2023年7月中旬・午後12:30頃・晴れ
ホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)がスギ防風林の倒木横に残した溜め糞場phを定点観察しています。
溜め糞に集まるシデムシ類に変化がありました。
それまでは赤黒のクロボシヒラタシデムシ(Oiceoptoma nigropunctatum)の成虫および幼虫だけだったのに、真っ黒なオオヒラタシデムシ(Necrophila japonica)の成虫も多数来るようになりました。
ペアが成立して交尾しているオオヒラタシデムシ♀♂も居ます。
並んで糞食していたシデムシ幼虫同士の小競り合い(闘争・逃走シーン)が撮れていて、興味深く思いました。(@0:20〜)
餌は豊富にありますから、占有行動の必要はないと思っていました。(金持ち喧嘩せず)
甲虫(鞘翅目)では他に、肉食性のサビハネカクシ(Ontholestes gracilis)も1匹だけ、下に掲載した写真に写っています。
次は双翅目について。
メタリックグリーンに輝く常連のキンバエ(種名不詳)とは別に、見慣れない微小でカラフルなハエが溜め糞上で翅紋を誇示していました。
この気になるハエは別の溜め糞場wbc-1にも来ていたので、改めて別の記事で紹介することにします。
関連記事(8月上旬の撮影)▶ タヌキの溜め糞を舐めながら羽紋を誇示するヒロクチバエ科Rivellia cestoventris
【考察】
私のフィールドで溜め糞場に集まるシデムシ類の季節消長を定量的にきっちり調べた訳ではありませんが、どの溜め糞場でも毎年春になって真っ先に現れるのがクロボシヒラタシデムシで、オオヒラタシデムシは遅れてくるという印象があります。
まるで登場役者が交代するように、クロボシヒラタシデムシが居なくなった後もオオヒラタシデムシがしばらく残ります。
つまり、この2種は出現季節を少しずらすことで、溜め糞場という同じニッチに棲み分けをしているようです。
クロボシヒラタシデムシは成虫越冬で、いち早く休眠越冬から覚めるようです。
それに対してオオヒラタシデムシの成虫は夏になってようやく羽化してくるのか?と推測したのですが、wikipediaによるとオオヒラタシデムシも成虫越冬らしい。
となると、オオヒラタシデムシ成虫が遅れて溜め糞場に出現する理由が分かりません。
・まさか夏になるまで休眠越冬から覚めないのでしょうか?
雪国では幼虫または蛹で越冬するのではないか?と定説を疑いたくなります。
もしかするとオオヒラタシデムシは寒さに弱くて、雪国では越冬に成功する成虫の数がきわめて少ないのでしょうか?
・今のところ私は目視で溜め糞場のシデムシ類を探しているだけです。
したがって、もしもオオヒラタシデムシが獣糞の中に潜り込んでいるとしたら、見えてないだけという可能性があります。
・あるいは越冬直後のオオヒラタシデムシは、獣糞よりも死肉への嗜好性が高いのかもしれません。
腐肉を使ったトラップを仕掛けてみて、オオヒラタシデムシの成虫が春から現れるかどうか、確かめてみたいものです。
シデムシ類の幼虫は三葉虫みたいな形態をしているのですが、私は種類の見分け方を知りません。
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