ページ

2025/05/03

タヌキの溜め糞場がある山道で餌を探すニホンイノシシの母子(母親♀と秋生まれの幼獣5頭)【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年5月上旬

シーン0:5/6・午後12:10・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
スギの落ち葉が敷き詰められた山道の中央に、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場ltrがあります。 
カメラの背後(画面の手前)がスギの植林地で、山道を挟んで反対側(画面の奥)は雑木林になっています。 
現場の区間は平坦ですが、基本的に画面の右から左に向かって坂を登る山道になっています。 


シーン1:5/6・午後18:57(@0:03〜) 日の入り時刻は午後18:40 
日没直後に林道を右からニホンイノシシSus scrofa leucomystax)の家族群がやって来ました。 
5月にイノシシを見たのは初めてです。 
計5頭の幼獣は縦縞模様のあるウリ坊ではなく、もう少し大きく育っています。 
おそらく秋に産まれたのでしょう。 (※考察)
今季(2024年)は異常な暖冬だったので積雪も少なく、無事に越冬できたようです。 (※考察)
鼻面が真っ黒な個体は、地面を掘り返して採食していたのでしょう。 
タヌキ溜め糞の匂いを嗅いでも、食糞したりしませんでした。 

少し遅れて、一際大きな成獣が登場しました。 
母親♀だと思うのですが、腹面に乳首が見えません。 
(斜めに見下ろすアングルだから見えないのか、それとも離乳後は乳首や乳房が目立たなくなるのかな?) 
林道を左から戻ってきた♀成獣が、タヌキの溜め糞の匂いを嗅いだものの、特に何もアクションを起こしませんでした。 

家族群の間で、ときどき低音でブーブー♪鳴き交わす声が聞こえます。 
1頭の幼獣が立ち止まり、痒い横顔(右目の辺り)を右後脚の蹄で器用に掻きました。(@1:00〜) 


シーン2:5/6・午後18:58(@1:04〜) 
次に監視カメラが起動したときには、右へ立ち去る幼獣2頭の後ろ姿が写っているだけでした。 
続けて左から別個体の幼獣が登場しました。 





※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
今回撮れたニホンイノシシ家族群の構成を読み解くと、ちょっと興味深い(珍しい)事例であることが分かりました。

まず基本情報として、ニホンイノシシの年間繁殖スケジュールを表にまとめました。(Perplexity AIに依頼)

時期 主な出来事
12月~3月 発情・交尾
4月~6月 出産ピーク
4月~8月 授乳・育児(生後6~8週まで)
7月~9月 離乳(生後100日頃)
8月~10月 ウリボウの縞消失(生後4か月頃)
翌年春以降 オス幼獣が群れを離れる


次に、5頭という幼獣の数は、ニホンイノシシの1回の出産頭数として「平均的な範囲内」です。

各地の調査や研究によると、1回の出産頭数の平均は4~5頭前後であり、最も多いのは4頭、範囲としては1~7頭(まれに8頭以上)です。

5頭は「平均よりやや多め」ですが、ごく一般的な範囲内で、特に珍しい多産例ではありません。

したがって、5頭はニホンイノシシの出産数として標準的な範囲内であり、特別多いわけでも少ないわけでもありません。


5月上旬に山形県で観察された「縦縞模様が消失した5頭の幼獣」と「乳房や乳首が目立たない母親」という状況から、これらの幼獣が春生まれか秋生まれかをPerplexity AIに推理してもらいました。


