ページ

2024/05/16

アナグマが掘り返したばかりの古い巣穴に興味津々のホンドタヌキ♀♂ペア【トレイルカメラ】

 




2023年8月下旬 

シーン1:8/23・午前8:16・晴れ・気温27℃(@0:00〜) 


旧営巣地(セット)の古い巣穴LをリフォームしたニホンアナグマMeles anakuma)のペアが立ち去ってから3時間15分後、今度はホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)のペアが左から白昼堂々やって来ました。 
自然光下で見ると体色に違いがあるのが面白いですね。 
白っぽい毛の個体と、焦茶色の毛の個体のペアです。 
尻尾の黒斑だけを比べても全く異なります。

アナグマの残り香がするのか、匂いを嗅ぎながら巣口Lの手前から慎重に忍び寄ります。 
2頭が横に並んで同時に巣口Lに顔を突っ込み、匂いを嗅ぎました。 
夜明け前後にアナグマが巣口Lの拡張工事をしたばかりなので、近所のタヌキは興味津々です。 
土を掘り返したばかりの匂いで異変に気づいたようです。

急にタヌキ(茶)が振り返って自分の左肩を甘噛みしました。(@0:36〜) 
吸血昆虫に刺されて痒いのかな? 

巣穴Lには結局入らず、2頭のタヌキは左右に別れました。 


シーン2:8/23・午前8:17・晴れ・(@1:00〜) 
別アングルに設置した監視カメラに続きが撮れていました。 
ハエ(キイロコウカアブ?)がぶんぶん飛び回る巣口Rへ慎重に近づいたものの、匂いを嗅いだだけで中には入りませんでした。 
左へ戻りました。 


シーン3:8/23・午前8:17・晴れ・気温29℃(@1:25〜) 
左から戻って来たタヌキ(白茶)が、ゆっくり慎重に入巣Lしかけたものの、上半身をトンネルに入れただけで止めました。 
獣道を右上奥に立ち去りかけたのに、立ち止まって身震いしました。 
やっぱり巣口Lが気になるようで、再び戻ってきました。 
巣口Lに左からパートナーのタヌキ(焦茶)も戻ってきました。 
合流した2頭は縦列で右へ向かいます。 

はしゃいだり遊んだりする様子が全くなかったので、幼獣ではなく♀♂つがいの成獣なのでしょう。 


※ 動画の一部(シーン2)は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

タヌキの溜め糞を舐めながら翅紋を誇示するヒロクチバエ科Rivellia cestoventris

 

2023年8月上旬・午後12:20頃・晴れ 

平地のスギ防風林の獣道にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場wbc-1の定点観察に来てみると、久しぶりに新鮮な糞が追加されていました。 
獣糞には未消化のトウモロコシが大量に混じっています。 
常連の昆虫たちで賑わっていましたが、今まで見たことのない、カラフルで丸っこい微小なハエ2匹に注目しました。 
オレンジ色の体色で、腹部には黒い横縞模様があります。 
口吻を伸ばして獣糞から吸汁しながら、翅をリズミカルに開閉していました。
透明な翅には独特の斑紋があり、これを誇示しているようです(ディスプレイ行動?)。 
実は、同種と思われるハエが数百m離れた別の地点の溜め糞場phにも来ていて、気になっていました。 



マクロレンズを装着してじっくり接写したかったのですが、如何せんスギ林は暗過ぎます。 
仕方がないので、動画編集時に1.5倍拡大してリプレイしてみました。(@1:03〜) 

謎の小バエの正体を知りたくて、みんなで作る双翅目図鑑 画像一括閲覧ページで絵合わせすると、 どうやらヒロクチバエ科Rivellia cestoventris らしいと判明。 
和名はまだ付いていないようです。 
ちなみに、学名で肝心の種小名がR. cestoventirsと書いてあるのは誤植ではないでしょうか? 
英語版wikipediaでRivellia属の種名を列挙したページを参照すると、R. cestoventrisと書いてありました。 
難しい学名はみんな初出の情報源からコピペするようで、後発組の虫撮りブログなどで誤植がどんどん広がってしまいます。 
まるでDNA複製酵素のエラーから突然変異が生じ、集団内に広がっていく様を連想します(ミーム)。
ふつうは些細な誤植にいちいち目くじらを立てることは無いのですが、学名の誤植は1文字でも致命的(有害な変異)なので、誰かが気づいたらDNA修復酵素の役割を果たして訂正する必要があります。
ヒューマン・エラーでcestoventirsと誤植したときに、AIが「もしかしてcestoventris?」と注意喚起(サジェスチョン)してくれるようになると助かります。
どなたか出典の原著論文で学名の種小名を確認してもらえると助かります。 
BYUN, Hye-Woo, et al. A systematic study of Rivellia Robineau-Desvoidy in Korea, with emphasis on the species allied to Rivellia basilaris (Diptera: Platystomatidae). Journal of Asia-Pacific Entomology, 2001, 4.2: 105-113.
Google Scholarで検索すると、全文PDFをダウンロードするには有料でした。
しかし要旨を読むと、R. cestoventrisとしっかり書いてありました。
韓国の同じ研究グループによる続報が出ており、そちらは無料で全文PDFがダウンロード可能でした。
この論文でも種小名の表記はcestoventrisでしたので、間違いないでしょう。
BYUN, Hye‐Woo; HAN, Ho‐Yeon. Revised key and phylogenetic analysis of Korean Rivellia (Diptera: Platystomatidae), with redescriptions of two little known species. Entomological Research, 2004, 34.2: 83-90.


