2023年5月中旬
シーン1:5/15・午後18:54・(@0:00〜)日の入り時刻は午後18:45。
ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣4匹を連れて巣穴Rから手前の巣穴Lへ引っ越したのが早朝で、これはその日の夕方の出来事です。
日没直後の薄暗い営巣地(セット)で、奥の巣穴Rから出てきた♀個体が、なぜか巣口Rでぐるぐる回っています。
一体何をしているのでしょうか?
画面の手前の左からハリギリ(別名センノキ)の棘だらけの細い倒木が右に突き出しているせいで、奥の巣穴Rが見えにくくなっています。
謎の行動を同時に逆アングルからも動画で記録したかったのですが、残念ながらこの時期はもう1台のトレイルカメラ(新機種)が不調でした。
アナグマ♀は何か白っぽい物(古い巣材?)を巣穴Rの中から巣口Rに捨てたようです。
身震いしてから右に立ち去りました。
シーン2:5/15・午後18:56・(@0:54〜)
次にカメラが起動したときには、赤外線の暗視モードに切り替わっていました。
♀が巣口でグルグル回る謎の行動をまたやっています。
再び右に立ち去りました。
シーン3:5/15・午後18:59・(@1:40〜)
後頭部(首筋)に白斑のある♀個体が後ろ向きで手前の巣穴Lに入るところでした。
前脚で落ち葉などを掻き集めながら巣穴Lに搬入しています。
途中で落枝に引っかかってしまった落ち葉を口で拾い直しました。
空荷で出巣Lすると、身震いしてから奥に入巣R。
次に出巣Rする際には、後ろ向きで古い巣材を外に掻き出しました。
これほど大量の落ち葉を地下の巣穴に溜め込んでいたとは驚きました。
私が以前試しに与えてみた藁束も含まれているでしょうか?
アナグマ♀が何をしているのか、私にもようやく意図が飲み込めました。
産室だった巣穴Rに何度も出入りしては古い巣材を外に排出し、引越し先の巣穴Lに運んでいたのです。
使い古した巣材(寝床)にはノミやダニなどの体外寄生虫がまぎれていそうなのに、大丈夫なのでしょうか?
アナグマは巣材をときどき天日干し(虫干し)するという話を聞いていたのに、この個体は横着して新居に古い巣材をそのまま運び入れました。
(アナグマは)巣材として草を根から引き抜いて使用していると推測される。巣材が大雨などで濡れると、昼に穴の外に出して乾燥させて夜に穴に戻す、という話もある。(wikipediaより引用)
その後は奥の巣穴Rから土を外に何度も掘り出しています。
トンネルの拡張工事を始めたのでしょうか。
シーン4:5/15・午後19:13・(@4:25〜)
少し時間が開きました(7分後)。
2つの巣口LRの間に座っていたアナグマが立ち上がって身震いすると、奥の巣穴に入りました。
すぐにまた後ろ向きで外に出てきました。
黒い土を外に掻き出しています。
巣穴Rから奥に向かってまっすぐ後退しながら土を掻き出すので、なだらかなスロープが形成されます。
これはアクセストレンチと呼ばれ、アナグマの巣穴入口に隣接して必ず見られる構造です。
少し疲れたのか、アナグマは身震いすると右上に立ち去りました。
採食に出かけたのかな?
シーン5:5/15・午後20:25・(@5:45〜)
70分後にアナグマが巣穴Rの拡張工事を再開しました。
巣口Rから何度も後退しながら土を外に排出しています。
トレイルカメラの電池が消耗してきて、細切れ映像しか撮れなくなってきました。
巣口Rに頭を突っ込み、土を前足で後方に掻き出しています。
作業中にたまたま左後脚を持ち上げてくれたので、股間に睾丸が見えました。(@6:30〜)
やはり穴掘り作業を担当するのは母親♀ではなく、ヘルパー♂(1年仔の息子♂)だったようです。
地下で穴掘りを続ける個体の毛皮は黒い土で汚れ、個体識別が困難になります。
正面からのカメラ目線をくれないので、左右の目の大きさも分かりません。
この間、母親♀は手前の巣穴Lで幼獣4頭の面倒を見ていて忙しいのでしょう。
シーン6:5/15・午後20:28・(@6:53〜)
巣口Rで何やら作業を続けていますが、尻尾しか見えなくなりました。
シーン7:5/15・午後20:31・(@7:10〜)
巣穴Rを掘りながら、画面の右側にも新たにアクセストレンチを伸ばしているようです。
近くにある細い蔓がブラブラ揺れています。
その後も午後20:40まで穴掘り作業を続けていました。
巣口から四方にアクセストレンチが伸びています。
これから梅雨になりますが、雨水の浸水対策はどうなっているのでしょうか?
ニホンアナグマは地中でトンネル(坑道)が一度下がってから少し上がった地点に居住区を作っているのかな?(ビーバーの巣からの連想です)
※ 動画の一部は、編集時に自動色調補正を施しています。
この動画を編集した5月には、アナグマが何をしているのか、いまいち分かっていませんでした。
♀が巣穴Rの古い巣材(寝床)を外に排出して引越し先(巣穴L)に運んだ前半部と、ヘルパー♂が巣穴Rを掘って拡張工事している後半部を分割すべきでしたね。
登場個体が♀からヘルパー♂にいつ入れ替わったか、しっかり見極められないのが問題です。
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