2021年9月上旬・午後12:50頃・くもり
口吻を伸ばして吸蜜しています。
私の気のせいかもしれませんが、飛翔能力の減退が気になりました。
隣の花序になかなか飛び移れず、ようやく飛び立っても無様に墜落しています。
1匹だけならともかく、2匹とも飛び方が下手になっているのです。
一方、脚を使った歩行移動に異常は認められませんでした。
(雄蜂♂には毒針はありませんし、蜂を一時捕獲して、本当に飛べなくなっているのかきっちり確かめるべきでしたね。)
ホツツジはグラヤノトキシンという神経毒を含む有毒植物です。
花蜜や花粉にもグラヤノトキシンが含まれているらしく、それを集めた蜂蜜を摂取すると人体にも危険らしい。
キオビツチバチ♂はホツツジの中毒症状で飛翔筋や運動神経が麻痺しつつあるのでしょうか?
グラヤノトキシンの解毒剤(アンタゴニスト)を蜂に投与して症状が回復すれば、逆に中毒症状だったと証明できるはずです。
植物が毒を生産して蓄えるのは、草食動物による食害を防ぐためです。
しかし、虫媒花が果たして送粉者に毒を盛ったりするでしょうか?
そのさじ加減を植物はどうやって実現しているのでしょう?
訪花昆虫の筋肉を単純に麻痺させるだけだと、行動半径が狭くなりますから、遠くの株と他家授粉できなくなってホツツジの適応度が下がる気がします。
送粉者が微量の毒を含む花蜜に病みつきになって他の種類の花には行きたくないようにする高等戦術だとしたら面白いですね。(神経毒による送粉者の行動操作)
個々の花によってグラヤノトキシンの含有量にばらつきがあるとすれば、一つの花から花蜜の飲み過ぎを防ぐ効果があるのかもしれません。 (ロシアン・ルーレット)
これまでホツツジに訪花する昆虫を観察してきました。(▶ 動画をまとめた再生リスト)
訪花昆虫で行動に異常を来した例をあまり見たことがなくて、それもまた不思議です。
関連記事(8年前の撮影)▶ 飛べないオオマルハナバチ♀は中毒症状か?多くの種類の昆虫では、ナトリウムイオン・チャンネルがグラヤノトキシンに対して耐性を示すよう進化したのでしょうか?
訪花昆虫は味覚でグラヤノトキシンを含む花を忌避するように対抗進化したのかな?
私はもう何年もこの疑問を抱き続けているのですけど、素人には手が出せないテーマです。
誰か薬学部の研究者に調べて欲しいです。
試しに検索ワード「grayanotoxin pollinator」で文献検索してみると、私が知らなかっただけで、面白そうな研究結果が既に出ているようです。
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