他にタヌキの溜め糞場wbc-1に集まっていた昆虫を列挙すると、オオヒラタシデムシNecrophila japonica)の成虫および幼虫、キンバエの一種、ニクバエの一種、ハネカクシの一種、などです。 


【アフィリエイト】

2024/05/15

古い巣穴を掘り返し古い寝床を外に捨てるニホンアナグマのペア【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月下旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地(セット)をトレイルカメラでしつこく監視を続けていると、ようやく面白い新展開がありました。

シーン1:8/14・午後13:51(@0:00〜) 
たまたま明るい日中に撮れた現場の様子です。 


シーン2:8/23・午前4:51・気温24℃(@0:03〜)日の出時刻は午前4:58。 
日の出直前に2頭のアナグマが巣穴L付近に現れました。 
小柄な個体(幼獣? 成獣♀?)が巣口Lの左をうろついている間に、もう1頭(ヘルパー♂?)が巣口Lに頭を突っ込んで拡張工事を始めました。 
長い不在の間に巣穴が崩落していたようです。 
これまでの観察では、巣穴を掘る重労働はヘルパー♂の役割とされています。 
しかし穴を掘る後ろ姿の股間を見ても、外性器(睾丸や陰茎)がはっきりしません。 
未だ若い♂なのか、それとも非繁殖期は男性器が退化(萎縮)するのかな? 
前足を使って土を後方へ掻き出すところで録画終了。 


シーン3:8/23・午前4:53(@1:04〜) 
さっきまで穴掘り作業をしていたアナグマの同一個体でしょうか? 
左から来ると、巣口Lに詰まっていた枯れ葉・枯れ草などの古い巣材を前足で後方に掻き出しながら後ずさりしました。 
アナグマは雨で湿った巣材を天日干しするらしいのですが、私はまだ実際に観察できていません。 
今回外に掻き出した巣材はかなり古くて、幼獣たちの糞尿で汚れていたはずですから、良い堆肥(腐葉土)になるはずです。 
後半はそのまま巣口拡張の土木工事(穴掘り作業)に移行したので、植物質の古い巣材は土砂の下に埋もれてしまいました。 
もはや巣材(寝床)として再利用するつもりがないのでしょう。 
巣口の後方に土砂や古い巣材を掻き出す結果、アクセストレンチが形成されます。 
最後は入巣Lしたところで1分間の録画終了。


シーン4:8/23・午前4:57(@2:04〜) 
2頭のアナグマが巣口Lに並んでいました。 
明らかに体格差がありますけど、親子なのか性差♀♂(♀<♂)なのか、どちらでしょう?
あまり自信はないのですが、♀♂ペアということにして話を進めます。
体の大きなヘルパー♂は穴掘り作業が一段落すると、身震いして体の土を落としてから、一旦左へ向かいました。 
その間に体の小さな♀が巣穴Lの中に入ったきり、出てこなくなりました。 
ヘルパー♂の仕事っぷりを内検しているようです。
左から戻ってきたヘルパー♂が巣口Lで穴掘り拡張作業を再開しました。 
巣口Lから前足で土を後ろのアクセストレンチにせっせと掻き出しています。 


シーン5:8/23・午前4:58(@2:54〜) 
ヘルパー♂が独りで穴掘り(巣口Lの拡張工事)を続けています。 
遂に2頭とも巣穴Lに入ったきり、外に出てこなくなりました。 


シーン6:8/23・午前5:00(@3:11〜) 
どうやら1頭のアナグマaが出巣Lした瞬間を撮り損ねたようです。 
再び穴掘りを再開しました。 巣口Lのアクセストレンチに座り込むと体の痒い部位を後足でボリボリ掻きました。(@3:24〜) 
そのとき、巣穴Lの中から別個体bが顔を出して、2頭が互いに見つめ合いました。 
bが巣外に出てきて2頭が並ぶと、体格差(a<b)が明らかになりました。 
これまでのストーリーと辻褄を合わせるために、♀aとヘルパー♂bというように解釈することにします。 
♀も少しは穴掘り作業をやることが分かり、新しい発見でした。 
大型の個体(ヘルパー♂?)の方が激しい穴掘り作業の結果、体毛が土で黒く汚れています。 
ヘルパー♂は巣口Lで身震いして土汚れを落とします。 

最後にアナグマのペアは仲良く並んで林床を右へ立ち去りました。 
てっきりリフォームした巣穴Lにこのままペアで住み着くと予想していたのに、意外な結末でした。 
非繁殖期には、あまり特定の巣穴には執着しないのかもしれません。


【考察】
観察歴の浅い私は、アナグマの個体識別や性別判定に苦労しています。 
この営巣地で出産した♀には特徴があり、首筋に♂が噛んだ交尾痕があるのと、赤外線の暗視カメラで見たときに左右の目が不均一でした(右目<左目)。 
今回の小柄な個体が♀だとしても、交尾痕が無く、両目の大きさは同じでした。 
出産・育児から解放された♀の「慢性の疲れ目」が回復したのでしょうか? 
腹面に乳首も見えなかったのは、幼獣が離乳して乳房が退化したのかな? 
辻褄合わせのため苦し紛れで仮定に仮定を重ねるのは無理があります。
オッカムの剃刀の原則からしても、新顔の♀がパートナー(ヘルパー♂)を連れて巣穴Lを物色しにやって来たような気がしてなりません。 
まさか、今季産まれたばかりの幼獣♀が早くもつがいを形成して実家に戻ってきたのでしょうか? 
謎は深まるばかりです。


近所のタヌキは結局、アナグマの空き巣を乗っ取りませんでした。 
そもそもアナグマの家族がこの営巣地から転出した理由は何でしょう?
思いつく限り、仮説を立ててみました。
  1. 梅雨の時期で巣穴に雨水が浸水し、巣材が湿ってカビが生え、幼獣にとって居住環境が悪化したので引っ越した? 
  2. 巣穴が崩落したので引っ越した?
  3. 巣材(寝床)にダニやシラミが大発生し、幼獣に体外寄生、吸血するようになったので、新しい巣穴へ逃去した? 
  4. 私が2台も設置したトレイルカメラに四六時中監視される生活がストレスで、我慢できずに逃去した? 
寄生虫対策の仮説(3)が我ながら気に入っています。
転出してしばらく日数が経ってから古い巣材を外に捨てれば、巣内に蔓延する体外寄生虫の数を抑制することができそうです。
私がバイブルにしているアナグマの本(福田幸広『アナグマはクマではありません』)を読むと、巣穴の転出はよくあることのようです。
出産して幼獣が育つと、母親が幼獣を引き連れて新しい巣穴に引っ越すのだそうです。 
新しい巣穴がどこにあるのか、残念ながら突き止められていません。


つづく→

キジ♂が田んぼの畦道に佇み、採食、羽繕い(野鳥)

 



2023年7月上旬・午前10:40頃・くもり 

田園地帯を私が歩いていると、キジ♂(Phasianus versicolor)が近くから慌てて畦道を走り去りました。 
少し離れてようやく落ち着いたので、動画を撮り始めました。 
しばらくは油断なく横目で私の方を警戒しています。 
 縄張り宣言の母衣打ちを披露してくれることを期待して長撮りしてみたのですが、全く鳴いてくれません。 
周囲の縄張りからもキジ♂の鳴き声は聞こえません。 
ライバル♂が周囲に居なければ、わざわざ縄張り宣言するモチベーションがなくなるのでしょうか? 
それとも、既にキジの繁殖期は終わって鳴かなくなったのかな? 
しかし過去の記録を遡ると、4年前には7月上旬にケンケーン♪と母衣打ちしていました。 

