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2024/11/22

イモカタバミの花蜜を吸うヤマトシジミ♂

 

2023年10月中旬・午後15:10頃・晴れ 

街なかで民家の庭先に咲いたイモカタバミの群落でヤマトシジミ♂(Zizeeria maha)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
翅を閉じて吸蜜しています。 

動画を撮り始めた途端に飛び立ってしまったので、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
羽ばたきが早すぎて、スロー再生しても翅表の斑紋が見えませんでした。 
同じイモカタバミの群落で私がモンシロチョウの撮影に切り替えたら(動画公開予定)、同一個体と思われるヤマトシジミがたまたま飛来して横切りました。 
その飛翔シーンをスロー再生すると、翅表の斑紋から♂と分かりました。 

ヤマトシジミと言えば、普通種の蝶の代表格です。 
しかし私はルリシジミの方を先に覚えたので、いつもルリシジミか?と思ってしまいます。 
翅裏に散りばめられた斑点の配置がルリシジミとは微妙に違うので、ヤマトシジミと判明。 
特に今回の撮影地は市街地なので、ヤマトシジミを先に疑うべきでした。

2024/11/21

スギ風倒木の根元に掘られ雪に埋もれかけた越冬用巣穴に出入りする年末のニホンイタチ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月下旬

シーン0:12/22・午後13:12・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
平地のスギ防風林で、画面の奥に向かって根こそぎ倒れたスギの根元に掘られた謎の巣穴bを自動撮影カメラで見張っています。 
画面のほぼ中央にぽっかり開いているのが、問題の巣穴bです。 
丸木橋のように見える水平の倒木で遮られて見えませんが、その下をくぐったすぐ左奥に、ニホンイタチMustela itatsi)が越冬する「根曲がり巣穴a」があります。 
巣穴bの主が写ってくれるでしょうか? 


シーン1:12/24・午前9:37・(@0:03〜) 
昼間にニホンイタチが深雪の獣道を左へ駆け抜けました。 


シーン2:12/25・午前4:41・(@0:09〜) 
翌日の未明にもイタチが同じルートで左へ走り去りました。 
巣穴bから出てきたばかりなのでしょうか? 
どうしてもトレイルカメラの起動が遅れてしまい、出巣bの瞬間がなかなか撮れません。 


シーン3:12/26・午前6:43・(@0:16〜) 
朝にイタチが雪面の匂いを嗅ぎながら、左下へ向かいます。 
今回は珍しく足取りがゆっくりでした。 


シーン4:12/26・午前8:56・(@0:27〜) 
約2時間15分後に、イタチが再び左下へ向かいます。 
監視カメラの設置アングルをもっと下向きにすべきでしたね。 


シーン5:12/27・午前10:58・晴れ(@0:36〜) 
珍しく、明るい時間帯にフルカラーで撮れていました。 
1日で雪がかなり溶けていました。 


シーン6:12/28・午後14:20・晴れ(@0:41〜) 
水平の丸木橋のようなスギ倒木から樹皮が雪面に剥がれ落ちていました。 


シーン7:12/28・午後14:51・晴れ(@0:44〜) 
水平倒木の右奥から現れたイタチが、巣口bの地面(残雪)に飛び降りました。 
のまま巣穴bの奥にするりと潜り込みました。 
遂にイタチが入巣bする決定的瞬間を自然光下で録画することができました。 
手前の残雪と奥の暗い巣穴でコントラストの差が大き過ぎて、イタチの姿がよく見えません。 
そこで、逆光補正した上でリプレイしてみると(@0:54〜)イタチがよく見えるようになり、説得力のある映像になりました。 



シーン8:12/28・午前2:09(@1:05〜) 
時系列が少し前に遡りますが、深夜にイタチ?が水平倒木の下をくぐりながら雪の斜面を駆け上がると、左に姿を消しました。 
後ろ姿(尻尾)しか写っていません。 
てっきり出巣b直後のイタチだと思ったのですが、1/3倍速のスローモーションでリプレイすると、ホンドテンMartes melampus melampus)かもしれません。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
予想通り、この巣穴bにもニホンイタチが越冬していることが確かめられました。 
入巣bの瞬間がなかなか撮れないのは、イタチの動きが素早すぎるからだと考えています。
隣接する2つの巣穴a、bが内部でつながっていて同一個体のイタチが住んでいるのか、それとも複数のイタチ(♀♂つがい?)が住み分けているのでしょうか? 
ここでも野生動物の個体識別という難問が立ちはだかります。

野生動物は水平倒木を丸木橋のように渡るのではないかと予想していたのですが、ニホンイタチはその下をくぐり抜けただけでした。


小鳥たちが天敵であるイタチを全く恐れずに越冬用巣穴の入口付近に繰り返し採食に来るのが不思議です。
鳥は天敵の匂いに鈍感で、己の素早い反射神経で逃げ延びる自信があるのでしょう。


つづく→


 

↑【おまけの動画】 
「園児13人の上履きが消えた…認定子ども園に侵入したのはイタチ!巣の材料に利用か福岡」 by FNNプライムオンライン 


私が見つけたニホンイタチも巣穴にどんな巣材を持ち込んでいるのか調べてみたいものです。
トレイルカメラでの監視を続ければ、盗んできた靴を巣穴に持ち込む行動が録画できるかもしれません。

年末の二次林で朽木に登ってつつく雪国のアカゲラ♂(冬の野鳥)

 

2023年12月下旬・午後13:40頃・くもり 

平地の落葉した二次林で根雪が積もった後、アカゲラ♂(Dendrocopos major)が朽木(樹種不明)に登りながら獲物となる虫を探していました。 
幹に開口したカミキリムシの羽化孔を見つけると、そこを重点的に突き始めました。 
穿孔性昆虫が木屑と糞を一緒に排泄したフラスかもしれません。 
しかし、すぐに諦めて別の場所に移動しながらあちこち突いて回ります。 
キョッ、キョッ♪という鳴き声は発していませんでした。

低温でカメラのバッテリーが消耗していたようで、動画撮影の途中で切れてしまいました。 


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2024/11/20

年末年始の雪原を1〜3頭でうろつき巣穴に出入りするホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月下旬〜2024年1月上旬

シーン0:12/4・午後14:08・晴れ・気温26℃(@0:00〜) 
シーン0:12/11・午後13:30・くもり・気温18℃(@0:03〜) 
明るい日中に誤作動などでたまたま撮れた現場の様子です。 
休耕地にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の営巣地を自動撮影カメラで監視しています。 
辺り一面に蔓延っていたクズやカナムグラなどの蔓植物はすっかり枯れています。 

