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2019/08/08

採餌後に地面の巣口を見失ったヒメハナバチ♀の一種【HD動画&ハイスピード動画】



2019年5月中旬・午前11:55〜12:11

この時期(早春)に活動するハナバチと言えば、ウツギヒメハナバチなどが有名です。
ウツギの花で採餌する♀や♂の求愛行動などはこれまで観察しているものの、どうしても営巣地を見つけられませんでした。
今回、ヒメハナバチ科(またはコハナバチ科?)の一種の集団コロニーを偶然に見つけました。

後脚の花粉籠に黄色い花粉団子を満載した蜂が営巣地を低空でぐるぐる飛び回ってから、飛び去ってしまいました。
しばらくすると採餌から帰巣した別の♀が(黄色い花粉団子を満載)裸地を掘っていました。
しかし巣口を見つけられずに飛び去ってしまいます。
出巣の際に巣口を一時閉塞する習性があるのかな?
もしかすると、直前に私が気づかずに歩き回って営巣地を踏み荒らしてしまった可能性もあります。

私が近くで突っ立ているせいで、帰巣した蜂にとって営巣地の景色がガラリと変わってしまって迷子になっているのでしょうか?
蜂は記憶を頼りに何度も帰巣をやり直しては巣口を必死で探しています。
あるいは、たっぷり採餌した後で一から巣穴を掘り始める蜂なのでしょうか?(狩蜂ならともかく、そんな非効率な営巣習性のハナバチは記憶がありません。)
養蜂ミツバチの大量死(蜂群崩壊症候群)で騒がれたように、ネオニコチノイド系農薬(殺虫剤)の影響で記憶や認知機能が低下しているのでしょうか?
(フィールドで見かけるミツバチやマルハナバチの数が今季は少ない印象があり、非常に気がかりです。)

映像を見直すと、気になる物がちらっと写っていました。(@0:15)
画面左下隅の地面にある黒い小さな物体(小石?)が蜂の頭部のようにも見えます。
門衛が巣内から顔を出して外を見張りつつ巣口を塞いでいるのかな?と想像してみたのですが、定かではありません。

事態をややこしくしているのは、映像に登場する蜂が少なくとも2種類いるように見えることです。
後脚の花粉籠に黄色い花粉団子を満載した個体と空荷の個体です。
採餌から戻った個体は全身が黄色い花粉でうっすらと汚れているために、空荷の♀とは同種でも見た目の印象が変わって見えるのかもしれません。
空荷の個体は体表の光沢が目立ちます。
同種の♀と♂が営巣地を飛び回っているのでしょうか?
採集してきちんと調べたら、本当に別種の蜂かもしれません。

巣穴を試掘してから飛び立った♀(+花粉団子)が別個体(空荷)と空中でコツンと衝突しました。
初めの♀は驚いて飛び去ってしまいました。
小競り合いの様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイします。
集団コロニーで近所の♀同士で縄張り争いがあったりするのかもしれません。
それとも雄蜂♂が♀に交尾を迫る求愛行動なのかな?
同様のシーンが何度も繰り返されます。
空荷の個体も地面を少し掘っただけで、すぐに諦めて飛び去ってしまいます。
辺りを低空で飛び回ると、再び同じ場所に着地しました。
そこへ花粉団子を満載した♀個体が戻って来て、追い払われました。
この♀も巣穴を見つけられずに地面を試掘しただけで、諦めて飛び去ってしまいました。
事態が一向に進展しないので、見ている私も次第にやきもき(苛々)してきます。

蜂の飛翔があまりにも敏捷なので、一体何が行なわれているのか素人目にはさっぱり分かりません。
そこでやや引きの絵にして、240-fpsのハイスピード動画に切り替えてみました。(@2:23〜5:57)
すると効果は絶大で、文明の利器のありがたみを実感します。
逆に、スーパースローの映像が撮れない時代に蜂の詳細な観察記録を残した先人の偉大さが際立ちます。

花粉籠を花粉で満載した♀が地面で穴掘りしています。
諦めて飛び立つと、出巣のときの視覚記憶と照らし合わせるように定位飛行してから、「やっぱりこの辺りだわ」とばかりに、ほぼ同じ場所に着陸しました。
小石(砂粒)の間に頭を突っ込んで少し掘ってみたものの、諦めて再び飛び去りました。
採餌から帰巣した♀蜂は営巣地の裸地で小刻みに離着陸を繰り返し、あちこちで試掘を繰り返して巣口を探し回っています。
帰巣時に迷子になりやすいのなら、予め巣口付近にフェロモンで匂い付けしておけば良いのに…と私は余計なお世話を妄想しながら見ていました。(これからそのように進化するはず!?)

自然界の生き物は初心者にも手加減しません。
図鑑や本に書いてあるようなスッキリ分かりやすい状況ではなく、現実のフィールドではいきなり難しい応用問題が目まぐるしく繰り広げられます。
観察しても混沌としていて、とにかく分からないことばかりです。
これから謎を一つずつ解きほぐしていくしかありません。
映像で蜂の名前の見当が付く方がいらっしゃいましたら、是非教えてください。

ウツギヒメハナバチかどうか未だ分かりませんが、周囲にウツギの木は未だ見つかっていません。

今後も定点観察に通う必要があるため、場所を秘匿します。
当地では珍しいカシワの木を某所で見つけて、春に芽吹く様子を写真に撮るため定点観察に通っていました。
その根元付近の地面に何気なく目をやると、とても小さな蜂(ミツバチよりも小型)が多数飛び回っていたのです。
辺りにはカシワ以外の樹種(落葉性広葉樹)も混在していましたが、問題の営巣地は木陰ではなく日当たりが良いギャップになっていました。
地面は少し斜面になっていて、芝生(?)が疎らに生えていました。
周囲の環境などもこれ以上詳しく書くのを(当分の間は)控えますが、人里離れた自然豊かな環境というより、意外にも都市環境に近いです。
生息地(集団コロニー)がいつ人為的に荒されるか危ぶまれる場所なので、なおさら気を使います。
たとえ普通種のハナバチでも、初めて観察する私にとっては大切なフィールドです。

つづく→ヒメハナバチの営巣地でホバリングする寄生アブ?との攻防【ハイスピード動画】




【追記】
北海道大学のキャンパスでホクダイコハナバチの生態を解明した坂上昭一『ハチの家族と社会:カースト社会の母と娘』という中公新書の名著を紐解くと、営巣地で終日観察したなかで「変わった行動」を示した個体が記録されていました。
巣12の♀は、9時32分に外出したきり、観察終了まで戻らなかった。ただし翌日は帰巣していた。このような例は記憶喪失の結果と思われる。まだ未経験の若バチだったのかもしれない。類似の例が17の観察巣で7回見られた。 (p30より引用)
とりあえず、私が見ているハチがヒメハナバチ科なのかコハナバチ科なのか、確かめることが先決ですね。

ヒメハナバチ♀sp+花粉団子@巣穴掘り
ヒメハナバチ♀sp+花粉団子2@帰巣
ヒメハナバチsp-花粉団子@巣穴掘り
ヒメハナバチ♀sp±花粉団子2@帰巣ニアミス

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