2015/05/31

ノシメマダラメイガ♀(蛾)の性フェロモン放出:コーリング



2015年5月中旬〜下旬

▼前回の記事
ノシメマダラメイガ(蛾)の飛翔【ハイスピード動画】

ノシメマダラメイガの飼育記録#2


【参考文献】
吉田正義, 木村庄治, and 安藤隆. "ノシメマダラメイガ成虫の活動する時間帯と配偶行動." 食品衛生学雑誌 11.suppl (1970): S7-S11.(PDFダウンロード可

ノシメマダラメイガの未交尾のメスは, 尾部をもち上げ, いわゆるcalling poseの姿勢を保っており, このメスにオスを近づけるとオスはmating danceをしてメスに接近する行動を示し交尾した.
資料で読んだ通りにノシメマダラメイガ♀(Plodia interpunctella)が飼育容器内でコーリングを始めました。
逆に、この姿勢をするのが♀だと分かりました。
腹部を高々と持ち上げて、更にその先端から細長く尖った突起を伸ばしています。
この突起物は性フェロモンを放出する誘引腺でしょうか。
「誘引腺」とは以前クワコ♀(蛾)のコーリングを観察した際に、カイコの本を勉強して学んだ用語です。
ノシメマダラメイガ♀に対して使うのがもし不適切でしたら、正しい専門(解剖学)用語を教えて下さい。
コーリング姿勢は未交尾の♀だけが行うのだそうです。

ノシメマダラメイガが放出する性フェロモンの正体は既に解明されており、化学構造は cis-9, trans-12-tetradecadienyl acetate(酢酸シス-9、トランス-12-テトラデカジエニル)とのこと。
もちろん極微量なのでヒトの嗅覚では無臭です。

桑原保正. "メイガ科昆虫の性フェロモンに関する研究." (1971).(PDFファイル

♀はコーリングしながら長い触角をゆらゆらと動かしているときもあります。
写真撮影でストロボを繰り返し焚くと、強い光に警戒したのかノシメマダラメイガ♀は腹端の誘引腺を縮めてしまいました。
(撮影のため、綿棒容器の蓋を外して代わりにサランラップを張っています。)

腹面から接写すると、成虫の口吻が退化していることを確認できました。
したがって成虫は食餌を摂らず、死ぬまでひたすら繁殖行動に専念します。

色気ムンムンの♀に対して、いよいよ♂が求愛を始めました。


▼つづく

ノシメマダラメイガ(蛾)の求愛ダンスと交尾




この写真だけ6月上旬撮影@台所天井


余談ですが、メイガ科の蛾を撮っているとしゃちほこのような海老反り姿勢で静止している個体を昔からよく見かけて、不思議に思っていました。
おそらくメイガ科♀に共通のコーリング姿勢なのだろうと謎が解けてすっきりしました。
ちなみにモンシロチョウ(シロチョウ科)では♀が腹端を持ち上げる姿勢は交尾拒否という全く逆の意思表示になります。


カシノシマメイガ

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