2021年9月下旬・午後14:55頃・晴れ
黄金色の稲穂が実る田んぼの横の用水路に1羽のダイサギ(Ardea alba)が居ました。 どうやら狭い用水路内で採食していたようですが、私がカメラを向けた途端に警戒して、横の農道に慌てて飛び出して来ました。
手前の畦道に案山子が立っていますが、ダイサギは怖がっている(避けている)様子はありません。
農家の服や帽子を着せている昔ながらの案山子で、私も久しぶりに見ました。
ダイサギは道端の草むらまで歩いて来ると、なぜか全身の羽毛を逆立ててから、少し足を屈めるとギシギシ群落の上に白い液状便を排泄しました。(@0:19)
やがて羽繕いを始めました。
本当は用水路に戻って採食を続けたいのに、私が立ち去らないことに苛立ち、真空行動からくる羽繕いかもしれません(腹立ち紛れ)。
風がやや強いもののよく晴れていて、奥の砂利道からは陽炎が立ち昇っています。
ダイサギは私に対して横向きになり、横目で常にこちらの様子を窺っているようです。
砂利が敷かれた農道をゆっくりと横断しかけたものの、しばらく佇んでいます。
遂に方向転換すると、農道から飛び立ちました。(@2:00)
飛び立つ瞬間に嘴を開いたので、もしかすると小声で抗議するように鳴いたのかもしれません。
強風に煽られながら、田んぼの上空を右旋回から左旋回に切り替えながら飛び去りました。
羽ばたきと滑空を交互に繰り返し、遠くの刈田に着陸しました。
着陸地点の手前に別な案山子(これも旧式)が立っていましたが、ダイサギは特に恐れたり避けたりした様子はありませんでした。(@2:32)
動かないので本物のヒトではないと見破っているようです。
留鳥ダイサギは種子食性ではなく魚や昆虫を捕食するので、米農家にとって害鳥ではなく益鳥になります。
撮影の最後にカメラを左右にパンして、稲刈り中のコンバインを2台写しました。
鳥の生態(食性)に関する本を読むと、稲刈り機(コンバイン)の周囲に集まって、逃げて行くイナゴを捕食する野鳥がいることが知られています。
騒音を立てて動き回るコンバインは鳥にとって恐ろしい存在であるはずなのに、それを賢く利用するのです。
オートライシズムと呼ばれるその共生行動を私も動画に撮りたくて、毎年稲刈りシーズンになると田園地帯を探し歩いているのですが、当地ではなぜか一度も見かけたことがありません。
稲刈り作業中のコンバインの周囲からはたくさんの虫が飛び出してくるということを学習する機会がなかったのでしょうか?
つまりオートライシズムは学習を必要とする食文化で、当地の個体群には伝来していないのかもしれません。
あるいは、爆音器などで鳥を田畑から追い払うことがつい最近まで続いていたので、当地の野鳥はヒトを恐れる習性が抜けていないのではないかと思います。
それとも、この辺りは餌が豊富で、オートライシズムしなくても腹が充分に満たされているのかな?
ただし、春の田んぼを耕す際にトラクターの周囲に鳥が集まるオートライシズムは観察しています。
関連記事(3年前の撮影)▶ 耕運機を利用して虫を捕食するムクドリの群れ:オートライシズム(野鳥)
私が一番懸念しているのは、この地域の田んぼは稲刈り前に農薬を散布し過ぎて虫が少ないのではないか?という可能性です。
更に左にパンすると、鳥追いカイト(鷹型)2機が強風に煽られて激しく踊っていて、稲刈り前の区画をスズメなどから守っていました。 この新型の案山子の近くで活動するダイサギは未だ1度も見たことがないので、鳥追いカイト(鷹型)はそれなりに防鳥効果があるようです。