タヌキが繁殖した後にニホンアナグマMeles anakuma)が巣穴(の一部)を乗っ取ったらしく、晩秋になると越冬に備えて巣材(断熱材の枯草)を巣穴に搬入しました。 

記録が断片的なために、この営巣地で誰が越冬するのか、いまいちはっきり分かりませんでした。 


シーン1:12/19・午前9:55・晴れ・気温9℃(@0:07〜) 
暖冬でしたが、ようやく根雪が積もり、一面の銀世界になりました。 
巣穴から右下手前に向かって野生動物が出入りしている足跡(深雪のラッセル跡)が新雪の雪面に残っているのに、その行動を監視カメラは検知できませんでした。 


シーン2:12/22・午前3:21・雪・気温−7℃(@0:11〜) 
巣穴から外に出てきた直後なのか、3頭のタヌキが互いに少し離れて雪面(ラッセル済みの獣道)に座っていました。 
カメラの方を向いて少し警戒してから、辺りを見回しています。 
小雪が横殴りに降っているものの、吹雪というほど激しくはありません。 


シーン3:12/22・午前3:35・雪・気温−6℃(@1:11〜) 
13分後に監視カメラが再び起動すると、雪は降り止んでいました。 
タヌキは1頭しか外に居ませんでした。 
ラッセル済みの獣道を右往左往しています。 
新雪の雪原に足を踏み入れてわざわざラッセルするのは、体力を消耗するのでやりません。 
他の2頭は入巣したのか、姿が見えません。 


シーン4:12/22・午前3:37・(@2:11〜) 
ようやく、タヌキは右奥の巣穴Rに入りました。 
1分間の録画時間内に入巣してくれるかどうかは、運次第です。


シーン5:12/22・午前3:41・(@2:43〜) 
再び巣穴Rから外に出てきた直後なのか、ラッセル済みの獣道を左へ歩き、巣口Lを経由して手前(二次林)向かってきます。 
なぜか途中でラッセル済みの獣道を外れ、果敢に新雪をラッセルしながら右へ向かい始めました。(新規ルートの開拓) 


シーン6:12/24・午前5:24・みぞれ?・気温-3℃(@3:43〜) 
みぞれのような湿雪が降っていました。 


シーン7:12/24・午前9:48・晴れ・気温10℃(@3:49〜) 
よく晴れました。 雪原が美しいです。 


シーン8:12/24・午後18:44・夜霧・気温-3℃(@3:53〜) 
天気が目まぐるしく変わり、晩になると霧が立ち込めていました。 
左の巣口Lの辺りで2頭の野生動物の目が白く光りました。 
おそらくタヌキでしょう。 
カメラを警戒しているのか、キョロキョロ見回すだけで、なかなか手前に来てくれません。 


シーン9:12/25・午後22:46・気温-1℃(@4:14〜) 
翌日の晩遅くにも夜霧が立ち込めていました。 
右奥の巣口Rの辺りで動くタヌキの目が白く光っています。 
その後には、奥の雪原に移動した同一個体?が振り返る目が光って見えました。 


シーン10:12/27・午後20:53・気温-2℃(@4:26〜) 
2日後の晩には晴れてくれました。 
雪面は凍結した後にうっすらと雪が積もったようです。 
このような雪面だと動物は足が潜らないので、歩きやすくなります。 
深雪をラッセルした獣道は不鮮明になり、雪原を自由に歩き回った足跡が残されていました。 

タヌキが右奥の巣穴Rにゆっくり入りました。 
と思いきや、すぐに後ろ向きで出てくると、右奥の農道へ向かいました。 
画面奥で真っ直ぐな水平線のように見えるのが、深雪に埋もれた農道です。 


シーン11:12/28・午前5:54・気温-7℃(@5:26〜)日の出時刻は午前6:50。 
夜明け前にタヌキが右の巣穴Rを点検してから、左奥の巣穴Lに入りました。 


シーン12:12/28・午後20:27・気温-1℃(@6:03〜) 
久しぶりに2頭のタヌキが同時に写りました。 
1頭が右の巣穴Rに入っている間に、もう1頭は右へ立ち去りました。 


シーン13:12/28・午後22:57・気温-2℃(@6:30〜) 
雪原を右から歩いて来た2頭のタヌキが、2つの巣口R、Lを順に点検したものの、結局入りませんでした。 
右へ立ち去りました。 


シーン14:12/30・午後20:14・気温0℃(@7:30〜) 
巣口Rの辺りで匂いを嗅ぎ回ってから、雪原を左へ立ち去りました。 


シーン15:1/5・午後17:08・気温7℃(@8:19〜)日の入り時刻は午後16:37。 
新年の日没後に監視カメラが起動すると、根雪がだいぶ溶けていました。 
やはり暖冬らしく、休耕地の地面があちこちで露出しています。 
左手前の巣口L(露出した地面の枯れ草)に座ったタヌキが、カメラ目線のままで毛繕いしていました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
この期間に撮れた監視映像を見る限り、この巣穴ではホンドタヌキが越冬しているようです。 
ニホンアナグマと同居していて「同じ穴のむじな」だとしても、アナグマは冬ごもりして一度も外に出てきてないことになります。 

動画に同時に写ったタヌキの数が最大で3頭というだけで、きっちり個体識別すれば登場した延べ個体数はもっと多い可能性もありえます。


つづく→


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山中の池で交尾するエゾコセアカアメンボ♀♂?

 

2023年6月上旬・午後13:25頃・晴れ 

里山で湧き水が溜まった泉の水面で2組のアメンボ♀♂が交尾していました。 
エゾコセアカアメンボ(Gerris yezoensis)だと嬉しいのですが、アメンボを見分ける図鑑などをもってないので、真面目に検討したわけではありません。 
もし間違っていたら、ご指摘願います。 
ヤスマツアメンボ(Gerris insularis)ですかね? 

