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2025/07/29

トレイルカメラのザトウムシ対策で粘着トラップを試してみる(その1)イモムシの捕獲

2024年6月中旬 

野生動物や野鳥を隠し撮りするために、フィールドにトレイルカメラを設置すると、夜行性のザトウムシに悩まされます。 
なぜかトレイルカメラのレンズの上に被さるように居座り、極細の歩脚が目的の被写体を遮ってしまうのです。(お邪魔虫) 
常夜灯なら走光性で誘引される昆虫を待ち伏せして捕食するクモを見かけるので理解できるのですが、トレイルカメラは赤外線LEDがときどき点灯するだけなので、何がザトウムシの目的なのかさっぱり分かりません。 
ほんのり発熱するトレイルカメラが心地よいのでしょうか。 

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ザトウムシに恨みはありませんが(むしろ私は好きな虫です)、なんとかトレイルカメラに近寄らせない方法はないか、ずっと思案してきました。 
殺虫剤や防虫スプレー(虫除け、忌避剤)を噴霧する方法はやりたくありません。 
長期間効果が持続するほど毒性の強い薬剤をフィールドに大量散布したら生態系を破壊することになりますし、なにより嗅覚の鋭い哺乳類(野生動物)が異臭を嫌って寄り付かなくなってしまうことが予想されるからです。 

害虫(害獣)駆除でよく使われる粘着トラップを設置することをようやく思いつきました。 
ニホンアナグマの営巣地(セット)がある平地の二次林で試してみましょう。 
トレイルカメラを挟んで幹の上下にガムテープを巻くだけの簡単な対策です。 
ただし、ガムテープの粘着面を上にしておくのがポイントです。 
極細の足で幹を伝い歩いてザトウムシがトレイルカメラに近づこうとすると、ガムテープの粘着面に足がくっついて動けなくなる、という作戦です。 
ガムテープは紙製ではなく、少し値段が高くても布製のタイプを選びます。 
ガムテープは茶色系なので、木の幹に巻きつけても、林内ではあまり目立ちません。 
私はトレイルカメラを立木の幹にベルトで固定することが多いのですが、ザトウムシは幹を下から登ってくるのか、それとも樹上から降りてくるのか、予想がつきません。 
そこで、カメラの上と下の両方に粘着トラップを設置してみます。
ガムテープには特有の異臭が多少はあるのかもしれませんが、防虫スプレーよりは遥かにマシでしょう。 
何週間も野外に放置すれば、ガムテープの異臭も自然に抜けるはずです。

2024年6月下旬 

15日後に再び現場入りして、トレイルカメラを保守点検しました。
撮れた動画を確認すると、この虫よけが奏功したのか、ザトウムシの邪魔な映り込みが全くなくなりました。 

風雨に晒されてガムテープの粘着性が低下していましたが、張り替えずにこのまま続行します。 
微小なアリ(種名不詳)がガムテープの粘着面を歩いて横切り木に登るのを目撃したのですけど、証拠映像を撮るのが間に合いませんでした。 

2台設置したトレイルカメラのうち、1本の立木で粘着トラップに囚われていたのは、想定したザトウムシではなく、蛾の幼虫(イモムシ、芋虫)でした。 
トレイルカメラの下ではなく上に巻いた粘着テープに2匹のカラフルな尺取り虫が付着したまま死んでいました。 
つまり、幼虫は幹の上から降りてきたことになります。 
木の葉を食べて育った幼虫が、地中で蛹化する生活史なのでしょうか?(調べていません) 
1匹の幼虫は死ぬ前に、茶色くて濃い消化液を口から吐き戻していました(自衛のため?)。

撮れた写真からGoogleレンズで画像認識させると、ヒメマダラエダシャクAbraxas niphonibia)の幼虫らしい。 
幼虫の食餌植物はニシキギ科らしく、確かにツルウメモドキの蔓が林内の立木によく巻き付いています。 
この時期にAbraxas属の成虫(マダラエダシャクの仲間)を林内でたまに見かけます。 

巻き添えの被害にあって死んだ芋虫には申し訳ないのですが、生態系への悪影響は少なそうなので、この粘着トラップ作戦をしばらく続けてみます。 

粘着トラップに捉えられて動けなくなった虫を野鳥が次々に捕食しているかもしれない(証拠隠滅)ので、捕獲数をかなり過小評価しているかもしれません。


つづく→

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