関連記事(4年前の撮影)▶ 早朝の階段で羽繕い、絶唱するキジ♂(野鳥) 


ようやく警戒を解くと、畦道をゆっくり歩きながら採食するようになりました。 
田んぼの畦道にはさまざまな水田雑草の穂が既に実っているので、キジはそれを食べて暮らしているのでしょう。 
立ち止まって周囲を見回すと、羽繕いを開始。 
緑一色の水田にキジ♂の真っ赤な顔がよく目立ちます。 

ちなみに、帰路に再訪した際には、同じ水田に隣接するヨシ原から母衣打ちするキジ♂の鳴き声♪が聞こえました。


※ 撮れた映像素材の順番を変えました。 
動きに乏しい警戒シーンは後半に回しました。

   

2024/05/14

ホンドタヌキの諸活動:8月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年8月中旬〜下旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の家族が昼も夜も通ってきます。
実はタヌキの家族が住む営巣地も近くの休耕地にあります。 
タヌキはときどき通りすがりにアナグマの巣穴の入り口で匂いを嗅いで行きます。
たまに空き巣に潜り込んで中を調べることもあります。
しかし、近所のタヌキはアナグマの空き巣を乗っ取る訳でもなく、日々の採餌に出かける途中に立ち寄るだけのようです。 
タヌキの個体識別ができていないので、更に余所者のタヌキも遠征して来ているかもしれません。 
尻尾の黒斑だけに注目しても、複数個体が出没していることが分かります。

何か特筆すべき行動があれば個別の記事にするのですけど、とりとめもない残り物のシーンをまとめました。 
観察歴の浅い私が見落としている行動がありそうですし、動画ファイルを削除する前に、念のため全て公開しておきます。 (ただの貧乏性ですね…) 


シーン0:8/14・午後13:51(@0:00〜) 
 シーン1:8/14・午後14:13(@0:03〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
新旧2台のトレイルカメラで見張っています。 


シーン2:8/15(@0:07〜) 
シーン3:8/16(@3:43〜)
シーン4:8/17(@4:14〜) 
シーン5:8/18(@7:48〜) 
夜にはコオロギらしき虫の音が聞こえるようになりました。

シーン6:8/19(@14:00〜) 
シーン7:8/20(@16:36〜)
シーン8:8/21(@17:12〜)
シーン9:8/22(@17:39〜) 

縄張りの池を守り争うオニヤンマ♂【トレイルカメラ】

 



2022年8月上旬・午後14:35〜17:10 

山中の湧き水が溜まった泉が野鳥や野生動物の水場となっているので、トレイルカメラで監視しています。 
細長い形の浅い池の水は画面の奥に向かって流れ出し、沢の源流になっています。 

昼間はオニヤンマ♂(Anotogaster sieboldii)がこの池の上空を何度も往復し、縄張りを張っています。 
池に来なくなる時間帯は、どこか近くの草木に止まって翅を休めながら、縄張りを油断なく見張り、♀を待ち伏せしているのでしょう。 
たまに別個体が池に飛来すると、2匹の激しい空中戦になります。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:09〜2:30、4:06〜5:19) 
♀が産卵にやって来ると交尾を挑み、ライバル♂が飛来すると追い払うのですが、私には映像から2匹目の性別を見分けられませんでした。 
(動画のフレームレートが15fpsと低いのが問題です。)
目の肥えたトンボ・マニアは、2匹の飛び方を見ただけで闘争なのか求愛なのか、見分けられるのでしょうか。 

水場に来るオニヤンマ♂を片っ端から一時捕獲して油性ペンなどで分かりやすい色を塗れば(個体標識)、何か面白いことが分かるかもしれません。 
例えば、それまで右岸の止まり木で休んでいたオニヤンマ♂がいつの間にかお気に入りの止まり木を変え、飛行巡回ルートも微妙に変わったときには、縄張り占有♂個体が入れ替わった可能性があります。 
縄張りを占有する♂個体を捕獲して取り除くと、すぐにライバル♂が侵入して来るでしょうか? 


※ 昼間の挙動が不安定な旧機種のトレイルカメラなのに、珍しくフルカラーで録画されていました。 
ところで、そもそも自動センサーカメラでオニヤンマ♂が繰り返し撮影できることが不思議でなりません。 
変温動物がいくら激しく動き回っても、トレイルカメラのセンサーは反応しないはずだからです。 
例えば、この池で早春にやって来るカエルの配偶行動(カエル合戦)をトレイルカメラで撮影しようと試みても、何も写らず失敗に終わりました。 
(両生類も昆虫も変温動物です。)
パトロール飛行中のオニヤンマ♂の体温は、意外に気温よりも高いのかもしれません。 
サーモグラフィカメラで撮ってトンボが発熱しているかどうか確かめたいのですけど、高価で手が出ません。 
それとも、トレイルカメラの設定でセンサー感度を最高に上げた場合には、温度に関わらず単なる動体検知になっているのかな?


【アフィリエイト】 

2024/05/13

夜明け前の林床でニホンアナグマとニアミスした謎の発光生物?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月下旬・午前4:18(日の出時刻は午前4:58) 

夜明け前にニホンアナグマMeles anakuma)が単独で旧営巣地にやって来ました。 
地面の匂いを嗅ぎながらゆっくりと左に移動すると、対面のミズキ立木に固定したトレイルカメラの赤外線LEDが点灯しました。 

アナグマの登場自体は別に面白くもなんともありませんが、気になる謎の発光生物?が監視映像に写っていました。 
アナグマのすぐ手前の地面にある細い落枝(蔓?)を伝って、謎の小動物が白い点のように発光しながら右へ移動していたのです。 
白点の動きは緩慢なので、後半は1.5倍に拡大した上で5倍速の早回し映像にしてみました。(@0:37〜) 
初めはなんとなく、落枝に沿って歩くカエルの目が暗視カメラの赤外線を反射しているのかと思いました。 
最後に白点が消えたのは、死角に移動したのか、それともカエルが目をつぶったと考えれば説明できそうです。 
落枝上をアリの行列が昼も夜も往来しているので、そこでカエルが待ち伏せしていれば食べ放題で獲物を捕食できそうです。 

もしかすると、謎の発光生物は陸生ホタルの幼虫かもしれない、と思いつきました。 
やや遠いので拡大しても正体が見えませんし、ホタルの幼虫にしては動きが速すぎるかもしれません。 
マドボタルの幼虫なら、発光が点滅するはず?