交尾中のペアの上にさらに別のペアがのしかかりました。 
縄張り争いやパートナーの強奪戦があるのでしょうか? 
それにしては、その後の展開がありません。
捕食(共食い)でもありませんでした。 

水中ではアズマヒキガエルの幼生(黒いオタマジャクシ)およびトウホクサンショウウオの幼生が泳いでいます。

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2024/11/19

年末年始の雪山でスギの枝葉に眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月下旬〜2024年1月上旬 

シーン0:12/25・午後12:18・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
里山でスギ林の林床(画面の左下隅)にあるニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1を自動センサーカメラで見張っています。 
 場所は里山にあるスギ植林地の上端部で、斜面を下から上に見上げるアングルなので、奥には落葉性広葉樹も見えています。 
右には渓谷(沢)が流れています。 
雪面にはスギの落葉落枝が散乱しています。 


シーン1:12/30・午前2:37(@0:03〜) 
奥の雪斜面をカモシカが珍しく右から左へゆっくり横切りました。 
一歩足を踏み出す度に雪面にズボズボ潜って、歩きにくそうです。 
立ち止まると、スギの枝葉に眼下腺を擦りつけてマーキングしたようです。 
もしスギの生葉を採食したのなら、枝全体が大きく揺れるはずです。 

その後はカメラ目線になりましたが、溜め糞場sr1には立ち寄らず、スギ立木の奥を通って左に向かいました。 


シーン2:1/3・午前0:47(@0:42〜) 
年が明けた新年の深夜に、スギの木の奥を通って左から登場したカモシカが、垂れ下がった横枝の下に佇んでいました。 
尻を向けているので、脱糞してる可能性もありますが、レンズの一部に結露しているのかハレーション?していてよく見えません。 
スギ横枝が軽く揺れたので、眼下腺マーキングしたようです。 


シーン3:1/3・午前0:49(@2:12〜) 
つづき。 
ようやくカモシカが右へ(谷へ)向かって歩き出しました。 
凍結(クラスト)した雪面に一歩足を踏み出す度にズボズボと潜って歩きにくそうです。 
雪面のクラスト状態が分からない暖地住まいの人は、最中もなかの皮を連想して下さい。 
右奥(谷の右岸)でもスギ?立木の下で立ち止まりました。 
枝葉を採食しているのか、眼下腺マーキングしているのか、遠くて見分けが付きません。 




※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

谷の落葉した樹上で警戒するニホンザルの群れ(首輪装着個体など)

 

2023年12月中旬・午後15:00頃・くもり 

野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが山麓の谷に散開し、採食しながらゆっくり遊動していました。 
谷の両側の斜面は落葉樹林です。 
落葉した冬の森は見通しが良くなり、樹上のニホンザルを見つけやすくなります。 
逆にニホンザル達も私に気づいた途端に警戒し、木陰に隠れたり木からスルスルと下りて逃走したりしました。 
地形の上から敵に見下されることにニホンザルは強い不安を覚えるのでしょう。
子連れのニホンザル(母子?)も樹上にいました。 
欲張ってカメラをズームインし過ぎると、手前の茂みのせいで被写体にピントが合わなくなってしまいます(前ピン)。 

最後に見つけた個体は、顔を少し上げたときに、黒い首輪が見えました。 
テレメトリー調査用に電波発信器またはGPSを装着しているようです。 
成獣♀だと思うのですけど、胸の乳首が枝に隠れて見えません。 
落葉樹の曲がった幹に腰掛けていた首輪ニホンザルは、樹上で方向転換して少し右上に登って座り直しました。 
私を警戒して、木の間の死角に隠れたつもりなのでしょう。 
痒い腰を左手で掻いています。 
唇がオレンジ色(茶色?)に染まっているのは、何を食べた跡なのかな? 
頬袋に餌を詰めているようで、口をもぐもぐ咀嚼しています。 

少し遠くて、ニホンザルの鳴き声はほとんど聞き取れませんでした。 
谷の斜面の林床には常緑のササ薮が点在しています。 
常緑の低木群落はユキツバキまたはヒメアオキと思われます。

2024/11/18

年末の大雪で埋もれかけたスギ倒木下の巣穴を何度も訪れる冬毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年12月下旬

シーン0:12/22・午後13:12・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
平地のスギ防風林で画面の奥に向かって根こそぎ倒れたスギの根元に掘られた謎の巣穴をトレイルカメラで見張っています。
画面のほぼ中央にぽっかり開いているのが、問題の巣穴bです。 
丸木橋のように見える水平の倒木で遮られて見えませんが、その下をくぐったすぐ左奥に、ニホンイタチMustela itatsi)が越冬する「根曲がり巣穴a」があります。 

巣穴bもイタチの越冬用巣穴ではないかと予想していたのですが、ホンドテンMartes melampus melampus)の登場シーンをまとめました。


シーン1:12/23・午後20:01(@0:03〜) 
晩に雪が降ってます。 
現れたのは、イタチよりも大型なテンでした。 
初めは巣口bを覗き込んでいたのですが、手前に向かって新雪を軽快にラッセルしながら出てきました。 
赤外線の暗視映像(モノクロ)でテンの冬毛は真っ白に見えます。 
てっきり巣穴bから外に出てきたのかと初めは思いましたが、周囲に残ったラッセル跡を冷静に読み解くと違いました。
奥のけもの道から来て水平倒木の下をくぐり、巣口bを点検してから手前に来たようです。 


シーン2:12/23・午後21:12(@0:16〜) 
1時間10分後、小雪がちらつく晩に、巣口bで獣が動いています。 
手前に積もった雪が邪魔で、残念ながら巣口bがよく見えません。 
その後は、右上にピョンと跳び上がって姿を消しました。 
今回もイタチではなくテンでした。 


シーン3:12/24・午前2:15(@0:36〜) 日付が変わった深夜、雪がほぼ降り止んでいました。 手前の深雪に足跡が新しく付いています。 巣口bから再び右上にピョンと跳び上がり、立ち去りました。 手前の獣道から来て、巣口bを点検してから通り過ぎたようです。 


シーン4:12/24・午前2:52(@0:45〜) 
37分後、水平倒木の手前の雪面を右から左に横切りました。 
新雪にテンの足跡が残ります。 


シーン5:12/24・午前2:57(@0:52〜) 
4分後に、倒木の右下からテンが顔を覗かせていました。 
これまでとは逆の経路で登場したようです。 
監視カメラに気づいて警戒したのか、その場で不格好に方向転換してから右上に立ち去りました。 

ところがしばらくすると、再びテンが戻って来ました。 
巣口bに飛び降りたものの、巣内には入らずに新雪をかき分けながら手前に向かってきます。 


シーン6:12/27・午前10:58・晴れ(@1:16〜) 
3日後の昼間には、積もった雪がだいぶ溶けていました。 
積雪に埋もれかけていた巣口bが、前よりもよく見えるようになりました。 


【考察】
個体識別できていませんが、とりあえず同一個体のホンドテンが何度も来ているということにします。
謎の巣穴bが気になって、繰り返し訪れて様子をうかがっているようです。
トレイルカメラを警戒しているのか、「穴があったら入りたい」というほど積極的ではありません。
ホンドテンが巣穴bに入る決定的瞬間の映像が撮れないことには、そこに住んでいると確証がもてません。 

