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2021/12/12

ツリフネソウの花に集まり小競り合いを繰り返すブチヒゲクロカスミカメ(求愛行動?)

 

2021年9月上旬・午後16:20頃・くもり 

山道の横に咲いたツリフネソウの群落で見慣れない謎の昆虫がひとつの花に集まって何やら争っていました。 
薄暗い条件で撮影していると、触角が長いのでてっきりカミキリムシの仲間かゴキブリなのかと思いました。 
帰ってから調べてみると、どうやらブチヒゲクロカスミカメAdelphocoris triannulatus)のようです。 
本種の性別を外見で見分ける方法を私は知らないので、行動の解釈に困ってしまいます。 
どなたかご存知の方は是非教えて下さい。
首元が赤い個体が♀? 
横から見た腹部の厚みは、首元の赤い個体(♀?)の方が太い気がします。 

ネット検索しても、ブチヒゲクロカスミカメの配偶行動に関する情報は得られませんでした。
よく分かっていない(誰も調べていない)のでしょう。
カメムシの中には♂が食草上で多数の♀を囲い、このハーレムをライバル♂から防衛する種類が知られています。 
しかし、今回ツリフネソウで吸蜜・吸汁している個体はいませんでした。 
ブチヒゲクロカスミカメが吸汁する食草として、キク科、イネ科、マメ科などが知られています。(図鑑『札幌の昆虫』p74より) 
ダイズやアズキなど農作物の害虫としても知られているそうです。(野澤雅美『おもしろ生態と上手なつきあい方:カメムシ』p65より) 
なお、南九州大学の昆虫生態学研究室によって、ブチヒゲクロカスミカメは動物も植物も摂食するタイプの食性(zoophytophagy)と判明したそうです。 
つまり、ツリフネソウ科ツリフネソウはブチヒゲクロカスミカメにとって餌資源でも産卵基質でもありません。 
食草以外の花に♂が集まって求愛ディスプレイを繰り広げ、♀に選んでもらうレックなのかな?
繁殖期の雄が集合して集団で求愛誘示を行なったり,特定の位置を占めるために儀式的な闘争で争いあったりする場所,あるいは繁殖システム.レックにやってきた雌は,例えばウォーターバックのように特定の位置(中央部)にいる雄と交尾する場合と,エリマキシギのように好ましい形質をもつ雄を選んで交尾する場合とがある.レックには繁殖に役立つ資源は何もなく,雌は別の場所で出産・産卵する.魚類でも雄が集合的に営巣して求愛誇示を行なっている場合にレック様システム(lek-like system)とよぶことがある. (『岩波生物学辞典・第4版』より引用)
しかし求愛誇示らしき行動は見られませんでした。 
カメムシの場合は性フェロモンの放出が求愛誇示に相当するのでしょうか?
個体間の小競り合いもよく見ると、相手をツリフネソウの花から完全に追い払うほどの激しい闘争行動ではありませんでした。 
同じ花上で互いに少し離れたり陰に隠れたりするだけで休戦状態になります。 
小競り合いの後に2匹が横に並んで静止することもありました。 

撮影中は気づかなかったのですが、ツリフネソウの花の右上の包葉?にもう1匹居ました。 
♀が♂同士の喧嘩を見守ってるのかな?と想像したものの、性別不明です。 

ブーンという低い羽音♪を立てて新たに別個体が飛来しました。 
同種のカメムシが続々と集まるということは、集合フェロモンを発しているのでしょう。 
しかし私の鼻では何も匂いを感じませんでした。 
この程度の風では集合フェロモンに影響ないようです。 
ところが新入りの個体は、すぐにまた飛び去ってしまいました。 

繰り返される小競り合いを1/5倍速のスローモーションでじっくり見直すと(@3:10〜)、どうやら♂が♀をしつこく追い回して背後からマウントしようとしていると分かりました。 
その度に背後から近づく相手を後脚で足蹴にして牽制・撃退しています。 
♀による交尾拒否なのか、それとも♂同士の誤認求愛なのか、私には分かりません。 
別れても何度も追い回して、嫌がる相手に繰り返しマウントを試みています。 

