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2021/06/06

池の底から岸辺に続々と上がってくるヤマアカガエル♂の群れ

前回の記事:▶ 早春の池で水面に浮かぶヤマアカガエル♂
2021年3月中旬・午後12:10〜15:27・晴れ・気温15℃@午後13:10 

雪山の池Hで冬眠していたヤマアカガエルの繁殖期が始まり、卵塊が岸辺だけでなく水底にも既に多数産み付けられていました。(3日前に来たときは卵塊なし) 
前日はくもりで、前々日は終日雨が降りました。
雨の日にこそ頑張って見に来るべきだったかもしれません。 
平凡社『日本動物大百科(5)両生類・爬虫類・軟骨魚類』によると、
2〜4月ごろの降雨のあった日に活動を開始し、水田・湿地・池・道端の水たまりなどの止水に集まり繁殖する。ただし、完全な止水域とはいえないような河川の比較的流れのゆるい浅いよどみなどにも産卵することもある。(p36より引用)


この繁殖池を前年に見つけた3月中旬には既に幼生が孵化していました。

▼関連記事(1年前の撮影)
ヤマアカガエルの卵塊とオタマジャクシ

しかし2020年は暖冬だったので、雪が多い年にはいつ繁殖を始めるのか、手探り状態で調査を始めました。

「両生類保全資料研究室」サイトが毎年まとめているアカガエル産卵前線を見ると、確かに2021年度の産卵前線は3月中旬に山形県を通過したようです。

早春の池に集まるヤマアカガエルRana ornativentris)は非常に警戒心が強く、池の周囲の雪面を私が歩き回るとすぐに潜水して池の底に隠れてしまいます。 
古池や蛙飛び込む水の音 松尾芭蕉
つまり繁殖活動を撮影したくても、カエルに悟られないよう池に忍び寄ることは不可能です。 
まるで鳴き砂や鶯張りの廊下のように、池の周囲の残雪が天敵(捕食者)の接近を知らせる警報装置になっているのです。
(新雪だと捕食者の足音が消えますが、そんな寒い時期の池は未だ凍結していて、ヤマアカガエルは冬眠中でしょう。)
ヤマアカガエルが警戒心を解いてくれるまで、池Hの傍らで長時間じっと待つしかありません。
辛抱強く待つと、少しずつ♂が岸辺に戻ってきました。 
そこで各々が縄張りを持ち、♀が来るまで待ち構えるのです。 
しかし何かに驚くとすぐにまた水底に潜ってしまいます。 
逆光になることに気づいた私は途中で撮影場所を少し移動したのですが、そこでまた一からやり直しです。 

よく見るとヤマアカガエル♂の体格は大小さまざまで、背中の体色や斑紋にも個体差がありそうです。 
♂の体格差は、おそらく年齢を反映しているのでしょう。
(ヤマアカガエル成体が)性成熟して繁殖を開始するまでには約2年を要する[13]。天敵が多く、成体の寿命は4 - 5年程度と考えられている[13]。(wikipediaより引用)
繁殖行動を詳しく調べる上で池のヤマアカガエルを個体識別できるようになりたいのですけど、ヤマアカガエルの観察を始めたばかりで1年目の私は未だ修行が必要です。 
最近の研究者は、マイクロチップをカエルの体内に埋め込んでおいて、読み取り装置で厳密に個体識別するのだそうです。
参考サイト:あなたは誰? ヤマアカガエルの個体識別
卵塊が集中的に産み付けられてある東端の岸辺が♀に最も人気がある産卵場所だと思うのですが、不思議なことに独身♂は必ずしも既存の卵塊の近くには集まりません。 
ヤマアカガエル♂は体が小さいので、池全体を俯瞰で見渡して状況判断することができないのかもしれません。
日当たり状況も♂の待機場所とあまり関係ないようで、日向の岸辺だけでなく日陰にも♂が待機しています。 
岸の残雪が溶けて滴り落ちる真下にも独身♂が居たのには驚きました。 
日陰ですし、水温が冷たくないのでしょうか? 
池Hの水温を測定すべきでしたが、私が余計な動きをするとカエルがまた水中に逃げてしまうので、今回を撮影を優先しました。 
♂同士で陣取り合戦があり、弱い♂(繁殖経験が浅くて若い小型♂?)が条件の悪い場所に追いやられてしまっているのかもしれません。(映像公開予定) 

※ 私は未だ外見からヤマアカガエルの性別を見分けるのに自信がありません。
今回の動画に登場する個体は、行動から全て♂だろうと判断しました。
♀が単独で登場したら周りの♂が放っておくはずがない、と思うのです。
(もし今回の動画に♀が混じっていたら、ご指摘願います。)

独身♂が岸辺にずらっと並んで混み合ってくると、隣同士で小競り合いが勃発します。 


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