謎の発光生物の正体が何にせよ、アナグマは暗闇の林床で動く獲物に気づかなかったのか、見逃して立ち去りました。 
(カメラの赤外線を反射していただけだとすれば、アナグマの目には光って見えていません。) 
ホタルの発光が天敵に捕食されないようにする警告色だとすれば、アナグマは見事に忌避したことになります。 
ホタルは体内に毒を溜め込んでいて、緑色の光は夜行性の捕食者に対する警告なのです。 
アナグマが立ち去って捕食されるリスクが無くなったから、発光を止めたのかもしれません。 
以上、ホタルの幼虫だと面白いのにな…という私の願望(妄想)だけで記事を1本書いてみました。

実際に現場入りして夜の二次林で陸生ホタルの幼虫を探してみたら面白そうです。 
しかし、夜行性のアナグマやタヌキとニアミスしてしまう可能性が高いです。
夜間調査のせいで野生動物が怖がって森から逃げてしまい、トレイルカメラに写らなくなってしまうのでは本末転倒です。 
それでも、トレイルカメラの暗視映像で夜に蛍の光を撮ったときにどのように写るのか、別な場所で確かめる必要がありますね。
飼育下のアナグマにホタルの幼虫を給餌してみて、捕食するかどうか、誰か実験して欲しいものです。




【アフィリエイト】

ノスリのペアと携帯電話の基地局鉄塔(野鳥)

 

2023年8月下旬・午後12:20頃・晴れ 

田園地帯に建てられた携帯電話基地局の天辺付近に1羽のノスリButeo japonicus)が止まっていました。 
その鉄塔の周囲をもう1羽がぐるぐる飛び回っています。 
青空を背景に帆翔しています。 
♀♂つがいのパートナーなのでしょうか? 
ピーエ、ピーエ♪と甲高い声で鳴く声がかすかに聞こえるものの、どちらの鳴き声なのか、遠過ぎて分かりませんでした。 

カメラを下に向けると、基地局の保守点検用の中段ステージに小枝を組み合わせた空き巣が残されていました。 
おそらくノスリの営巣地ではなく、カラスの古巣だと思います。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
手ブレ補正なし。

2024/05/12

林床から落ち葉を拾い上げ…少し運んで捨てるホンドタヌキの幼獣【トレイルカメラ】

 



2023年8月下旬・午後17:20頃・晴れ(日の入り時刻は午後18:18) 

ニホンアナグマMeles anakuma)家族が転出した後の旧営巣地に、幼獣と思われる2頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が夕方にやって来ました。 
先頭個体aが林縁で黄葉した落ち葉(樹種不明:オニグルミか?)になぜか興味を示して拾いました。 
葉柄を咥えて拾い上げたものの、しばらく歩いてから捨てました。 
 野鳥の中には落ち葉の下に潜む虫を探すために、林床でひたすら落ち葉をめくって歩く種類が居ます。 
それに対して、今回のタヌキ幼獣の落ち葉拾いは、単発的で気まぐれな探索行動?でした。
タヌキもアナグマや野ネズミと同様に巣材(巣穴の寝床)として落ち葉を集めるのでしょうか? 

2頭の兄弟姉妹は画面の右端で出会うと、鼻面を軽く突き合わせて挨拶を交わしました。
再び別れて、それぞれが餌を探し歩きます。
二次林内に西日が射す美しい光景が珍しくフルカラーで録画されていました。 

ベニカナメモチ(レッドロビン)の花蜜を舐めるツマグロキンバエ

 

2023年5月下旬・午後12:30頃・くもり強風 

車道に面したベニカナメモチ(=レッドロビン)の生垣に花が咲いていました。 
レッドロビンに白い花が咲くとは知らず、初見でした。 
ツマグロキンバエStomorhina obsoleta)が訪花していました。 
強風で激しく揺れる花にハエは必死にしがみついていました。 
動画撮影には最悪のコンディションです。 
花序の風揺れを抑えるために、動画を撮りながら左手で枝を押さえ、手前にそっと引き寄せました。 
普通こんなことをしたら、警戒心の強いハエはすぐに逃げてしまうはずなのに、強風下では飛びたくないようです。 
口吻を伸縮させる動きが無いので、ただ花序に止まって風が止むのを待っているだけのようです。 
後半はようやく警戒を解いて、レッドロビンの花序を歩き回るようになりました。 

撮影中は気づかなかったのですが、同じ花序の右下に微小なゴツゴツした甲虫が来ていました。 
おそらくヒラタハナムグリ♂(Nipponovalgus angusticollis angusticollis)と思われます。 

関連記事(2年前の撮影)▶ ヒメウコギの花に集まるヒラタハナムグリ♂ 
右下に別種のキンバエ?が止まってたのに気づきませんでした。

2024/05/11

ニホンアナグマの諸活動:8月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月中旬〜下旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)に何か特筆すべき行動があれば個別の記事にするのですけど、とりとめもない残り物のシーンをまとめました。 
観察歴の浅い私が見落としている行動がありそうですし、動画ファイルを削除する前に、念のため全て公開しておきます。 (ただの貧乏性ですね…) 


シーン0:8/14・午後13:51(@0:00〜) 
シーン1:8/14・午後14:13(@0:03〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の状況です。 
新旧2台のトレイルカメラで見張っています。 


シーン2:8/15・午前4:50(@0:07〜)日の出時刻は午前4:51。 
ちょうど日の出時刻にトレイルカメラが起動しました。 
手前のオニグルミ灌木の陰になってよく見えないのですが、奥の二次林でアナグマが穴掘り採餌しているのかな? 