足蹴りと言えば、カメムシの中には♂同士の闘争用に棘付きの太い後脚をもつ種類がいます。 
しかしブチヒゲクロカスミカメの後脚は長いものの、太くもなく棘も生えていません。 

私が草むらに一歩踏み込んで接写しようとしたら、ブチヒゲクロカスミカメは警戒して動きを止めてしまいました(擬死モード?)。 
何かありあわせのビニール袋でもあれば採集したかったのですが、この日は何も採集容器を持ってませんでした。
 カスミカメムシの仲間は極めて動きが俊敏で、見つけてもすぐに葉裏に隠れるほか、ネットで捕まえてもすぐに飛び立つものも多く、体が小さく軟弱な割に素早い。(野澤雅美『おもしろ生態と上手なつきあい方:カメムシ』p63より引用)

2021/11/08

クリの灌木で鳴くエゾゼミ♂を声紋解析してみる

 

2021年8月下旬・午前11:30頃・晴れ 

里山の尾根道を歩いていたら近くでセミが喧しく鳴く声がするので主を探すと、若いクリ(栗)灌木の細い枝に下向きに止まっていました。 
現場は標高562m地点で、地上からの高さ〜3.5mの地点にセミが止まっています(目測)。 
逆光なのでストロボを焚いて(日中シンクロ)写真に撮ると、その正体はエゾゼミ♂(Lyristes japonicus)でした。 
周囲に灌木の枝葉が生い茂り、その隙間から撮影アングルを確保するのに苦労しました。 

周囲で鳴く同種♂の声に負けじと、ジー♪(またはギー♪)と単調に鳴き始めました。 
メロディが全く無く、情緒の欠片もありません。
側面から♂の発音器官である腹弁が見えます。 
ジー♪と単調に鳴いている間は腹部を上下に動かしています。 
腹弁の振動は動画からは確認できませんでした。
口吻を枝に突き刺して吸汁しておらず、鳴くことに専念しています。 
疲れたのか鳴き止むと、腹部も動かなくなりました。 

保育社『検索入門:セミ・バッタ』p28によると、エゾゼミの鳴き声はギィーーと連続音で、終奏音が断続的になるのがアカエゾゼミとは違う特徴なのだそうです。 

しばらく見守ってもエゾゼミ♂はクリの木から飛び立たず、私は諦めて立ち去りました。 

エゾゼミ♂の鳴き声を声紋解析してみる 


いつものように、オリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルとして抽出してからノイズを除去しました。
鳴いている部分(鳴き初めから鳴き終わりまで)の約30秒間を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。 
鳥の鳴き声の美しい声紋とは全く異質ですね。


関連記事(同時期の撮影)▶ ミズナラの枝で鳴くエゾゼミ♂♪


2021/11/06

防鳥ネットに止まって鳴く♪ミンミンゼミ♂

 

2021年8月下旬・午前6:30頃・晴れ  

山麓のリンゴ園は防鳥ネットで全体が覆われています。 飛来したミンミンゼミ♂(Hyalessa maculaticollis)が防鳥ネットをすり抜けられず、ネットにぶつかって止まりました。 
(動画はここから。) 
垂直のネットにしがみつき、腹部を伸縮させながら大音量でミンミン♪鳴き始めました。 

横の農道をバイク(スーパーカブ)が通りかかると、ミンミンゼミ♂は驚いて飛び去りました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしても、飛び立つ瞬間におしっこを排泄してはいませんでした。

【追記】
本来の設置目的とは違うと思うのですが、防鳥ネットで果樹を覆うと、吸汁しに飛来するセミを寄せ付けなく効果もあるようです。

2021/10/23

アブラゼミ♀を庭木の枝の刺に突き刺して捕食するモズ♂(野鳥)

 

2021年7月下旬・午後14:45頃・くもり 

郊外の住宅地で何か茶色の獲物を運んで飛ぶモズ♂(Lanius bucephalus)を目撃しました。 
そのままモズ♂は、民家の庭に植栽された針葉樹の茂みに飛び込みました。 (映像はここから。) 
止まり木はイチイのようです。(秋に赤い実がなるかどうか、要確認。ヒマラヤスギやモミかも?) 
針葉がついてない枯枝の部分に止まってくれたので、撮影しやすくて助かりました。 
ちなみに、イチイ?の手前に見える低い針葉樹はドイツトウヒ(別名オウシュウトウヒ)です。 

