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2025/07/07

モリアオガエル泡巣の表面で交尾するヤマトシリアゲ春型♀♂

 



2024年6月上旬・午後14:25頃・晴れ 

山中の池畔に自生するマユミの枝葉にモリアオガエル♀♂(Rhacophorus arboreus)が産み付けた泡巣にヤマトシリアゲ♀♂(Panorpa japonica)が集まり、交尾が始まりました。 
交尾中の♀♂ペアに注目しましょう。 
♀の体表に赤いタカラダニ幼虫が2個付着しています。 
♀♂ペアは腹端の交尾器を連結したまま、歩いて泡巣の影に隠れてしまいました。 
口吻を泡巣に突き刺して食卵していた単独の♀は交尾ペア♀♂に追い払われ、慌てたように歩いて逃げました。 
交尾姿勢は反向型ではなく、斜めに重なり互いに別方向を向いています。 
左が♂で右が♀のようで、♀の腹部は明らかに太いです。 
このペアには赤いタカラダニは寄生していません。 

背側からしか撮れなかったので、交尾しながらヤマトシリアゲ♀♂が食卵しているかどうか、口器を泡巣に突き刺しているかどうか不明です。 

右の♀が交尾しながら翅を小刻みに開閉して黒い翅紋を誇示しています。 
徘徊性クモやモリアオガエルなどの天敵(捕食者)に対して威嚇・牽制するディスプレイではないかと、個人的には推測しています。 




【考察】 
シリアゲムシは求愛給餌(婚姻給餌)行動で有名で、♂は交尾する前に獲物を狩って♀にプレゼントする必要があります。 
残念ながら今回は手前の葉が邪魔で、交尾直前の求愛行動をしっかり観察できませんでした。 
今回の♂は♀にプレゼントする餌(虫の死骸など)を用意する必要がなかったのではないかと推測しています。 
なぜなら、モリアオガエルの卵が大量に詰まった泡巣という巨大な餌がありますから、そこで♀と出逢えばすぐに交尾させてもらえるからです。 
モリアオガエルの泡巣はタンパク質に富む巨大な栄養源ですから、♂は求愛給餌の餌を別に用意する必要がないのでしょう。 
今回の求愛餌はあまりにも巨大すぎるので、♀を待ち伏せする間にヤマトシリアゲ♂同士で争奪戦(占有行動)になることもありませんでした。 

関連記事(12年前の撮影)▶ ヤマトシリアゲ♂同士の喧嘩(獲物の争奪戦) 

つまり、モリアオガエルの泡巣に集まったヤマトシリアゲの群れはレック(集団お見合い場)と言えるかもしれません。
池の水面に張り出した木の枝先にモリアオガエルの泡巣がいくつも産み付けられていたのですが、その全てにヤマトシリアゲが群がっている訳ではありませんでした。
鮮度が新しい泡巣を選んでいたようです。


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