2025年3月中旬
シーン1:3/11・午前5:49・気温-4℃(@0:00〜)日の出時刻は午前5:54。
夜明け直前なのにもうだいぶ明るいのは、雪明り(雪面からの反射)のおかげです。
いつも行動を共にしているホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)3頭の家族群が、落葉二次林内の越冬用営巣地にまた来ていました。
ここは以前、ニホンアナグマの営巣地(セット)でした。
明るい日中には、輝板の反射で失明状態を見分けることができません。
雪深い林床を横切って、巣口Rへ向かいます。
先行する♀♂ペアが右奥で、雪面のある地点に穴を掘って匂いを嗅いでいます。
ここは前日の夕方に、両目失明個体♀hが運んできた獲物(生魚)を雪の下に埋めて隠した地点です。
母親♀が獲物の匂いを嗅ぎ当てて、雪の下から掘り出そうとしています。
(あるいは既に魚?の死骸をガツガツと食べているのかもしれませんが、よく見えません。)
せっかく前日に両目失明個体♀hが隠した貯食物を、母親♀に奪われてしまいました。
怒ったり抗議したり獲物を取り返そうとしたりしないのも、切ない話です。
居候のヘルパーとして、両親♀♂に給餌するのは当然の行動(貢ぎもの)なのかな?
貯食物を食べる♀の横で、♂が♀の尻の匂いを嗅いで発情状態をチェックしています。
それに反応して、♀が尻尾を少しずつ上げました。
尻や陰部を♂に舐められて、性的に興奮しているのでしょうか。
次に、♂が右後脚を持ち上げながら♀の体に小便をかけて、匂い付け(アロマーキング)しました。
食い気よりも色気の♂は、再び♀の発情チェック。
その間、両目失明個体♀hは巣口Rに座って、♀♂ペア(両親)のいちゃつく様子を見守っています。
(両目のタペータムを失明した個体が昼間にどのぐらい見えているのか、不明です。)
母親♀が顔を上げたときに、口をモグモグと咀嚼していました。
父親♂は、さっきと逆の左後脚を持ち上げながら、♀の体にまたまた排尿マーキング(アロマーキング)。
シーン2:3/11・午前5:49・気温-4℃(@1:00〜)
巣口Rで座って休む両目失明個体♀hの様子が、別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。
群れ(家族)内での順位が明らかに低いようで、今回も怯えたようにビクビクしている印象です。
貯食物を奪われて、空腹なのでしょうか。
しばらくすると、自分で毛繕いを始めました。
そこへ左から父親♂がやって来て、巣口Rを点検します。
シーン3:3/11・午前5:50(@2:00〜)
再び広角の監視映像に戻ります。
母親♀が右奥で貯食物を食べ続けています。
父親♂が♀から離れて巣口Rへ向かうと、両目失明した娘♀hの横を通り過ぎたましたが、鼻面を少し近づけただけで互いに没交渉でした。
そのまま父親♂は、左上奥の林内へどんどん歩き去ります。
通りすがりに、落葉灌木の根元に排尿マーキングした…かもしれません。
ようやく貯食物を食べ終えた母親♀も、左へ少し歩いて移動しました。
雪面に佇み、先行する♂の後ろ姿を見送ります。
シーン4:3/11・午前5:51(@3:00〜)
両目失明個体♀hが巣口Rからようやく立ち上がり、先行する♂の後を追って、右下手前へ歩き始めました。
放射冷却現象で雪面がカチコチに凍っていて、タヌキは足が潜らずに歩けます。
最後尾を歩く♀の姿も、しばらくして画面の左下隅にちらっと写りました。
【考察】
両目失明した♀h個体がせっかく運んできた獲物(生魚?)を夕方に営巣地の雪の下に埋めて隠したのに、自分では食べることができず、翌朝に母親♀が見つけて食べてしまいました。
営巣地の天然の冷蔵庫内に保存してある食料は、家族が誰でもいつでも食べて良いしきたりなのでしょうか。
両目失明した♀h個体がヘルパーだとしたら、両親の繁殖を助けて給餌するのも当然の行動です。
両親が出産どころか発情・交尾する前から、ヘルパー♀hが実家に餌を運んできたことになります。
今回観察した行動から、立場の弱い両目失明個体は両親♀♂のヘルパー(性別はおそらく♀)なのだろうと私は確信したのです。
しつこくつきまとって発情チェックやアロマーキングを繰り返す♂に対して、♀も反応を示すようになりました。
いよいよ交尾しそうです。
つづく→
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