今回の捕食メニューはアブラゼミ♀(Graptopsaltria nigrofuscata)でした。 
モズ♂はイチイの尖った枝先に獲物の胸部を背面から串刺しに固定し、茶色の翅を嘴で毟り取っていました。 
アブラゼミはもう既に死んでいて、全く暴れません。 
アブラゼミの腹面に発音器官の腹弁が見えなかったので、餌食となった個体は♀と判明しました。 
てっきり樹上で鳴いている声を頼りにセミの♂を捕食するのかと思いきや、鳴かない♀とは意外でした。
モズが一体どうやって捕まえたのか、興味があります。
飛んでいるアブラゼミ♀を素早く掴まえたのでしょうか?
それとも路上でよく転がって死んでいるセミの死骸を拾ってきたのかな?(スカベンジャー)

獲物の翅を完全に除去するとモズはアブラゼミ♀を串から外し、珍しく右足で掴みました。(@0:55) 
すぐにまた獲物を咥え直し、初めの枝の刺にしっかり刺し直しました。 
食材の下処理が済むと、ようやく獲物を食べ始めました。(@1:12) 
アブラゼミ♀の肉片を少しずつ啄むと、美味そうに食べています。 
食事の途中で食べ残しを枝の刺に残したまま、モズ♂はなぜか下の枝に跳んで移動しました。(@1:55) 
捕食で汚れた嘴を目の前の小枝で拭っています。 
再び食卓に戻ると、食事を再開。(@2:17) 
食べ進めると串に刺したセミが不安定になります。 
獲物を串から外して咥え、改めて刺にしっかり刺し直しました。(@3:04) 
完食する前に、啄んだ獲物をうっかり下に落としてしまいました。(@3:39) 
モズ♂は慌てて取りに行くも、見失ったようです。 

しばらくすると同じ食卓に戻って来てくれましたが、空荷でした。 
さほど落胆した様子もなく、食後のモズ♂は嘴をあちこちの枝に念入りに擦りつけて汚れを拭い取っています。 
どんどん上の枝に登り、イチイの枝葉の陰に隠れてしまいました。 
私が長時間ずっとカメラを向けているので、警戒したようです。 
ようやく落ち着くと、辺りをキョロキョロ見渡しています。 
視界の開けた枝に移動すると、こちらにお尻を向けてから白い糞をポトリと排泄しました。(@5:41) 
排便後は再び枝葉の茂みの陰に隠れました。 
時おり遠雷♪が鳴り響き、今にも夕立が降りそうです。 

関連記事(5年前の撮影:獲物はトンボ?)▶ 虫を解体・捕食するモズ♂(野鳥) 
モズの捕食シーンを初めてじっくり観察できて感動しました♪ 
モズ♂は獲物の固定具として木の枝の刺を使ったことになりますが、これは一種の道具使用と言えるでしょうか? 
他の種類の肉食性鳥類なら足で獲物を押さえつけながら嘴で獲物を引きちぎって食べますが、モズは足を(ほとんど)使いませんでした。 
嘴の形状からモズは小さな猛禽と例えられますが、猛禽類と違ってモズは足の力が弱いのでしょうか? 
足の代わりに木の刺を道具として使っているように見えます。 
モズのくちばしは、先がとがっていてカギの形にまがっています。するどいまなざしはハンターのしるし。それにくらべると、足は細長くてかよわそう。(中略)えだにつきさし、ひきちぎってたべています。たしかに、あの足の細さでは、えものをおさえつけてひきちぎることは無理ですよね。えだにつきさすのは、えさをたべるためのモズの工夫だったんです。人間でいえば、はしやフォークを使うのと同じこと。(嶋田忠『モズ:不思議なわすれもの』p10〜15より引用)
枯枝の横から生えた短い刺は鋭く、まるで血塗られたように赤茶色でした。 
モズは食事の度に適当な刺のある枝を縄張り内で臨機応変に探すのかな? 
お気に入りの食卓として、この枝を繰り返し使っているのかもしれません。 
もしもモズ♂がイチイの枯枝を嘴でポキンと折って折口を鋭く尖らせたのだとしたら、予め食事の道具(フォーク、串、食器)を自分で作ったことになります。(道具作り) 
定点観察でこの枝を見張っていれば、モズの捕食シーンを繰り返し観察できそうです。 
センサーカメラを近くの樹上に設置して無人で監視したら…と夢は膨らみます。 

