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2024/07/07

路上でクリの落果を拾い食いするニホンザルの群れ

 

2023年10月上旬・午後12:50頃・晴れ 

農村部を遊動するニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが集落の舗装路に集まっていました。 
日向の路面からは陽炎が立ち昇るほど暑い昼下がりでしたが、木陰は涼しそうです。 
サルをなるべく警戒させないように、少しずつ近づきながら撮影しました。 
大きな栗の木の下で、あなたと私、仲良く遊びましょう♪


道端にあるクリ(栗)の木から熟した果実(堅果)がイガごと自然に落ちて、路上に散乱しています。 
ニホンザルはクリの落果を次々に拾い食い死し、頬袋いっぱいに餌を詰め込んでいました。
クリ落果の扱いには慣れているようで、トゲトゲのイガをうっかり踏んで足の裏に刺さってしまうようなヘマをする個体はいませんでした。 

多くのニホンザルは木陰の路上で休みながら互いに毛繕いしていました。 
道の真ん中に堂々と寝そべって、対他毛繕いを受けていた♀個体は、黒い首輪を装着していました。 (@3:45〜、@6:11〜)
小型のGPS機器やバイオテレメトリーの電波発振器などが首輪と一緒に取り付けられているようです。 
首輪に擦れて顎の下の皮膚が赤くなっているように見えたのですけど、どうでしょうか? (@6:25〜)

登場する個体数が多いので、どの個体に注目して撮るべきか目移りしてしまいます。
赤ん坊を腹にしがみつかせたまま運ぶ母ザル♀がいました。 (@7:35〜)

左の道端の草むらでクリ落果以外のメニューを採食している♀個体も居ました。(@7:00〜) 
なんとなく、ミゾソバの花を食べているような気がするのですけど、遠くてはっきり見えません。 

老若男女を含むニホンザルの群れは基本的に左から遊動してきて続々と車道を渡り、右の山林へ向かっていました。 
猿たちが居なくなった後で食べ残しを現場検証すると(@9:02〜)、路上にクリの堅果が大量に散乱していました。 
車に轢かれて粉々に砕かれているクリ落果が多く、トゲトゲのイガもぺしゃんこに潰れていました。 
多数のニホンザルがたむろしていた現場に糞は残されていなかったのは意外でした。 

クリの実の他では食痕つきのアケビが路上に散乱していたのが興味深く思いました。 (@10:33〜)
ミツバアケビの熟した果実をニホンザルが遊動中に採取してきたようです。 
甘い果肉で包まれた種子は食べ尽くされた後で、苦い果皮は少し齧られただけで捨てられていました。 
ニホンザルが実際にアケビの実を食べるシーンを観察できなかったのは残念です。 
ニホンザルがアケビを食べたかどうか調べるには、糞分析でアケビの種子が含まれていることを確かめる必要があります。
果肉と一緒に飲み込まれた種子は未消化のまま糞と一緒に排泄され、ミツバアケビの種子散布をニホンザルは助けていることになります。 



一方、クリの堅果を噛み砕いて食べたニホンザルは硬い果皮を吐き捨てていたので、クリの種子散布には関与せず種子捕食者ということになります。 
ちなみに、クリは野ネズミなどによって貯食型種子散布されます。


現場検証の際に、せっかちな私の悪い癖でカメラを忙しなく振り回してしまい、酔いそうな映像になってしまいました。 
仕方がないので1/2倍速のスローモーションでご覧頂きました。 

農作物に対する猿害を予防するためには、集落内の果樹(カキ、クリなど)で野生ニホンザルを間接的に餌付けしていないか、見直す必要があります。 
果実が実ったら放置せずに収穫し、果樹を電気柵で囲う対策も必要です。 
しかし言うは易しで、人手不足が深刻な過疎地では実現が困難なのでしょう。



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