シーン3:8/17・午後20:24・気温26℃(@0:20〜) 
カメラの起動がやや遅れたようです。 
晩に1頭のアナグマaが左に素通りした後、別個体b(幼獣)が巣口Lを点検してから、仲間の後を追いかけて左へ向かいました。 


シーン4:8/22・午後22:06・気温27℃(@0:32〜) 
晩遅くに左へ向かうアナグマ♀成獣が巣口LRの中間地点の地面にちょっとだけ座りました。(スクワットマーキング?) 
後に来たタヌキはこの匂いに対抗して匂い付けしたのかもしれません。 


シーン5:8/22・午後23:48(@0:50〜) 
約1時間40分後、アナグマが広場を左へトコトコ歩いて行くと、対面に設置したトレイルカメラのセンサーが反応し、赤外線LEDが点灯しました。 


シーン6:8/22・午後23:48(@0:59〜) 
新機種のトレイルカメラで続きが撮れていました。 
いつもの場所(巣口Lの手前)で軽くスクワットマーキングしてから巣口Lを通り過ぎ、奥の獣道へ向かいました。 


シーン7:8/23・午前3:55・気温24℃(@1:17〜) 
日付が変わった未明に、右から来たアナグマ幼獣がいつものマーキング地点(巣口LRの中間地点)で立ち止まりました。 
腰を少し落として四足を踏ん張ったので、なんとなく排尿マーキングしたような気がします。 
地面に尻を擦り付けていませんから、スクワットマーキングではありません。 


シーン8:8/23・午前3:55(@1:35〜) 
別アングルに設置した広角の監視映像で続きが撮れていました。 
アナグマ幼獣は、巣口Rの匂いを嗅ぎ回ってから、ノソノソと右へ向かいました。 


シーン9:8/23・午前4:19・気温24℃(@1:35〜) 
左から来たアナグマが、巣口Lの縁の匂いを軽く嗅いでから、獣道を通って右上奥へ。 
レンズの至近距離をザトウムシの歩脚が動き回り、カメラの視界を遮って目障りですね。 


シーン10:8/23・午前4:52(@2:43〜) 
地面にマーキングしたように見えましたが、どうでしょうか? 
そのまま広場に座って毛繕いを始めました。 
体を曲げて背中を甘噛みしているようにも見えます(体の痒い部位を掻いている?) 
左に立ち去りました。 


シーン11:8/23・午前4:57(@3:15〜)日の出時刻は午前4:58。 
ちょうど日の出時刻にミズキの根元に座っていたアナグマが立ち上がって林縁を右へ向かいました。 
画面の右端で探餌穴掘りをしているようですが、画角の外でした。 
やがて右からセットに戻って来ると、入巣Rしかけたところで録画終了。 


シーン12:8/23・午前4:59(@3:41〜) 
巣口Rの横を素通りして、広場を右から左へ横切りました。 


シーン13:8/23・午前5:01(@3:54〜) 
右端からのっそり登場したアナグマが、林床の匂いを嗅ぎながらゆっくり右へ歩いて行きます。 

ラストシーンは編集のミス(カットし忘れ)で、それまでのシーンが重複しています(@4:17〜4:49) 



強風下で水田に離着陸する夏羽婚姻色のダイサギ(野鳥)

 

2023年5月下旬・午後12:30頃・くもり 

田植えしたばかりの水田で白鷺が採食していました。
カメラを向けてズームインしたら、途端に私を警戒して飛び去り、少し離れた畦道に着地しました。 
夏羽のダイサギArdea alba)は嘴が黒くなり、目元が青緑色の婚姻色を帯びていました。 
白い羽毛が強い風に煽られて逆立っていて、飾り羽は見えませんでした。
夏羽ではくちばしが黒くなり、足の基部がわずかに黄色がかる。また胸や背中に長い飾り羽が現れる。眼先が緑がかる婚姻色が現れることもある(wikipedia:ダイサギより引用)

関連記事(4年前の撮影)▶ 川の岩場から飛び立つアオサギ若鳥と夏羽のダイサギ(野鳥) 


しつこく撮り続ける私を横目で睨んでいたダイサギはその場で方向転換すると、足を屈めてジャンプしながら再び飛び立ちました。 
強い横風に煽られながらも低空で羽ばたいて飛び去り、水田の遠くの区画に着水しました。 
ダイサギが飛び去る様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

編集でカットした冒頭シーンを見直すと、アオサギも奥に居たのですが、撮影中は気づきませんでした。

2024/05/10

アナグマ専用の溜め糞場でホンドタヌキの幼獣が匂いを嗅ぐだけで通過【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月中旬 

スギ防風林でニホンアナグマMeles anakuma)専用の溜め糞場stmpを自動センサーカメラで見張っていると、ときどきホンドタヌキNyctereutes viverrinus)がやって来ます。 


シーン0:8/14・午後14:48(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
画面左下隅に朽ち果てた切株があります。 
切株の少し左に古い手押し車(猫車)が捨てられたまま朽ち果て、錆びた金属のフレームだけが残っています。 
そのフレームのすぐ左に黒々としたアナグマの下痢便が写っています。 


シーン1:8/15・午前1:38(@0:02〜) 
深夜に、おそらく幼獣と思われる3頭のタヌキが写りました。 
右奥で先頭個体aが林床をうろついています。 
後続のタヌキbが手前にあるアナグマの溜め糞場stmpで匂いを嗅ぎ回っています。 
先行するaの後を追うようにbも右上へ向かいました。 
しばらくすると、手前から別個体cが登場し、仲間の後を追いかけます。 


シーン2:8/15・午前4:48(@0:37〜)日の出時刻は午前4:51。 
約3時間後の日の出直前に、右から来たタヌキがスギ林を左上奥へ立ち去りました。 
今回はアナグマ専用の溜め糞場stmpには立ち寄りませんでした。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
この溜め糞場stmpは「アナグマ専用」です。 
タヌキが通りかかっても、匂いを嗅いで調べるだけで、そこに対抗して排便することは決してありません。 
実はタヌキ専用の溜め糞場wbcがここから約5m離れた地点にあるのです。 
タヌキとアナグマという「同じ穴のむじな)」は、排便するエリアを大まかに共有しているものの、実際の溜め糞場は種別にきっちり使い分けています。 
ホンドタヌキもニホンアナグマも幼獣がだいぶ大きく育ちましたが、たとえ幼獣であっても溜め糞を使い分けるエチケットは守っています。
親から教えられたのか、それとも生まれつきの本能行動なのでしょうか?


