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2019/12/08

路上でミズキの落枝を拾い実を食べるニホンザル♂(左切れ耳)



2019年7月下旬・午前7:00頃

▼関連記事
ミズキの果実を食べるニホンザルの群れ
ミズキの木を降りながら実と葉を食べるニホンザル

画面左の山林からニホンザル♂(Macaca fuscata fuscata)が路上に現れました。
群れの仲間が登って採食しているミズキの木の下に座り込むと、路上に散乱した落枝を拾い上げました。
青く色づき始めた果実を1粒ずつ摘んで食べています。
必ずしも黒く完熟していなくてもニホンザルはミズキの果実を食べるようです。
口をモグモグしながら体を掻きました。

食後は欠伸をして立ち上がると道を横断。
私の方を見ながら再び座ると右手で頭を掻きました。

ちなみに、この個体は左の耳介の形が異常でした。。
千切れたように切れ込みが入っていて、個体識別の目印になりそうです。
「切れ耳」と渾名を付けることにします。
右耳の形は正常だったので、先天性の奇形ではなく、発情期の激しい喧嘩で噛み千切られた怪我の跡なのでしょう。


ニホンザルの樹上採食法は行儀が悪く、果実を食べるために枝を次々と折ってしまうだけでなく、食べ残しを惜しげもなく捨ててしまいます。
今回のミズキは野生の樹木ですから誰も咎めませんが、ニホンザルが果樹園に侵入して食害すると深刻な問題になります。
ニホンザルの破壊的な食べ方は、猿害に悩む果樹園農家から憎まれる大きな一因となっています。
「きれいに食べてくれたら少量の果実ぐらいなら食害されても目を瞑る(野生動物にお裾分けする)のに…」という恨み節も聞かれます。
しかしこれがニホンザルの生まれつきの食事作法なのですから、しつけが悪い!と責めても仕方がありません。

ニホンザルの食べ方は非常に無駄が多いように見えますが(もったいない!)、食べ残した落枝もやがて他の野生動物の餌になっていくのでしょう。

特にシカやカモシカなど木に登れない草食動物は、遊動するニホンザルの群れの後をついて歩き、猿の落とし物を拾い食いする採食戦略をとる者もいるようです。(片利共生)
▼関連記事(6年前に撮影)
雪面に散乱したツルマサキの枝葉をニホンカモシカが拾い食い


ニホンザルの群れの中でも怪我や老齢のために木登りが億劫な個体もいるかもしれません。
そうした弱者も群れの仲間が地面に落とした食べ残しの拾い食いである程度は空腹をしのげるでしょう。
また、猿が木の枝を折って歩くことで枝が間引かれ、生い茂った林冠に適度なギャップが生じ、森林全体の生態系が健康に保たれるのかもしれません。

ニホンザル♂:左切れ耳@路上+ミズキ落枝+果実採食
ニホンザル食痕:ミズキ落枝+果実+scale
ニホンザル食痕:ミズキ落枝+果実
ニホンザル食痕:ミズキ落枝+果実・全景

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