背中の縞模様の消失時期
ニホンイノシシの幼獣(ウリボウ)の縦縞模様は生後約3か月で消失しはじめ、4か月齢でほぼ完全に消えるとされています。

出産時期の一般傾向
ニホンイノシシの**出産ピークは春(4月~6月)です。

春の出産に失敗した場合のみ、秋にも出産することがありますが、これは例外的です。

5月上旬に縞消失=生後3~4か月?
5月上旬時点で縞模様が消失している場合、逆算すると出産は1月~2月頃となります。

しかし、ニホンイノシシの自然状態での出産は1月~2月にはほとんど起こらず、通常は4月以降です。

秋生まれの可能性
秋(9~11月)に出産した場合、5月上旬で生後6~8か月となり、縞模様はとっくに消失しています。

ただし、秋出産は「春の出産に失敗したメス」に限られ、頻度は低いです。


乳房・乳首が目立たない=授乳終了
母親の乳房や乳首が目立たないという観察は、すでに授乳期が終わっていることを示唆します。

授乳期間は生後6~8週間(約1.5~2か月)で、離乳は生後3か月ごろ。

結論
5月上旬に縞模様が消失している幼獣は、春(4~5月)の出産直後の個体ではなく、前年秋(おそらく10~11月)に生まれた可能性が高いです。

もし春生まれ(4月出産)であれば、5月上旬はまだ生後1か月程度で縞模様が残っているはずです。

また、母親の乳房や乳首が目立たないことも、離乳後かなり時間が経過している(生後4か月以上)ことを裏付けます。

したがって、観察された幼獣は前年秋に生まれた個体である可能性が高いと推理できます。

ただし、秋出産は春の出産に失敗した場合などに限られます。
ちなみにこれは、♀が♂と交尾できなかった(受精しなかった)という意味ではなく、妊娠中の流産や、出産後に子どもが死亡・消失した場合などを指します。
このような場合、母親は授乳・育児を続ける必要がなくなるため、再び発情が起こり、秋に再度交尾・妊娠・出産することが可能になります。

逆に、単にオスと交尾できなかった(発情期に交尾が成立しなかった)だけの場合は、次の通常の発情・出産サイクルを待つことになります。


ニホンイノシシは本来、積雪の多い地域では越冬が難しく、積雪深30cm以上の日が一冬に70日を超えるような多雪地帯では生息できないとされています。しかし、近年の暖冬傾向により、これまで生息が難しかった多雪地やその周辺でもイノシシの越冬例が増えています。

2024年のような記録的な暖冬で積雪が少なかった年は、イノシシにとって餌の確保や移動が容易になり、生存率が高まることが指摘されています。実際、例年なら積雪で活動できないような場所でもイノシシが元気に活動し、冬を越せている様子が観察されています。

したがって、山形県の多雪地帯で秋に生まれた幼獣5頭が無事に越冬できたのは、2024年の暖冬による積雪の少なさが大きく影響した可能性が高いといえます。暖冬はイノシシの生息域や繁殖成功率を押し広げる要因となっており、今後もこの傾向が続けば、さらなる個体数の増加や分布拡大が懸念されます。


逆に、平年並みの積雪があった場合、秋に生まれたイノシシの幼獣が山形県の多雪地帯で越冬するのは非常に困難で、死亡率が高くなると考えられます。

理由は以下の通りです。

イノシシが春に出産する主な理由は、温暖な季節に子どもが成長し、冬までに十分な脂肪を蓄えられるからです。春~夏は食物が豊富で、幼獣は成長しやすい環境にあります。

秋に生まれた幼獣は、成長期間が短く、冬までに十分な脂肪や体力を蓄えることが難しいため、積雪期に餌が乏しくなると餓死しやすくなります。

多雪地帯では、積雪が深いと地面を掘って餌を探すことが困難になり、特に体力のない幼獣は生き残るのが難しくなります。

イノシシは積雪の少ない場所へ移動することで越冬することもありますが、幼獣が長距離を移動するのは難しく、厳冬期の生存率は成獣よりさらに低いと考えられます。

このため、平年並みの積雪があれば、秋生まれの幼獣は十分に成長・蓄脂できず、多雪地帯での越冬は難しく、死亡率が高くなると推測できます。


「5頭の幼獣が5月まで生き残っていた」という観察結果は、秋に産まれた幼獣のほとんどが越冬に成功したと考えてよいです。

ニホンイノシシは1回の出産で平均4~5頭の幼獣を産みますが、野生下では幼獣期の死亡率が非常に高く、すべてが生き残ることはまれです。特に多雪地帯や厳冬期では、秋生まれの幼獣は十分な脂肪を蓄えられず、餓死や低体温症などで多くが死亡する傾向があります。

しかし、今回のように5頭すべてが5月まで生存しているということは、

出産頭数が5頭であった場合、全頭が生き残った可能性が高い

もし6頭以上産まれていた場合でも、大半が生き残ったといえる

このような高い生存率は、2024年の記録的暖冬による積雪の少なさが大きく寄与した可能性が高いです。

まとめると、「5頭の幼獣が5月まで生き残った」という事実は、秋生まれの幼獣のほとんどが無事に越冬できたと判断して差し支えありません。


今回の調べ物でPerplexityが大活躍しましたが、その推論能力に舌を巻きました。
(一発で回答した訳ではなく、細かな問答を何度も繰り返した結果です。)
私がイノシシにあまり詳しくないこともあり、論理の破綻や誤情報(ハルシネーション)などは見い出せませんでした。

もしこのまま温暖化や暖冬少雪が続けば、一度は絶滅していた当地のイノシシの個体数はかなり増えることが予想されます。 
イノシシを捕食して個体数を調節してくれるニホンオオカミという強力な天敵がいない現代では、山形県も今後はイノシシによる獣害に悩まされ、農地や山林が荒廃する可能性が高いです。 


0 件のコメント:

コメントを投稿