 つづく→

タヌキの溜め糞場で必死に配偶者ガードするオオヒラタシデムシ♂

 

2023年7月下旬・午後14:35頃・ 晴れ 

防風林でスギ倒木の横にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場phでオオヒラタシデムシNecrophila japonica)が三つ巴で組んずほぐれつしていました。 
どうやら、交尾中の♀♂ペアにライバル♂が横恋慕して♀を強奪しようとしているようです。 
横倒しになった♀♂ペアもマウントしているだけで交尾器は結合していません。 
交尾した後も♀が産卵するまで浮気しないように♂は配偶者ガードしているのでしょう。 

♀にマウントした♂が腹端を左右に激しく振っているのは、ライバル♂に対する威嚇牽制のつもりだと思うのですが、有効な反撃になっているとは思えません。 
腹端から何か刺激臭でも放出しているのかな? 
そんなことよりも早く(再び)♀と交尾して結合を続ければ、何よりも有効な浮気防止になると思うのですけど…。
溜め糞場で栄養を摂取して産卵したい♀にとっては迷惑なだけかもしれません。 

武器を持たないオオヒラタシデムシ♂同士は♀を巡る闘争に一体どうやって決着をつけるのでしょう?
早い者勝ちで交尾するしかない気がします。 
他に急ぐ用事のあった私は、この3匹の成り行きを見届ける余裕がありませんでした。

【アフィリエイト】

2024/05/09

夜の泉で泳ぐ野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月上旬 

里山の水場に設置したトレイルカメラの記録です。 

シーン1:8/5・午後21:08(@0:00〜) 
晩に奥の森から次々に飛来するコウモリが池の水面スレスレを何度も往復して、ときどき水面に波紋が広がります。 
コウモリが着水した瞬間に池の水を飲んでいるのではないかと予想しているのですが、動画のフレームレートが15fpsと低くてよく分かりません。 
(水生昆虫の捕食または水浴という可能性も考えられます。) 

カメラの近くにクモの網が張ってあるようです。 
空中に白い玉が2つ浮いているように見えるのは、クモの網の粘球がカメラの赤外線を反射しているのでしょう。 

コウモリが居なくなってしばらくすると、画面の左下から野ネズミ(ノネズミ)が登場しました。 
此岸から左岸に跳び移ります。 
いつもならそのまま岸辺をへつるように駆け抜けるのに、今回は左岸から池に躊躇なく入水したので驚きました。 
浅瀬を走るだけでなく、途中から明らかに水中を泳いで対岸へ上陸しました。 
そのまま林道の草むらに姿を消しました。 
野ネズミは水を恐れるどころか、しっかり泳げることが、これで判明しました。 
今回の映像が最も説得力があります。 

関連記事(1年前、1ヶ月前の撮影)▶  


野ネズミの水泳シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:39〜) 
泳ぐことで近道になっているかどうか、微妙です。 
ついでに水を飲んだとか、暑い熱帯夜で水浴したかったのかもしれません。 
(旧機種のトレイルカメラでは動画撮影時に気温のデータが取得されないのが残念です。) 

岸辺の草むらに天敵の捕食者が潜んでいると警戒した野ネズミが裏をかいたのでしょうか? 
例えば、この水場にはヤマカガシRhabdophis tigrinus)という毒蛇が来たことがあります。 
しかしヤマカガシも泳ぎが得意です。 

関連記事(6年前の撮影)▶ 水路を泳いで渡るヤマカガシ 


シーン2:8/6・午前3:35(@1:10〜) 
約6.5時間後。
日付が変わった深夜未明に、逆コースで野ネズミが現れました。(画面の赤丸に注目) 
対岸の草むらから左岸へと水際をチョロチョロ走って戻って来ます。 
今回は池を泳がずに陸上を移動しました。 
野ネズミの白く光る眼が池の水面にも反射しています。 

頻繁に飛来するコウモリのせいでトレイルカメラの電池が消耗してしまい、残念ながら15秒弱しか録画されなくなりました。 
尻切れトンボの映像ですが、途中で野ネズミは浅瀬から池の水を飲んだり獲物(昆虫?)を探したようにも見えます。 
池畔から奥の林道へ抜ける同じ獣道を往復しているので、シーン1と同一個体の野ネズミだと思われます。

畑を耕すトラクターの近くで虫を捕食するムクドリの群れ(野鳥:オートライシズム)

 

2023年6月下旬・午前10:50頃・晴れ 

トラクターが耕している郊外の畑にムクドリSturnus cineraceus)の小群が集まっていました。 
土を掘り返した直後の区画で次々と虫を捕食しているようです。
トラクターの耕耘活動を利用するためには、凄まじい騒音や動きへの恐怖を克服して餌が多く取れることを学習する必要があります。  
鳥が自分の生活のために、他の動物や人の活動を積極的に利用することを「オートライシズム」と呼んでいます。(平塚市博物館のホームページより引用)

ムクドリが嘴を常に半開きにしているのは、暑さに喘いでいるのかもしれません。 
(気温を測るのを忘れてしまいました。) 




2024/05/08

旧営巣地で昼も夜も元気に走り回って遊ぶニホンアナグマの幼獣たち【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月中旬 

遊びたい盛りのニホンアナグマMeles anakuma)幼獣が昼夜を問わず二次林内の旧営巣地(セット)を走り回るシーンをまとめました。 

シーン0:8/14・午後13:51・晴れ(@0:00〜) 
シーン1:8/14・午後14:13(@0:03〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の状況です。 


シーン2:8/17・午前11:56・晴れ・気温33℃(@0:08〜) 
左から走ってきたアナグマ幼獣が巣口Lで立ち止まり、少し引き返して身震いしてから再び巣穴Lに入りました。 
遊び相手が追って来ないので、独り遊び(空想上の敵と追いかけっこごっこ)をしているようです。 
やがて勢い良く出巣Lすると、左へ駆け去りました。 


シーン3:8/17・午後12:02・晴れ(@0:34〜) 
約5分後に、アナグマの幼獣2頭が旧営巣地(セット)に来ていました。 
幼獣aは右奥の林縁に座って、体の痒い部位を掻いています。 
巣口Rから外に出てきた幼獣bはaに向かって突進してから、手前で立ち止まり、上下に飛び跳ねて挑発します。 
遊ぼうよ!と誘っているのでしょう。 
幼獣2頭は唸り声を上げて、もつれあうように巣穴Rの中に転がり込みました。 
その後は外に出て来る様子がなぜか記録されていませんでした。 


シーン4:8/19・午後19:58・気温27℃(@0:46〜) 
2日後の晩にも独り遊びするアナグマ幼獣が現れました。 
巣口Lをピョンと飛び越えると、獣道を右奥へ走り去ります。 
立木の手前で立ち止まって腰を落とし、スクワットマーキングしたようです。 
引き返してきて広場を右往左往走り回っています。 
戻ってきたアナグマ幼獣が、巣口Lの手前で腰を下ろしました。 
ただ座り込んだだけで、尻を地面に擦り付ける動きをしていません。 
幼獣による未熟なスクワットマーキング行動なのでしょうか? 
また左へ元気に駆けて行きました。 