私はこれまでフィールドで「モズの早贄」を一度しか見つけたことがありません。 
関連記事(4年前の撮影)▶ モズ(野鳥)の早贄にされたコオロギ♂ 

今回の捕食シーンの観察を踏まえると、「モズの早贄」はただの食べ残し(忘れ物)ではないかと個人的には思うようになりました。 
しかし、近年になってモズが早贄を立てる理由(究極要因)が生物学的に解明されています。
その研究結果によると、貯食した早贄はモズ♂の栄養食であり、繁殖期に早口で歌えるようになった♂は♀にもてるのだそうです。(日本語版プレスリリースのPDFはこちら。)
Nishida, Yuusuke, and Masaoki Takagi. "Male bull-headed shrikes use food caches to improve their condition-dependent song performance and pairing success." Animal Behaviour 152 (2019): 29-37.

モズの『はやにえ』の機能をついに解明!―はやにえを食べたモズの雄は、歌が上手になり雌にモテる― (大阪市立大学の公式サイトより)


アブラゼミの翅を毟る
アブラゼミに腹弁が無いので♀
獲物を刺に再固定
食後の全景


2021/06/19

睡蓮の葉の上で交尾するアメンボ♀♂

 

2019年8月中旬・午後12:10頃・晴れ 

真夏の睡蓮池でアメンボの一種がヒツジグサの濡れた葉の上で交尾していました。 
アメンボの♀♂カップルは葉の上を歩くと最後はピョンと跳び下りて池の水面に戻りました。 
風で波打つ水面を滑るだけでなく、ピョンピョン跳ねて移動して行きます。 
ところがしばらくすると、別のスイレンの葉に再び打ち上げられてしまいました。 
風で荒れる水面から自発的に避難したのかな?
アメンボも大シケだと船酔いしたりして…?

※ 交尾器の結合状況がよく見えなかったのですが、交尾前または交尾後の配偶者ガードかもしれません。

2021/06/17

早春の池で共食いするマツモムシ

前回の記事:▶ 早春の池に現れたヤマアカガエルとマツモムシは互いに捕食するか?
2021年3月中旬・午後15:30頃・晴れ 

ヤマアカガエルが繁殖活動をしている雪山の池で奇妙なマツモムシNotonecta triguttata)のペアを見つけました。 
互いに腹面を接して抱き合っているので、初めは交尾中なのかと思いました。 
しかし腹端は接しておらず、どうやら共食いしているようです。
関連記事(12年前の夏に撮影)▶  マツモムシの共食い(1:41〜)
マツモムシの背面を見る機会は滅多にありません。 
獲物を抱えたまま潜水しようとしても、浮力で上手く潜れないようです。 
最後は水底の抽水植物の根元にしがみついて静止しました。 
そこでじっくり獲物の体液を吸汁するのでしょう。
雪解け水の池には他の虫が未だいませんから、飢えたマツモムシは共食いするしかないようです。 

私はここで撮影を止めてしまったのですが、もしかして、これから交尾に移行するのですかね? 
画像検索すると、マツモムシの交尾は対面ではなく背面からマウントするようです。 
てっきりカメムシの仲間は全て反対向きに交尾するかと思ったのですけど、マツモムシは違うのですね。 
マツモムシの繁殖期が早春とは思えないのですが、ハンマー氏は3月下旬に撮影しています(ただし雪国ではない)。 

この池ではヤマアカガエルが繁殖のため多数集まっているのに、マツモムシがヤマアカガエルの成体を襲って捕食するシーンは一度も見たことがありません。 
逆に、ヤマアカガエルが水面・水中でマツモムシを捕食することもありませんでした。 
繁殖期のヤマアカガエルは食欲がないのか、そもそも蛙は水中で獲物を捕食できないのかな? 
マツモムシはカエルの幼生のオタマジャクシは襲って捕食吸汁することがあるらしいです。 

※ 円偏光(CPL)フィルターをレンズに装着したまま撮ったので、その副作用でズームインの倍率を上げた時に像が滲んだようなピンぼけになってしまいました。 

2021/06/03

早春の池に現れたヤマアカガエルとマツモムシは互いに捕食するか?