もしかすると越冬用巣穴bの乗っ取りが目的なのではなく、野ネズミなど穴居性の獲物を探しているのかもしれません。

並んで風倒した2本のスギ倒木の根元に掘られた2つの巣穴a、bが何m離れているのか、真面目に計測すべきなのですが、巣口の近くまで私が近づいたことを示す足跡や匂いを残したくありません。
巣穴の主である野生動物が警戒して二度と近寄らなくなってしまうのでは、元も子もありません。
無人センサーカメラでの動画撮影を最優先にして、巣穴から少し離れた地点に機材を設置しただけです。

野生動物は水平倒木を丸木橋のように渡るのではないかと予想していたのですが、ホンドテンはその下をくぐり抜けただけでした。


つづく→


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羽ばたきながらヒャクニチソウの花で吸蜜・産卵するオオタバコガ♀(蛾)【FHD動画&ハイスピード動画】

 


2023年10月中旬・午後15:00頃・晴れ 

街なかの花壇に咲いたヒャクニチソウ(百日草)の群落でオオタバコガ♀(Helicoverpa armigera armigera)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
左前翅の翅頂が欠けた同一個体を撮り続けました。 

花弁が色とりどりの品種が咲いている中で、赤、白、黄色の花で吸蜜しました。 
筒状花から口吻を引き抜くと、オレンジ色の花粉が付着しています。 
次の花へと移動する前に、触角を前脚でぐいっと拭うことがありました。(身繕い) 
隣接する花に移動するときには、省エネのためにわざわざ飛ばずに歩いて行きました。 

くらべてわかる蛾 1704種』という図鑑でオオタバコガを調べると、
♀は(翅表が:しぐま註)橙褐色 
食草:イネ科、キク科、ウリ科、ナス科、バラ科など広食性 (p115より引用)

農薬メーカー?シンジェンタジャパンのサイトでは、次のように書いてありました。

前翅は雄は黄色味を帯び、雌は赤味を帯びる。 


この記述に従えば今回の個体は♂ということになるのですが、後に産卵したので♀と判明しました。
翅色の個体変異なのか、それとも強い日差しで翅の色が白飛びしてしまったのかな? 

訪花中も葉に止まっているときも、ほぼ休みなく翅を小刻みに震わせています。 
足を着地していますから、ホバリング(停空飛翔)ではなくて、いつでも飛び立てるように飛翔筋を震わせて体温を上げる準備運動(アイドリング)をしているのでしょう。 
暖かい日向ですから気温が低い訳ではないのですが、本種は寒がりなのか、特有の習性のようです。 
もしかして、捕食圧の高い地域なのでしょうか? 



オオタバコガがヒャクニチソウの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:08〜) 
撮影中は気づかなかったのですが、黄色い花の品種のヒャクニチソウで花蜜を吸いながら、腹端を前方に屈曲させて筒状花の側面に付けました。(@1:13〜) 
元の姿勢に戻るときに産卵管を伸ばしていたことから、産卵行動と判明しました。 
つまり、この個体は♀でした。 
準備運動していた羽ばたきが力強くなると、次の花に飛び去りました。 
前後の動画をじっくり見直しても、産卵していたのはこのときだけでした。 

オオタバコガ♀の産卵行動を観察できたのは、これが2例目です。 
関連記事(3年前の撮影)▶ ナスの葉に産卵するオオタバコガ♀(蛾) 

オオタバコガの産卵習性についてネット検索すると、石川県の病害虫防除室が公開しているPDF資料『オオタバコガ - 石川県 防除室だよりvol12』 がヒットしました。
雌は夜間に葉裏や新芽、花蕾付近等に1粒ずつ、一晩で200~300 粒、期間中に2000粒程産卵します。
卵を何個もまとめて産み付けるのではなく、1個ずつしか産まないというのは、私が観察した通りです。 
今回は花に産卵したので驚いたのですけど、オオタバコガ♀では珍しくないことを知りました。
撮れた写真や映像を改めて見直すと、ヒャクニチソウの群落で虫食い跡のある葉や花弁があちこちに見つかります。 
卵から孵化したオオタバコガ幼虫による食痕とは限りませんが、可能性はあります。 


2024/11/17

深雪に埋もれかけたニホンアナグマの越冬巣穴の入口を訪ねて回るホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月下旬 


シーン0:12/22・午後13:30・気温14℃(@0:00〜) 
シーン0:12/22・午後13:59・気温12℃(@0:03〜) 
平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用営巣地(セット)をトレイルカメラ2台で見張っています。 
根雪が積もりました。


シーン1:12/24・午後22:26・雪・気温-5℃(@0:07〜) 
雪がちらつく晩に単独で現れたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が、高所に設置した監視カメラを見上げていました。 
雪面の足跡を見ると、手前の獣道から来たようです。 
大雪が積もっても辛うじて開口しているアナグマの巣口Lを点検しただけで、獣道を手前に引き返してしまいました。 

最低気温を更新しました。 
暗視動画を撮影すると、赤外線LEDおよび電子回路の発熱により、1分間で0℃まで上昇しました。 
暑い夏はトレイルカメラの熱暴走が心配ですけど、寒い冬になると、撮影機材自体が温まる方が、乾電池の電圧低下が防げて好都合です。


シーン2:12/24・午後22:27・雪・気温-4℃(@0:23〜) 
つづきが別アングルの監視カメラに録画されていました。 
タヌキは深雪に足が潜らないよう注意しながら回り込むように進み、アナグマの巣口Rを覗き込みました。 


シーン3:12/24・午後22:28・雪(@1:23〜) 
立ち去るのが名残惜しいのか足取りが重く、タヌキはまだ広場の右で佇んでいました。 
巣口Rを振り返ってクゥーン♪と小声で(寂しげに?)鳴きました。(@1:47〜) 
湿った深雪に足をズボズボ潜りながら、右へ立ち去りました。 


シーン4:12/24・午後22:34・雪(@2:06〜) 
5分後に、画面の下からタヌキが再登場。 
アナグマの巣口Lを再び念入りに点検しています。 
立ち去るまで見届けられませんでした。

この監視カメラのレンズには結露してしまったのか、全体的に曇って見えます。 
別のカメラではくっきり写っていたので、夜霧が発生している訳ではありませ。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
どうしても擬人化して解釈したくなるのですが、律儀なタヌキは日課の縄張りパトロールのついでに、隣人であるアナグマの安否確認を欠かさないようです。 
紳士的な訪問で、アナグマの越冬する巣穴に押し入ることはありませんでした。 
「同じ穴のむじな」という訳ではなさそうです。 


