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2020/06/20

交尾中のオオヒラタシデムシ♀♂が別れるまで



2019年8月中旬・午後15:30〜15:38・晴れ


▼前回の記事
交尾中のオオヒラタシデムシ♂が♀の触角を噛んで引っ張る性癖について

堤防上の細い砂利道で交尾しているオオヒラタシデムシ♀♂(Necrophila japonica)を見つけました。
前回の記事と同じ日にほぼ同じ場所で別の♀♂ペアaを続けざまに撮りました。

♀の背後からマウントした♂が♀の右触角に噛みついてグイグイ引っ張り、♀の体勢をしっかり保定しています。
触角を強く引っ張られた♀は首を右に曲げたままじっとしていますが、大顎を開閉しています。
(我々はどうしても♀を見て「苦しげな体勢」とか「DV(性的虐待)だ!」などと擬人化しがちですが、これがオオヒラタシデムシの交尾法なのです。)
交尾中の♂が♀の胸部を触角でやさしく撫でているのは宥めの信号を送っているのでしょう。

採寸代わりに1円玉を並べて置いてみました。
背面ではなく横から撮ると、♂が腹端を強く屈曲して♀に交尾器を結合している様子が見えました。

やがて、♀が交尾中の♂を背負ったまま前に歩き始めました。
立ち止まると♀は身繕いを始めました。
前脚の先を交互に舐めています。
♀はますます落ち着きがなくなり、ギクシャクと方向転換した拍子に♂の交尾器が外れました。
♂は慌てて再交尾を試みます。
マウントした姿勢で左右にガタガタ揺さぶっているのは、♀が♂を振り落とそうとしている交尾拒否行動なのか、それとも♂が交尾器を挿入する角度を調節しているのでしょうか?
♀の抵抗がますます大きくなると、遂に♂が諦めて♀の触角を口から離し、ペアを解消しました。

交尾直後の♂が一目散に走り去った姿には笑ってしまいました。
交尾を済ませると配偶者♀にはもはや未練は無いようで、♂は♀を残したままスタコラサッサと逃げていきます。
♀はしばらく路上で身繕いしてから、道端の草むらへ逃げ込みました。
空はよく晴れているのですが、現場が河畔林の小径なので、砂利道に落ちた木漏れ日がチラチラと動きます。

本種の交尾を最後まで見届けることができたのは今回が初めてです。
出歯亀(=私)に交尾をずっと撮られているのを嫌がって中断してしまった可能性もありますかね?
次に機会があれば、♀♂の出会いから交尾を始めるまでの過程(求愛行動)を観察してみたいものです。
交尾の所要時間はどのくらいなのでしょう?




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