シーン5:8/19・午後19:58・気温27℃(@1:20〜) 
 別アングルに設置した旧機種のトレイルカメラで続きが撮れていました。 
対面のミズキ立木に固定した新機種トレイルカメラの赤外線LEDが煌々と点灯しているのが見えます。 

奥の二次林から広場に走って来たアナグマ幼獣が、少し立ち止まってから左へ向かいました。 
左から駆け戻ってきた幼獣が暗闇で林冠から垂れ下がる蔓植物に頭からぶつかり、つながっている枝葉が激しく揺れました。 
2アングルの監視映像を見ても遊び相手は写っていませんから、やはり独り遊びではしゃぎ回っていたようです。 


【考察】
ニホンアナグマ幼獣の個体識別どころか性別も見分けられませんが、兄弟姉妹で遊ぶのが好きな幼獣3頭と、独り遊びが好きな幼獣1頭に別れているような気がしてなりません。 
まれに幼獣4頭が一緒に行動しているシーンが撮れますから、1頭だけ仲間外れにされているとは思えません。
好きで独り遊びしているのでしょう。

この二次林で監視カメラの数をもっと増やして格子状に密に配置すれば、走り回るアナグマ幼獣の動向が詳しく掴めてくるかもしれません。
それには莫大な資金と(動画をチェックするための)時間が必要です。

私が本当にやりたいのは、各個体に小型のGPSやGoProカメラを装着して位置座標を刻々と記録することです(バイオロギング)。
そうすれば、日々の行動圏や引越し先の巣穴の位置もたちどころに判明するでしょう。
首輪の色などで個体標識も可能です。
しかし、罠を使って安全に一時捕獲したり麻酔したりする必要があるため、素人には手が出せません。



オニグルミの木に登って鳴き、樹液を吸うニイニイゼミ♂の群れ

 

2023年7月中旬・午後13:00頃・くもり 

山麓の道端でニイニイゼミ♂(Platypleura kaempferi)の合唱が聞こえました。 
鳴き声を頼りに辺りを探すと、若いオニグルミ灌木の細い幹に複数個体が止まっていました。 
樹上で生きたニイニイゼミを見つけられたのは、恥ずかしながら今回が初めてです。 
オニグルミの樹皮の色よりもニイニイゼミの翅の雲状紋の方が濃くて、それほど保護色(隠蔽擬態)になっていませんでした。 
私でも見つけられたのは、目立っていたからです。 

チーーー♪と単調にひたすら鳴き続けている♂個体を背側から撮ると、腹部を高速で前後に伸縮させて腹式呼吸しています。 
セミ♂にとって、鳴く行為(発音)はなかなか激しい運動なのでしょう。 
気温を測るのを忘れてしまいました。 
オスは翅を半開きにして「チー…ジー…」と繰り返し鳴く。鳴き始めは「チー」が数秒、急に音が高く大きくなって「ジー」、数秒-10秒ほどで緩やかに「チー」へ戻り、数秒後に再び「ジー」となり、鳴き終わりは「チッチッチ…」となる。日中の暑い時間帯には鳴く個体が少ないが、明るいうちはほぼ一日中鳴き、夜でも街灯など灯火に集まって鳴くことがある。他のセミが鳴かない朝夕の薄明頃にはヒグラシと並んでよく聞こえる。 (wikipediaより引用)

樹上で鳴いていたニイニイゼミ♂が、何の前触れもなく幹から飛び去りました。(@0:43〜) 
スローモーションにしても羽ばたきは速すぎて見えませんでした。 
次に機会があれば、飛び立つ瞬間をハイスピード動画で記録してみるつもりです。 

初めは気づかなかったのですが、カメラを上下にパンすると、計3匹のニイニイゼミが同じオニグルミの木に止まっていました。 
上には木登りしている個体がいました。(@2:32〜) 
立ち止まると幹に口吻を垂直に突き立てました。 
樹液を吸い始めたようです。 
腹面が白っぽく、腹弁が見えることから♂と分かります。 
真横から見ると、翅が透明に透けていて、その上に暗褐色の雲状紋が描かれています。 
口吻を斜め下に突き刺して樹液を吸汁している個体もいます。(@3:00〜) 

長撮りしている私の背後を車が通過しても、ニイニイゼミ♂は逃げませんでした。 
これだけ多くの個体が集まっているということは、羽化直後なのですかね? 
今思うと、念のために木の根元で抜け殻(羽化殻)を探すべきでした。 

 ※ 映像素材の順番を少し入れ替えました。 


ニイニイゼミ♂の鳴き声を声紋解析してみる? 
複数個体の鳴き声であることに注意。 
近くの草むらで直翅目も鳴いています♪(キリギリス系) 


【アフィリエイト】 

2024/05/07

夏の夜のスギ林床で活動する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月中旬 

スギ防風林にあるアナグマの溜め糞場を自動センサーカメラで見張っていると、夜に野ネズミ(ノネズミ)がときどき写ります。


シーン0:8/14・午後14:48(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
画面の左下隅に朽ち果てた切株があり、そのすぐ奥に古い用水路が掘られた名残の溝が斜めに走っています。 
この溝は獣道の一部になっています。 
その溝に捨てられた古い手押し車のフレームが錆びたまま放置されているのですが、スギの落ち葉が枯れた色と同じで紛らわしいですね。 
この手押し車フレームを目印として、ニホンアナグマMeles anakuma)専用の溜め糞場stmpがあり、黒い軟便が溜まっています。 


シーン1:8/17・午後20:36(@0:02〜) 
晩に野ネズミが溜め糞stmpの左横からスギ林床を左へ駆け抜けました。 


シーン2:8/19・午後22:56(@0:11〜) 
2日後の晩遅くにも画面の左エリアで林床を手前にチョロチョロと向かって来ます。 
切株の手前で溝に降りて死角に消えました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
野ネズミはアナグマの溜め糞場stmpにあまり近寄らないようです。 
匂いが嫌いなのか、あるいはタヌキの糞と違って未消化の種子が含まれていないからかもしれません。 
今回はカメラの画角設定がいまいちだったので、もう少し監視を続ける必要があります。 


つづく→

春の雪捨て場で餌を探し歩くハシボソガラス(野鳥)

 