つづく→

12月の虹

2023年12月中旬・午後13:30頃・晴れ 

里山を下山中に、市街地の上空に虹がかかっているのを見つけました。 
空に白い雲が多いですけど、反対側は晴れているのでしょう。 

初冬の空に虹が架かるのは珍しいと思って写真に撮りました。
私が気づいていないだけで、別に冬でもそれほど珍しい気象現象ではないのかもしれません。 


関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ 11月の虹|儚く消えるまで【30倍速映像】

根曲がり巣穴の周辺で餌を探す初冬の小鳥たち【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年12月中旬〜下旬

シーン0:12/11・午後14:11・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
平地のスギ防風林にある「根曲がり巣穴」を自動撮影カメラで見張っています。 
ここでニホンイタチMustela itatsi)が越冬していることが後に判明しました。 
杉の木が強風で奥に向かって根こそぎ倒れ、その巻き添えを食った落葉性広葉樹の幼木が毎年の積雪の重みで捻じくれた「根曲がり」の樹形に育ちました。 
巣口の手前に見える赤い実は、地表を這って伸びてきたツルウメモドキという蔓植物です。 
初冬の根雪が積もる前後に登場した小鳥たちの様子をまとめました。 

鳥の種類ごとに別々の動画に切り分けたかったのですけど、古いトレイルカメラをだましだまし使っているせいで鳥の体色が分からず、しっかり見分けられません。 
複数種が混群で登場することも多く、おそらくカラ類だと思われます。 
同定を諦めて、まとめて紹介することにします。 

自信をもって見分けられたヤマガラだけは、別の記事にしました。 関


シーン1:12/13・午後15:13(@0:03〜) 
ヒガラPeriparus ater)らしき小鳥が登場。 


シーン2:12/14・午前10:54(@0:08〜) 
シジュウカラParus minor minor)が群れで登場。 
根曲がり巣穴のすぐ近くで、土が付いたままのスギ風倒木の細根をあちこち啄んだりしています。 
後半は奥の茂みに逃げてから羽繕いしました。 


シーン3:12/14・午前10:56(@0:57〜) 
シジュウカラの群れの他に、地味な(焦げ茶色の?)小鳥が登場しました。 
ミソサザイTroglodytes troglodytes)ですかね?(あまり自信なし) 
ミソサザイといえば山地の渓流の近くで見かける小鳥だという認識だったので、こんな平地の防風林で見れるとは意外でした。
ミソサザイがシジュウカラと混群を形成するという話は聞いたことがありません。 
根曲がり巣穴の巣口にいきなり現れたということは(@1:12〜)、まさか恐れ知らずのミソサザイがそれまでイタチの巣穴の中に潜んでいたのでしょうか? 
あちこち啄んでいます。 


シーン4:12/14・午後13:37(@1:23〜) 
ミソサザイと思しき小鳥が単独で現れ、スギ風倒木の根際で餌を探し回っています。 


シーン5:12/14・午後13:44(@1:28〜)
ミソサザイ?が再登場。 


シーン6:12/17・午前9:50(@1:34〜) 
朝からみぞれが降っていました。 
ミソサザイらしき小鳥が、根曲がり巣穴から外に出てきました。 
身の危険を感じておらず、落ち着いた様子です。 
捕食されなかったということは、巣穴の主であるイタチは留守だったのでしょう。 
鬼の居ぬ間に、ミソサザイが根曲がり巣穴をねぐらとしていたのかもしれません。 

尾羽根を上下に振り立てながら巣口周囲をあちこち移動し、左へ飛び去りました。 


シーン7:12/20・午後12:29(@1:47〜) 
暖冬だったのですが、ようやく根雪が一気に積もりました。 
小鳥の群れが忙しなく飛び交ったり、採食したりしています。 
カラ混群ですかね? 
鳴き声は聞き取れませんでした。 


シーン8:12/20・午後13:43(@2:04〜) 
積雪が逆光となり、暗すぎてよく見えないのですが、小鳥がスギ風倒木の根際の穴というか隙間に潜り込んで餌を探しているようです。 
風雪をしのげるシェルター(安全な隠れ家)を探しているのかもしれません。 


シーン9:12/21・午前8:13(@2:18〜) 
翌朝には新雪が積もっていました。 
小雪がちらつく中を、小鳥が飛んですばやく横切りました。 


ツルウメモドキの赤い実を食べる野鳥がまったく居なかったのが不思議でした。
餌としてあまり好まれないのでしょうか?

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2024/11/16

雪山を徘徊する年末年始のホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月下旬〜2024年1月上旬


シーン0:12/25・午後12:18・晴れ(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
根雪が積もった里山のスギ植林地でニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1を自動撮影カメラで監視しています。 
(溜め糞は画面の左下隅の雪の下に埋もれています。) 
画面の手前から奥に向かって緩斜面を見上げるアングルです。 
林床の雪面にスギの落葉落枝が散乱しています。 
画角の右外には渓谷(山肌を深く侵食した沢)があります。 


シーン1:12/28・午前5:33(@0:03〜) 
夜明け前に、長い尻尾のある中型の哺乳類が奥の雪原を右から左へ横切りました。 
スロー再生で見ると、キツネでしょうか? 


シーン2:1/1・午後22:51(@0:21〜) 
奥の斜面を左から右へ白く光る目が横切りました。 
赤外線があまり遠くまで届かないため、暗くて正体不明です。 
ノウサギの動きとは違うような気がします。


シーン3:1/7・午後16:56(@0:31〜)日の入り時刻は午後16:38 
日没後にホンドギツネVulpes vulpes japonica)が単独で奥の斜面を左から右へ横切りました。 
日の入り後も雪明りでしばらく明るいのが雪山の利点です。
ようやくキツネの姿をはっきり捉えることが出来ました。 
渓谷の方へ向かっています。 


シーン4:1/8・午前3:58・雪(@0:43〜) 
雪が降りしきる深夜未明に、奥の斜面を徘徊する中型の野生動物が写りました。 
移動の動きがノウサギの跳躍ではありません。 
途中でちらっとカメラ目線をくれました。 
今回もキツネかな? 
やはり右の沢へ向かっています。 


つづく→ 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。

キツリフネの花の横でホバリングするホソヒラタアブ

 

2023年10月上旬・午後13:00頃・くもり 

山麓の道端の草むらに咲いたキツリフネの群落でホソヒラタアブEpisyrphus balteatus)の仲間が訪花していました。 
吸蜜シーンを撮りたかったのですが、キツリフネの花のすぐ手前でなぜか延々とホバリング(停空飛翔)しています。 

