2021/10/13

タヌキの溜め糞上でハエを襲うサビハネカクシ同士が出会うと…?

 

2021年7月中旬・午後15:30頃・晴れ 

里山の林道で見つけたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞を観察していると、ハネカクシの一種が潜んでいました。 
タヌキの糞に誘引されて集まったハエ類は、糞を舐めたり(摂食)産卵したりしています。 
そのハエ類を蹴散らすように、大小2匹のハネカクシが徘徊していました。 
腹部を上下にゆっくり振り立てながら歩きます。 
ハネカクシが近づいただけで、敏捷性に優れるハエは警戒して飛んで逃げてしまいます。 
ハネカクシは大顎でハエに素早く噛み付こうとするも、狩りは失敗です。 
虎口を逃れたハエは少し飛んだだけで、近くの糞に再び着陸しました。 
先程逃げたニクバエの一種が元の場所に舞い戻って来ました。 
すると、別個体のハネカクシが糞の陰から現れ、ニクバエを狩ろうと襲いかかりました。 
ニクバエは難なく飛んで逃げ、つられて近くに居た別種のハエも飛び去りました。 
どうやら、このハネカクシは肉食性のようです。 
ハエの成虫を狩るのは無理でも、溜め糞で育つ蛆虫(ハエの幼虫)などを捕食するのでしょう。 
つまり、タヌキの溜め糞には分解者だけでなく捕食者も集まり、食物連鎖の生態系が作られているのです。 

しばらくすると、大小2匹のハネカクシが溜め糞上で遭遇しました。 
素人目には同種のハネカクシだと思います。 
大型の個体が腹端を持ち上げると左右に激しく振って相手を威嚇(?)しました。 
ところが隙をついて素早く逃げ出したのは、なぜかその大型個体でした。 
「闘争か逃走か」という緊迫した一瞬の出来事を、1/5倍速のスローモーションでリプレイ(@0:48〜)。
小型の個体が頭突きするように繰り返し触角で相手の下半身に触れています。 
その直後に大型の個体が腹端を左右に振ってバイバイしたのです。
同種とは言え肉食性の別個体に捕食されたくない、という単純な逃避行動なのかな? 
私にはハネカクシの性別を見分けられないのですが、出会いからの一連の行動は求愛行動と交尾拒否ですかね? 
(小型の個体が♂で大型個体が♀と仮定すると辻褄が合いそうです。)
肉食性の昆虫は交尾に至るまで慎重に手順を踏まないと、共食いされてしまいます。 

私はハネカクシの種類を見分けるのは苦手なのですけど、サビハネカクシOntholestes gracilis)ですかね?
樹液、キノコ、動物のフンに集まるハエなどの小さな昆虫に跳びかかって捕まえて食べます。
「あおもり昆虫記」のサイトでは「人糞や動物の糞に群がっているのを見かけられることが多い」と紹介してあり、まさにその通りでした。
同定用の写真もじっくり撮りたかったのですが警戒心が強く、私が横で少し動いただけで糞の下に潜り込んでしまいました。
以下に掲載したのは動画から切り出したスナップショットです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ランダムに記事を読む