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2023/02/09

ミズナラの樹液酒場にてスジクワガタ♂とモンキアシナガヤセバエそれぞれの占有行動

 



2022年9月上旬・午後14:30頃・くもり 

里山の急斜面に立つミズナラ古木の苔むした樹皮から滲み出る樹液酒場で2匹のスジクワガタ♂(Dorcus striatipennis striatipennis)が吸汁していました。 
初め私は、大型の♀に小型の♂が交尾しようとしているのかと思いました。 
あるいは、小型の♂が大型の♀の傍らで配偶者ガードしているようにも見えます。 
ところが、動画撮影後に採集してみると、2匹とも♂でした。 
つまり、大型の♂が樹液酒場でベストな位置を占拠して、劣位の小型♂が樹液のあまり出ないポイントに甘んじていた(順番待ち?)のだと判明しました。 
2匹のスジクワガタ♂が平和に並んでいるように見えましたが、樹液をめぐる争いの決着が既についた後だったようです。

他には見慣れない細長い体型のハエ2匹もミズナラの樹液酒場に来ていました。 
スジクワガタ♂の横で遠慮がちに樹液を舐めています。 
白い口吻を伸縮させる動きが蛆虫の蠕動のように見えました。 
長い脚の腿節の途中にオレンジ色の部分が目立ちます。 
樹液に集まる昆虫ハンドブック』で調べると、翅に黒紋が無いので、ホシアシナガヤセバエではなくモンキアシナガヤセバエNerius femoratus)と判明。
あまり研究対象にされることのない昆虫であり、くわしい資料がほとんどない。(p66より引用)
とのこと。 
2匹の体格が異なるのは性差とは限らず、幼虫時代の栄養状態が成虫のサイズを左右するのだそうです。 
しばらくするとモンキアシナガヤセバエ2匹が樹液酒場から少し横に離れた位置で互いに向き合い、背伸びして何やら面白そうな誇示行動(ディスプレイ)を始めました。 
せっかく興味深い行動なのに、このとき疲労困憊していた私は気づかずに撮影を打ち切ってしまいました。 
やがて1匹は離れて行ったので、ライバル♂を樹液酒場から追い払ったようです。
つまり、♀♂間の求愛誇示ではなく、樹液をめぐる♂同士の闘争誇示だったようです。 
英語版wikipediaでNeriidae(アシナガヤセバエ科)の項目を読むと、♂同士の闘争誇示など興味深い行動が解説されていました。 
次に機会があれば、じっくり観察してみたいものです。

他には微小のハエ(種名不詳)も多数群がっていました。 
ショウジョウバエにしては色が黒っぽいです。 

スジクワガタ♂を接写するために私が樹液酒場に近づくと、警戒したモンキアシナガヤセバエは樹液酒場から少し逃げて避難しました。

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