直後に飛来した蛾に目移りして、そっちを撮り始めてしまったので、ホソヒラタアブがキツリフネの花に着陸するまで見届けられませんでした。 
キツリフネの蜜腺は細長い距の奥に隠されているので、花蜜を舐めたければホソヒラタアブは花のかなり奥まで潜り込まないといけません。
雄しべの花粉が目当てなら、手前にあります。

2024/11/15

大雪の積もった年末に倒木の下をくぐって遊動するニホンザルの群れ【トレイルカメラ】

 



2023年12月下旬

平地のスギ防風林でニホンイタチMustela itatsi)が越冬する「根曲がり巣穴a」をこれまでトレイルカメラで調べてきました。 
実は、すぐ近くにもう一つの巣穴bがあって、気になっていました。 
複数の倒木が放置されているのですが、これも根こそぎ風倒したスギの根元に掘られた巣穴bです。 
試しに、こちらをトレイルカメラで監視することにしました。 
これもイタチの巣穴なのでしょうか?
2つの巣穴が内部でつながっていたりして?
限られた撮影機材でやり繰りしながら複数のプロジェクトを同時進行しているため、2つの巣穴を同時に見張ることができません。


シーン1:12/22・午後12:00・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
画面のほぼ中央にぽっかり開いているのが、問題の巣穴bです。 
水平な別の倒木で遮られて見えませんが、その下をくぐったすぐ奥に、「根曲がり巣穴a」があります。 


シーン2:12/24・午前8:00頃・(@0:04〜) 
水平倒木の上にも大雪が積もっています。 
ドカ雪が降った後でも、巣穴bは雪に埋もれていませんでした。 

水平倒木の下をくぐって奥の獣道からニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが手前に続々と駆け下りてきます。 
先行する個体が深雪をかき分けた(ラッセルした)獣道を縦列で遊動しています。 
巣穴bには気づいていないか、興味がないようです。 

動画に撮れたニホンザルは計3頭ですが、トレイルカメラを起動させた先頭個体がいたはずなので、少なくとも4頭の群れが遊動していたことになります。 
この推定個体数は前回と同じなので、とても小さな群れなのかもしれません。
(群れの仲間は別ルートで雪原を遊動している可能性もあります。)

水平倒木を野生動物は丸木橋のように使っているのではないかと私は予想していました。
つまり、水路を渡る丸木橋ではありませんが、獣道が立体交差していると予想したのです。
しかし今回のニホンザルは、水平倒木を渡り歩くことはしませんでした。


シーン3:12/25・午前10:58頃・晴れ(@0:25〜) 
積もった雪がかなり溶けていました。 
謎の巣穴bの周囲の状況が分かりやすくなりました。

 ※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

雪山でニホンカモシカの寝床を見つけた!【アニマルトラッキング・フィールドサイン】

 



2023年12月下旬・午後13:20頃・くもり 

雪山でニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2を見つけた後で、更に足跡を辿って行きます。 
スギの根元の雪面に大型の動物が長時間座った形跡を見つけました。 
周囲の雪面にはカモシカの蹄跡があることから、ここはニホンカモシカのねぐら(寝床)のようです。 
実は前年に見つけたカモシカの塒のある方向へ足跡は向かっていたのですが、急斜面に出る前に新しい塒を見つけることができました。
カモシカが休んだ場所の雪はよく踏み固められ、アイスバーンのように凍結しています。 
スギの落枝(木の根?)が露出していました。 
地面にフワフワの枯草や樹皮などを敷いて断熱材の寝床を作ることはしていません。 
熊よけスプレー(長さ20cm)を寝床の雪面に置いて、採寸代わりに写し込みました。 

現場は緩斜面に植林したスギ林の上端部で、その上はカラマツの植林地になっています。 
カラマツは落葉樹なので、冬になると雪が降ってもしのげません。 
カモシカが常緑のスギ林を好んでよく歩く理由が分かってきました。
ちなみに、この塒は溜め糞場sr2から緩斜面を登りつつ約20mほど離れた地点にありました。 

スギの木の下に積雪が少ないのは、空から降ってきた雪の多くが途中でスギの横枝や常緑の葉に積もるためです。 
隣の若いスギの木がもたれかかるように斜めに倒れていました。 
その枝葉に冠雪していることから分かるように、斜めスギ倒木はねぐらの目隠しにもなりますし、風雪をしのげる屋根(シェルター)ができていました。 
カモシカはよくよく考えた上で、少しでも安全で快適なねぐらの位置を選定していることが分かります。 

早速ここにトレイルカメラを設置して、ニホンカモシカの寝姿を観察してみましょう。 
果たしてカモシカは再び戻ってきてくれるでしょうか?
現場を踏み荒らさないように注意して撮影したつもりですが、塒の周囲を私が歩き回ったスノーシューの足跡をカモシカが警戒して、もうこの塒に近寄らなくなるのではないか?という一抹の懸念があります。 


つづく→ 


【アフィリエイト】 

2024/11/14

根雪が積もったアナグマの越冬用営巣地をラッセルして巡回するホンドタヌキのペア【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月中旬〜下旬 


シーン0:12/11・午後12:55・くもり・気温21℃(@0:00〜) 
シーン0:12/15・午前7:22・くもり・気温1℃(@0:04〜) 
初冬に根雪が積もる前の現場の状況です。 
平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が越冬する営巣地(セット)をトレイルカメラ2台体勢で見張っています。 
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 


シーン1:12/17・午前10:49・雪・気温0℃(@0:07〜) 
この日から本格的に雪が降り始めました。 


シーン2:12/20・午後20:04・雪・気温-1℃(@0:13〜) 
雪が降る晩に、タヌキが単独で現れました。 
一歩ずつ深雪に足が潜りながらも、林内をゆっくりうろついています。 
アナグマの巣穴には近寄りませんでした。 


シーン3:12/21・午前5:45・気温-4℃(@0:42〜)日の出時刻は午前6:47 
雪が激しく降りしきる翌日の未明にも、タヌキがひょっこり登場しました。 
今回もアナグマの巣穴には近寄りませんでした。 


シーン4:12/21・午後17:00・気温-3℃(@0:53〜)日の入り時刻は午後16:26 
日が暮れた晩に、♀♂ペアと思われるホンドタヌキが一緒にやって来ました。 
雪は降り止んでいますが、深雪をラッセルしながら縦列でゆっくり進んでいます。 