 

2021年3月中旬・午後13:50頃・晴れ
前回の記事:▶ 雪深い早春の池で背泳する越冬明けのマツモムシ
未だ残雪に覆われた山腹の池を3日後に再訪してみると、遂にヤマアカガエルRana ornativentris)が長い冬眠から目覚め、繁殖活動を始めていました。 
1匹のヤマアカガエル♂が日当たりの良い岸辺で水にじっと浸っています。 
産卵のために後からやって来る♀を待ち伏せして、いち早く抱接するためです。 
前脚は浅い水底に付け、大きく広げた後脚は水中に浮いています。 
鼻腔をスピスピと開閉させて鼻呼吸しています。 
眼球をときどき引っ込めるのは、水を飲んでいるのでしょうか。 (瞬きの代わり?)

しばらくすると、水面下をマツモムシNotonecta triguttata)が背泳ぎで近寄って来ました。 
ヤマアカガエルの背後から忍び寄ったように見えたので、もしかすると越冬明けで空腹のマツモムシはカエルを襲って吸汁するのかな?と期待しました。
ところが残念ながら、何事もなくマツモムシは離れて行きました。 
獲物として大き過ぎるのか、あるいは静止していたカエルの存在をマツモムシは認識できなかったのかもしれません。 
逆にヤマアカガエルがマツモムシを捕食することはあるのかな? 
マツモムシはアカガエルの目の前には行かなかったので、安全圏だったのでしょう。 

マツモムシの食性を調べても、カエルの成体を襲うとは書いてありませんでした。
肉食性である。小魚やオタマジャクシのような小型の水生脊椎動物、他の水生昆虫のような小型水生節足動物、水面に落下した昆虫などを捕らえ、針状の口吻を突き刺して消化液を送り込み、溶かした肉質を吸汁する(体外消化)。(wikipediaより引用)
その後もかなり長時間、この池でヤマアカガエルの繁殖行動を観察したのですけど、捕食行動は全く見られませんでした。 
繁殖期のヤマアカガエルはとにかく「食い気よりも色気」なのでしょう。 
産卵を済ませたヤマアカガエルは再び春まで冬眠するらしいので、凍結防止のため体内に消化物を入れたくない(食欲がない)のかもしれません。
一方、マツモムシの捕食行動は一度だけ観察できたのですが、その獲物は…。(映像公開予定)

2021/06/01

雪深い早春の池で背泳する越冬明けのマツモムシ

 

2021年3月中旬・午後13:20頃・くもり(薄曇り) 

アカガエルの繁殖行動を観察するために、里山で沢の水が溜まる池にやって来ました。 
ここは日当たりの良い山腹ですが、池の周囲も未だ深い雪で一面覆われています。 
お目当てだったアカガエルの姿は見当たらなかったものの、水中で活動する水生昆虫が目に止まりました。 
生きた昆虫をフィールドで見つけたのは今季初で、嬉しい出会いです。 

2匹のマツモムシNotonecta triguttata)が雪解け水の水面下で背泳ぎしていました。 
長い後脚をオールのように使って水を掻いて進みます。 
2匹が水面下でニアミスしても、互いに没交渉でした。 