2023年4月上旬・午後14:15頃・くもり 

河川敷の一部が公営の雪捨て場になっていて、冬の積雪期には街中の道路から除雪した雪をダンプカーが次々と捨てに来ます。 
春になって雪解けが進むと、巨大な雪山がだいぶ小さくなっていました。 
捨てた雪に混じっていた黒い土砂が雪解けと共に雪面に現れるため、白かった雪山が真っ黒な汚ならしい山になってしまいます。 
スタッドレスタイヤやチェーンを装着した車がアスファルトを削るため、舗装路から除雪した雪に黒い粉塵が混じってしまうのかもしれません。
春は黄砂もうっすらと降り積もります。
雪山の表面の黒い汚れが太陽熱を吸収して、更に雪解けが加速します。 
雪捨て場には大量の生活ゴミ(プラスチックやビニール製品、空き瓶、空き缶など)も混じっています。 
ちなみに雪が完全に溶けると、河川敷に残った膨大な不燃ゴミは清掃職員(または誰かボランティア?)がきちんと回収しているようで安心しました。 

1羽のハシボソガラスCorvus corone)が春の雪堆積所で餌を探し歩いていました。 
残飯や生ゴミが雪に混じっているとは思えないのですが、雪面からときどき何かを啄んでいます。 
食べた餌でカラスの喉袋が少し膨らんでいます。 
雪堆積所に何か虫が発生しているのかな? 
ここは平地なので、セッケイカワゲラが出るには時期が遅過ぎる気がします。

ハシボソガラスはカメラを向ける私を警戒し、トコトコ歩いてどんどん遠ざかり、少し飛んで離れた位置へと逃げてしまいました。 
黒い塊に近づいたのでカラスの死骸かと思いきや、黒いビニール袋のゴミで、ハシボソガラスは素通りしました。

2024/05/06

ニホンアナグマの旧営巣地でホンドタヌキが転げ回って熱狂的に匂い付けする物とは?【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年8月中旬〜下旬

ニホンアナグマMeles anakuma)家族が転出した後の旧営巣地に通りかかる ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が奇妙な匂い付けの行動をするようになりました。 
「アナグマ参上!」「タヌキ見参!」とお互いに対抗するかのように同じ地点にマーキングし合っています。
それだけでは説明できない不思議な行動も始めたのです。


シーン1:8/17・午前4:43:・気温22℃(@0:00〜)日の出時刻は午前4:52。 
夜明け直前に1頭のタヌキ幼獣がアナグマの巣口Lを点検している間に、タヌキ成獣は左へ歩き去りました。 
それを追いかけようとした幼獣が、セットに転がっていた細長い落枝の匂いを嗅いでから、首筋を擦り付けて匂い付けをしました。 
立ち去り際に、その落枝に小便をかけてマーキングしたようです。 
目を凝らして動画を見ると、落枝の上をアリの行列が夜も右往左往しているので、蟻酸の匂いが気に入ったのかもしれません。 


シーン2:8/22・午後22:06・気温27℃(@0:36〜) 
5日後の晩に現れたニホンアナグマ成獣♀が例の細長い落枝のすぐ横で尻を地面に擦り付け、スクワットマーキングしました。 
まさか5日前にタヌキ幼獣がやった排尿マーキングの残り香に対抗したのでしょうか? 
そのまま左へ。 


シーン3:8/22・午後23:48・気温26℃(@0:49〜) 
1時間40分後の深夜に左からやって来たアナグマ幼獣が、いつもの場所で軽くスクワットマーキングしてから巣口Lの横を通り過ぎ、右上奥の獣道へ向かいました。 


シーン4:8/23・午前3:55・気温24℃(@1:02〜) 
日付が変わった未明に現れたアナグマ幼獣が、通りすがりにいつもの場所でちょっと座り込みました。 
地面に尻を擦り付けてはいないので、スクワットマーキングではなさそうです。 
なんとなく排尿マーキングではないかと思うのですが、どうでしょうか? 
ノソノソと左に歩き去りました。 


シーン5:8/23・午前3:55(@1:18〜) 
別アングルに設置した広角の監視映像で続きが撮れていました。
巣口Rの匂いを嗅ぎ回ってから、右へ向かいます。 


シーン6:8/23・午前8:15(@1:45〜) 
4時間20分後、朝日がすっかり昇りっていました。
奥の二次林から1頭のタヌキaがゆっくりやって来ました。 
直後に右から別個体bが現れました。 
aはアナグマの巣口Rに慎重に近づき、匂いを嗅いでいます。 
耳をピクピク動かしているのは、飛び回るハエ(コウカアブ?)を払うためかな? 
その間、右でタヌキbが地面に転がっていた細い落枝に横顔(首筋?)を擦り付けました。 
幼獣か成獣か、私には見分けられません。 


シーン7:8/24・午前8:55(@2:18〜) 
翌日も明るい午前中にタヌキのペアが登場しました。 
体格差があるので、おそらく親子なのでしょう。(幼獣と成獣) 
巣口Rの近くで地面に転げ回り、細い落枝に首元を何度も擦り付けています。 
猫にマタタビを与えたときのように、夢中になって匂い付けをしています。 
もう1頭(成獣)も近寄ってきたのですが、落枝に興味を示さないのが非常に興味深く思いました。 
この匂い付けは、タヌキの幼獣に特有の行動なのでしょうか?  
匂いに対する反応に性差があるのかな?(性的な興奮? ネコにマタタビ的な媚薬?) 
タヌキにフレーメン反応があるのかどうか知りませんが、素人目にはしてないと思います。 
幼獣個体が落枝を独占して、匂い付けに熱中しています。
 
ちなみに、アナグマは同じ落枝の匂いを嗅いでも、その上で転げ回ったり毛皮を擦り付けたりする行動は見られません。

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
タヌキがこれほど熱狂する落枝の匂いが気になります。
しかし我々ヒトは嗅覚が退化しているため、悲しいかな追体験ができません。 
問題の落枝を採取して精密な化学分析にかければ、何か発見できるでしょうか。 

飼い犬でも散歩中に似たような行動をすることがあります。
お気に入りの物体(落枝)の匂いを自分の毛皮に移して我が物にする行動だと思うのですが、逆に首筋の臭腺?から落枝に対して匂い付けをしている可能性も考えられます。





 
 
↑【参考動画】
「タヌキ においづけ」 by UraniwaKansatsukiさん(裏庭観察記) 
竹林に設置したトレイルカメラの映像です。
先行する個体が地面に生えた幼竹の小さな茂みに首筋など自分の毛皮を激しく擦り付けました。 
後続個体2頭のうち、1頭は同じ場所に立ち寄って匂いを嗅ぐも、匂い付け行動をしませんでした。 
ここでマーキングした動物の正体は?