シーン5:12/21・午後17:04(@1:53〜) 
ラッセルをさぼって雪面を舐めていた後続個体が、ようやく先行個体の後を追って獣道を歩き始めました。 
足を一歩踏み出すごとに深雪に埋まり、雪道を進むのに難儀しています。 
ところが、せっかく林縁まで来たのに、なぜか引き返し始めました。 


シーン6:12/21・午後22:18・雪・気温-3℃(@2:53〜) 
約5時間10分後に、監視カメラが再び起動したときには雪が激しく降っていました。 
ペアで縄張りを巡回するタヌキの先頭個体がまず、深雪をゆっくりかき分けながら奥の落葉二次林へ向かっています。 


シーン7:12/21・午後22:22・雪(@3:12〜) 
約3分後に左から来たと思われる後続個体が先行個体が残したラッセル跡を辿って林内へ向かいます。
 「ラッセル泥棒」の雪中行軍は圧倒的に速いことがよく分かります。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
巣穴で冬ごもりするニホンアナグマと比べると、雪国のホンドタヌキは厳冬期でもはるかに活動的です。 
アナグマが越冬している巣口L、Rが大雪に埋もれかけていることもあり、通りすがりのタヌキが巣口に顔を突っ込んで詮索するような行動は一度もやらなくなりました。 


ヒャクニチソウの花蜜を吸い飛び回るモンシロチョウ♀夏型【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年10月中旬・午後15:00頃・晴れ 

街なかで道端の花壇に咲いたヒャクニチソウ(百日草)の群落でモンシロチョウ♀(Pieris rapae)夏型が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
秋晴れの陽射しを浴びたモンシロチョウ♀は、翅を半開きにしたままヒャクニチソウの花蜜を吸っていました。 

同じヒャクニチソウでも舌状花の花弁が色とりどりの品種が同じ花壇に咲き乱れています。 
私が見た限り、このモンシロチョウ♀個体は黄色または白(花弁の根元が赤)の花を選んで次々に吸蜜していました。 
花弁が真っ白な品種の花よりも、白い花弁で根元が蜜標のように赤い品種の花を好んで訪れていました。 
どうやらモンシロチョウは花の色に好みがあるようです。(赤色は認識しにくい?) 
品種改良の結果、花弁の色が違う品種では分泌する花蜜の量が異なる可能性も考えられます。

ヒャクニチソウの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:57〜) 
花から花へ飛び回るだけでなく、羽ばたきながら歩いて移動することもありました。

2024/11/13

年末に冬眠から目覚めて夜な夜な巣外をのろのろ出歩く雪国のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月下旬

シーン0:12/22・午後13:30・くもり・気温14℃(@0:00〜) 
シーン0:12/22・午後13:59・くもり・気温12℃(@0:03〜) 
平地の落葉した二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで見張っています。 
根雪が積もって2つの巣口L、Rがほとんど埋もれてしまいました。 


シーン1:12/24・午前0:48・雪・気温-2℃(@0:07〜) 
小雪が降る深夜に巣穴Rから外に出てきた直後と思われるアナグマが写りました。 
冬ごもりを始めてからしばらくアナグマが写らなかったので、もしかしてタヌキに巣穴を乗っ取られてしまったのか? 凍死してしまったのか?などと悪い想像ばかりしていました。
久しぶりにようやくアナグマの無事な姿を確認できて、一安心しました。 

深雪のため、アナグマの顔がしっかり見えません。 
身震いしてから再び巣穴Rに入り直しました。 
巣口Rの周囲の新雪にアナグマの足跡がついていないことから、森の中に外出していないことが分かります。 
巣口Rが雪で完全に埋もれると中のアナグマは窒息しますから、玄関を雪かきしたのかな?


シーン2:12/25・午前1:41・気温-3℃(@0:33〜) 
翌日の深夜には、雪が降り止んで晴れていました。 
出巣R直後のアナグマが奥の二次林の方を見ています。 
一歩も動かず、風の匂いを嗅いでいるだけでした。 
動きが乏しいので、5倍速の早回し映像でご覧ください。 
短い冬眠からの覚醒後に体温を再び上げていたのかもしれない、と思いつきました。 
それにしては、持続的なシバリングも見られませんでした。 

アナグマは雪が積もる厳冬期でも完全には冬眠しないことが分かりました。 
ときどき覚醒して巣口にまでは出てくるようです。 

採餌には出かけないので、絶食状態のようです。 

シーン3:12/25・午前1:46(@0:45〜) 
4分後に監視カメラが再起動したときには、巣口Rのアナグマは少しだけ右に移動していました。 
新雪の雪面に鼻面を突っ込んだり、前脚でそっと掻いたりしています。 
もしかして、雪を見たことのない若い個体(当歳仔)なのかもしれません。 
体格は♀タイプでも、左右の目は均等でした。(@1:35) 

身震いしてから、右へゆっくり歩き始めました。 
雪質は湿雪で、アナグマが後脚を踏み出すと、深く潜ります。(ラッセル行動) 
タヌキと違って、雪を舐めたり食べたりすることはありませんでした。 


シーン4:12/25・午前1:48(@1:45〜) 
雪面をゆっくりゆっくり徘徊するアナグマは、巣穴Rからほとんど離れていないものの、カメラの方を向いていました。 
セットの雪面の匂いを嗅ぎ回っているようです。 
やはりホンドタヌキやホンドギツネなどの訪問客が通った残り香が気になるのかな? 
対抗して雪面にスクワットマーキングをすることはありませんでした。
前脚で雪を掻いて道を作りながら右へゆっくり進んでいます。 
とにかく動きが緩慢で、「イヌは喜び庭駆け回り」と童謡「ゆき」に歌われた犬の行動とは全く違います。 
ときどき身震いしているので、寒そうです。 

夏に通い慣れた獣道の通りに、右へ向かっているようです。 
ところが途中で雪面に残る足跡に気づくと方向転換して、手前に向かって足跡を辿り始めました。 
カメラ目線になりました。 


シーン5:12/25・午前1:56(@1:45〜)
6分後には、自分がラッセルした獣道を右から引き返してきました。 
アクセストレンチの名残をたどって巣口Rの手前まで来ると、身震いしてからゆっくり入巣Rしました。 
深夜の雪原徘徊が終了です。 
雪深い二次林で餌が取れるとは思えませんから、うろついても体力を消耗するだけだと思うのですけど、一体何をしているのでしょう? 
夏に利用していた溜め糞場stmpとは逆方向に向かっていました。 
この個体が♂ならば、早春の交尾期に備えて、近所で越冬している♀の巣穴の位置をすべて確かめておく必要があるのだと理解できます。
しかし、どう見ても、この個体は♀でした。