マツモムシが成虫で越冬することも、こんな早春に活動を再開することも、私は知りませんでした。 
実は同じ日の午前中(約2時間前)にこの池を見に来たときは、何も居ませんでした。 
念の為に午後にも再訪した甲斐がありました。 
午後になって水温が上がると、マツモムシが活動し始めたようです。 
てっきりマツモムシは越冬場所の山中から池に飛来したのかと思ったのですが、ネット検索してみると、DAYLIGHT RAMBLERさんのブログ記事「越冬明けのマツモムシ」で以下の記述を見つけました。
いつも背泳ぎしているマツモムシは、成虫越冬です。冬の間は水底の落葉の層なんかにひそんでおり、そういうところを掘り返すと出てくることがあります。
いつか私も確かめないといけません。
この池の底には落ち葉や緑の藻が堆積しています。 
潜水したマツモムシは、水底の泥の中や石の陰に隠れてしまいました。 

こんな雪深い早春から活動を再開しても、肉食性のマツモムシは一体何を捕食して生きていくつもりなのでしょう? 
そろそろ繁殖期に入るアカガエルの卵や幼生が目当てなのかな? 


池に溜まった雪解け水の水温を測るのを忘れてしまいました。 
太陽が水面に反射するので、次回はカメラのレンズに偏光フィルターを装着してからマツモムシを撮影してみるつもりです。 

『カメムシ博士入門』という本を紐解いて、マツモムシについて調べてみました。
・捕獲用の前・中脚と漕ぐ後脚、まさに舟を漕ぐ漁師だ。(p25より引用) 
・プラストン呼吸=アクアラング方式 (マツモムシは)毛を密生してアクアラングのように空気をためる呼吸法(p31より) 
・マツモムシ:腹面を見せた仰向けの姿で水面下を泳ぐ。空気の貯まった腹面は銀色に輝いて見える(p83より)

2021/01/14

オトコエシの虫こぶから吸汁するツマジロカメムシ幼虫【オトコエシミフクレフシ】

 

2020年9月下旬・午後12:00頃・晴れ 

里山の林道沿いに咲いたオトコエシの群落で虫こぶを見つけました。
 茎の上部が刈り取られた後の株で白い果実にピンクの丸い虫こぶ(虫えい)が形成されていました。 
これはオトコエシミフクレフシという名前で呼ばれ、虫こぶの形成者はオトコエシニセハリオタマバエ(Asteralobia patriniae)らしい。(『虫こぶハンドブック』p64より) 

その虫こぶにツマジロカメムシMenida violacea)の幼虫が乗っています。 
虫こぶから吸汁しているのでしょうか? 
マクロレンズで接写してみても肝心の口元が見えず、口吻の状態を確認できませんでした。
ただの日光浴で虫こぶの上に乗っているだけかもしれません。 
カメムシの赤い腹背がちょうど赤く色づいた虫こぶの上に乗っていて、保護色になっているのが興味深く思いました。
▼関連記事(1.5ヶ月前の撮影) 
オオイタドリの茎から吸汁するツマジロカメムシ幼虫
ちょうど1週間後にも山麓の道端で同じ種類の虫こぶを見つけて写真を撮りました。 
こちらは少し歪な形状でした。

2020/11/20

ベッコウハゴロモを捕食するノシメトンボ♀

 

2020年8月中旬・午前7:50頃・晴れ 

山林と水田の間を通る農道でイネ科の葉にノシメトンボ♀(Sympetrum infuscatum)が止まっていました。 
狩りに成功した直後らしく、何か獲物を食べています。 
餌食となったのは、(現場ではクモかと思ったのですが、)ベッコウハゴロモでした。 
獲物の脚は必死に暴れているのに、トンボは構わずにモグモグと捕食しています。 
トンボは手足を使わずに口器だけで器用に獲物を食べ進めます。 
獲物の翅は食べずに捨てていました。 
翅の根元は構わずに噛み砕いて食べました。 
やがて獲物は原形を留めていない不定形の肉団子になりました。 

食事の後半になるとノシメトンボ♀はよそ見をするようになり、口をモグモグしながら首を傾げたりしています。 
完食したので、私が歩いて近づくとトンボは飛んで逃げました。 
アングルを変えながら朝食の一部始終を長撮りしました。 
食後のノシメトンボ♀が飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
▼関連記事(1年前の撮影) 
シロオビアワフキを捕食するノシメトンボ♀

2020/11/12

アブラゼミ♂:間奏中♪の木登りと飛び立ち【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年8月上旬・午後12:55頃・晴れ 

