2022年8月上旬
獣道になっている川沿いのコンクリート護岸をトレイルカメラで監視していると、集中豪雨による川の増水前後に常連の野ネズミ(ノネズミ)が登場しました。
シーン1:8/3・午前3:47
コンクリートブロックが敷き詰められた護岸を野ネズミが右へ(下流方向へ)移動しています。
短い登場なので、1/3倍速のスローモーションでリプレイ。
その日の晩から停滞する線状降水帯によって激しい大雨が降り続き、川の水位が急上昇しました。
増水した川の水がコンクリート護岸を越えてあわや河川敷に氾濫する前に、水位が下がり始めました。
大災害を予知したネズミが大群で一斉に逃げ出すという有名な都市伝説があります。
しかしこの映像を見る限り、野ネズミは決してパニック状態ではなく、単独個体がいつものようにゆっくりと餌を探し歩いていました。
大雨や川の洪水を予測して逃げ出したようには見えません。
シーン2:8/6・午前2:01
川の増水がすっかり引いた3日後、野ネズミが再び監視カメラに写りました。
護岸スロープを元気に駆け上がり、河畔林に向かいました。
水害があっても難を逃れて無事だったようで一安心。
野ネズミなど野生動物に川の洪水を予知する第六感があるのでしょうか?
オカルト嫌いの私は個人的に懐疑派ですが、この1例だけでは実証したことにはなりません。
今回の増水は堤防が決壊するほどではありませんでしたし、野ネズミが生息する河川敷や河畔林まで氾濫することもありませんでした。
それを予知した野ネズミが、「慌てて避難するまでもない」と判断したかもしれないからです。
川沿いや河畔林のあちこちに多数のトレイルカメラを設置して増水の前後で野ネズミの動向を調べないといけません。
日本全国津々浦々でトレイルカメラを使った調査がもっと盛んになれば、自ずとデータが蓄積されてくるはずです。
結局のところ「大山鳴動して鼠一匹」という結果になるかもしれません。
地球温暖化の進行で近年は甚大な水害が頻発するようになりました。
洪水が発生する度に川沿いの生き物たちへの影響を丹念に調べれば、「撹乱の生態学」になりそうです。
私は未だ全然勉強不足ですけど、野生動物や水鳥は生息流域の環境が自然災害で大きく撹乱されても意外と逞しく生きている印象を受けつつあります。
流域に暮らすヒトを守るために最近の川は治水工事でガチガチに護岸したり、河畔林の伐採が進行しており、むしろ人為的な撹乱の方が野生動物へ悪影響を与えている気がします。
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