シーン6:12/25・午後22:10・気温-1℃(@4:29〜)
明るい昼間は巣内で寝て、同じ日の晩遅くに再び巣穴Rの外に出てきました。 
新たに雪は積もっておらず、雪面は腐れ雪の状態です。 
巣口Rに佇んで辺りを見回したり風の匂いを嗅いだりするだけでした。 
前夜にラッセルして作った獣道を辿って右に移動を始めました。 
足を踏み出す度に深雪にズボズボ潜って歩きにくそうです。 
立ち止まって頻りに風の匂いを嗅いでいます。 
トレイルカメラの存在に気づいて警戒しているようにも見えます。 
あれほど活発だった夏のアナグマとは見違えるようで、冬のアナグマはとにかく動きが緩慢です。 


シーン7:12/25・午後22:36・気温0℃(@4:29〜) 
次にトレイルカメラが起動したのは24分後でした。 
まさか雪原の同じ場所で呆然と静止していたのでしょうか? 
雪原の獣道を左へ戻り、身震いしてから入巣Rしました。 


シーン8:12/26・午前1:52・雨天?・気温-2℃(@6:44〜) 
日付が変わった深夜。 
巣口Lを高所から見下ろすアングルに設置したトレイルカメラに初めてアナグマが写りました。 
巣穴Rから出た直後のようです。 
雪に埋もれかけた巣口Lに顔を突っ込んだものの、中には入らずに左に通り過ぎようとしています。 


シーン9:12/26・午前1:57・雨天?(@7:44〜) 
約5分後にアナグマが左から戻ってきたようです。 
巣口Lの匂いを嗅いでいました。 
雪面に残る自分の足跡を辿ってゆっくり隣の巣口Rを目指しているようですが、 別カメラで入巣Rシーンが撮れてないのが残念です。 


シーン10:12/27・午前1:14・雪・気温0℃(@8:44〜) 
翌日もアナグマは深夜未明に活動を始めました。 
営巣地(セット)に積もった雪が雨でだいぶ溶けてしまいました。 
雪面の足跡も不鮮明になっています。 
雨が雪に変わったようです。 

出巣R直後のアナグマは、いつものように巣口Rにしばらく佇んで、風の匂いを嗅いでいます。 
しばらくすると、ゆっくり歩き始めました。 
雪面の雪質(腐れ雪)は雨で溶けたせいでますます悪化し、アナグマは一層歩きにくくなりました。 


シーン11:12/27・午前1:16・雪(@9:05〜)
腐れ雪の雪原を右へゆっくりゆっくり歩いて行きます。 

不思議なことに、この後で帰巣するシーンが撮れていませんでした。 
低温でトレイルカメラの調子が悪いせいだと思うのですが、どこか別の巣穴で外泊したのでしょうか?(例えば休耕地にある営巣地) 
もしかすると、ゆっくりゆっくり歩けば煩わしい監視カメラのセンサーが反応しないことをアナグマは学習したのかもしれません。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

個体識別ができていないので、この営巣地で計何頭のアナグマが越冬しているのか、分かっていません。
今回登場したアナグマが同一個体なのか、それとも別個体が交互に外を出歩いているのか、不明です。

ところで、トレイルカメラが夜に赤外線を連続して長時間照射すると、近くの雪が熱で溶けるのか?(撮影環境を改変してしまうのか?)という疑問がわきました。 
人工知能Geminiに質問してみると、 トレイルカメラで使用される赤外線は、雪を融解させるほどのエネルギーを持っていないのだそうです。 
コタツに使われる赤外線は波長の長い遠赤外線で、トレイルカメラに使われる赤外線とは性質が異なるそうです。 
結論として、長時間照射してもかなりの至近距離に積もった雪がわずかに溶ける程度なのだそうです。 


【参考文献】
冬季は約5ヶ月間冬眠するが、睡眠は浅い。(wikipedia:ニホンアナグマより引用)
福田幸広『アナグマはクマではありません』 という本の装丁でカバーの折り返し部分にニホンアナグマについての基本情報が簡潔に書かれています。
12月〜2月、♂は単独で、♀は当歳仔・1歳仔といっしょに冬眠する。
冬眠に関してこの簡潔な説明文を書くために、どれだけ先人が苦労してフィールドワークしたのか、自分で観察を始めてみると実感できるようになりました。 
更に本文から、冬の行動について書かれた部分を抜書すると、
 アナグマは冬ごもりをします。ただ、すんでいる地域によって眠り始める時期や期間に大きな違いがあるようです。春まで巣穴から出てこないクマなどの冬眠とは異なり、間隔をあけて巣から出てきます。 (p30より引用)
 冬ごもりメンバーは母とその年に生まれた子ども、さらに前の年の子も加わることもあります。時々、巣穴から出てきてはみんなでストレッチをしたり巣の手入れをしたりして、また巣に戻って眠ります。春には、2歳になる息子は母アナグマより大きくなっています。 (p34より引用)
文献検索すると、全文PDFが無料でダウンロードできる論文を見つけたので、読んで少し勉強しました。
船越公威; 松元海里. 九州南部に生息するニホンアナグマ Meles anakuma の冬季における活動について. 哺乳類科学, 2018, 58.2: 221-226.

【抄録】九州南部の鹿児島市において,ニホンアナグマMeles anakumaの冬季活動を知るため,2016年12月から2017年3月に自動撮影カメラを利用して調査した.冬季のねぐら場所は固定しており,2個体が利用していた.両個体の巣外活動は同調していた.巣外活動停止の開始は12月22日で,その主要な外因として気温よりも光周期が示唆された.夜間の巣外活動は12月下旬から著しく低下した.その後,比較的短時間の巣外活動が3月初旬まで断続的にみられた.外気温0~3°C下でも巣外活動がみられ,気温低下と巣外活動に関連性はみられなかった.巣外活動停止(3日以上)に周期性がみられ,その間隔は平均11日であった.巣外活動が3日以上停止した1月5日から3月5日を冬眠期間とすると,50日となった.この冬眠期間は,東京都日の出町や山口市のアナグマの冬眠期間より短く,低緯度の鹿児島市では冬眠期間が短いことが明らかになった.

雪深い東北地方に住むニホンアナグマの冬季の行動についてはあまり調べられていないようで、閲覧できる報告が見つかりませんでした。 
もしかすると他の地域の個体群とは何か微妙な違いが出てくるかもしれません。 


つづく→



【アフィリエイト】