川沿いの堤防路に立つニセアカシア(別名ハリエンジュ)の幹にアブラゼミ♂(Graptopsaltria nigrofuscata)がしがみついて鳴いていました。 
ジリリリ、ジリリリ…♪と節を付けて繰り返し鳴きながら、幹をどんどん上に登って行きます。 
やがて鳴き方のテンポが早まり、立ち止まると途切れなく本格的に鳴くようになりました。

同一個体が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:37〜) 
セミが木から離陸する前後に排尿する様子を私はなぜか未だ見たことがありません。 
今回も空振りでした。 
驚いて飛び立つ(緊急避難)ときにしかオシッコしないのかな?

実際はもっと長々と暑苦しく鳴いていたのですが、編集でばっさりカットしました。

2020/11/03

オオイタドリの茎から吸汁するツマジロカメムシ幼虫

 

2020年8月上旬・午後15:00頃・晴れ 

堤防路の横に自生するオオイタドリの群落で白い花が咲き始めました。 
訪花昆虫を探していたら、ツマジロカメムシMenida violacea)の幼虫を見つけました。 
小さくて丸っこい体型です。 
幼虫を撮るのは初めてなので、マクロレンズで接写してみましょう。 
オオイタドリが風で揺れるので苦労しました。
初めは訪花したのですが、吸蜜したかどうか不明です。
うろうろと徘徊し、やがて茎に口吻を突き刺して吸汁を始めました。

2020/10/25

夏型のテラウチウンカ(クロバネテラウチウンカ)の逃避行動

 

2020年7月下旬・午後15:15頃・晴れ 

湿地帯のヨシ原で黒くて見慣れないウンカを見つけました。 
調べてみると、テラウチウンカの夏型(別名クロバネテラウチウンカ)と判明。 
ヨシの若葉の根元付近に静止していました。  
指で軽く触れると、テラウチウンカは跳ぶかと思いきや、走って少し逃げただけでした。 
繰り返すと、茎を素早く横に回り込んで陰に隠れてしまいました。

小さな虫なので、触れながら反応をマクロレンズで接写するのは難しかったです。

2020/10/06

陸上を跳びはねて水溜りに向かうヒメアメンボ



2020年7月中旬・午後15:40頃・くもり

河川敷に出来た水たまりの周囲をヒメアメンボGerris lacustris latiabdominis)が跳びはねていました。
乾いた舗装路をピョンピョン跳んで移動しています。
初めは水溜りから遠ざかっていましたが、途中で方向転換し、水溜りを目指すようになりました。
私が逃げるアメンボを追い回した訳ではなく、一箇所に立ち止まって撮影した映像です。
無翅の幼虫ならともかく、しっかり翅がある成虫がどうして羽ばたいて飛ばないのでしょうか?
陸上をピョンピョン跳ぶ方が省エネなのかな?
アメンボは進化の結果、他の昆虫のように脚を使って普通に歩くことはできなくなったのでしょうか?
てっきりアメンボは翅を使って水溜りに飛来するのだと思っていました。
地上を跳びはねる移動法では目線が低いので、遠くの水溜りを見つけにくいはずです。
ようやく浅い水溜りに到達すると、アメンボらしい遊泳を始めました。

陸上の跳躍シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:54〜)
ジャンプしているように見えて実は空中で少し羽ばたいているかもしれないので、次に機会があればハイスピード動画に撮ってみるつもりです。


ヒメアメンボ?@歩道+跳躍移動
ヒメアメンボ?@水溜り

2020/09/24

グンバイナズナに群がるナガメ



2020年7月中旬・午後14:15頃・くもり

堤防路の道端に自生するグンバイナズナナガメ♀♂(Eurydema rugosa)の群れが集まっていました。
ナガメはアブラナ科の植物で好んで群がり吸汁するので納得です。
花が咲き終わって軍配状の実が付き始めています。

カメラをマクロモードにしてレンズを近づけると、ナガメは慌てて茎を登り降りしたり飛んで逃げたりしました。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:56〜)
茎の先端から翅を広げて飛び立っても密生した隣の茎にぶつかり、少し登ってからまた飛び立つ、を繰り返してようやく飛び去りました。




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