023年6月下旬・午前10:00頃
スギ防風林の中にニホンアナグマ(Meles anakuma)が通う溜め糞場stmpがあり、定点観察しています。
放置されたまま朽ちた古い手押し車(猫車)の金属フレームが目印になっています。
約5m離れた地点に残されたタヌキの溜め糞wbc-1と異なり、アナグマの溜め糞は黒い軟便で糞の原形が残っていません。
鈴木欣司『アナグマ・ファミリーの1年』(2000年)によると、
(アナグマの溜め糞は:しぐま註)軟便でしたが、(中略)土の中の酸化鉄を原料にしている絵の具のイエローオーカーのにおいがしました。これは、ミミズばかりむさぼり食べていた証拠です。(p35より引用)
アナグマの糞特有の匂いが気になっているのですけど、私はまだイエローオーカーの匂いを理解できていません。
タヌキの溜め糞に比べて臭くない(糞便臭が弱い)としか思えません。
すぐ横には朽ち果てた切株があり、その下にオニグルミ堅果の殻が大量に散乱していました。
殻の両側に丸い穴がくり抜かれていることから、アカネズミ(Apodemus speciosus)の食痕と判明。
周囲を見回してもオニグルミの木は生えていなかったので、秋にオニグルミの落果を1個ずつせっせと運んで貯食していたのでしょう。
大雪の積もる冬に貯蔵庫のクルミを食べて暮らし、残りの殻を一箇所に捨てていたのです。
つまり、この辺りはアナグマのトイレでもあり、アカネズミのゴミ捨て場でもあります。
どこか近くにアカネズミの巣穴があるはずですけど、朽ち果てた切株の根元は穴だらけで逆によく分かりませんでした。
2023年6月下旬・午後13:50頃
3日後に現場を再訪しました。
鬱蒼としたスギ林の林床は、日中でもかなり薄暗いです。
小枝でアナグマの溜め糞stmpをほじくってみると、湿った粘土状というか、独特の質感です。
溜め糞の中から得体の知れない小型の黒い虫が大量に現れ、慌てて逃げ惑います。
糞虫やハネカクシ類、シデムシ類だと思うのですが、糞分析の要領でじっくり調べないと分かりません。
(目の細かいザルに獣糞を入れてほぐしながら流水で洗い流し、未消化の内容物や糞虫を濾し取る手法)
アナグマの調査で忙しくてこれ以上手を広げられず、糞虫の採集調査は後回しになっています。
隣りにあるタヌキの溜め糞wbcと糞虫相を比較するのも面白そうです。
溜め糞stmpの周囲を黄色い昆虫が高速でブンブン飛び回っていました。
ようやく近くの下草に止まったので接写してみると、キイロコウカアブ(Ptecticus aurifer) でした。
右翅だけ広げた謎の体勢です。
レンズをそっと近づけてもなかなか逃げません。
最後にようやく羽音を立てて飛び去りました。
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