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2024/08/01

越冬用の巣穴を分業して掘り広げる秋のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2023年10月下旬・午後18:41〜19:31 

シーン0:10/23・午後13:36・気温18℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
新機種のトレイルカメラ2台を平地の二次林に設置し、ニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を監視しています。 


シーン1:10/26・午後18:41(@0:04〜) 連続撮影のため気温表示は異常値。 
出巣L直後と思われるアナグマが巣口L周辺の地面を少し嗅ぎ回ってから、再び巣穴Lに戻りました。 
しばらくすると、前脚で土砂を掻き出しながら後ろ向きで出巣Lしました。 
どうやら冬越しに備えて、巣穴Lを拡張工事し始めたようです。 
何度も往復して巣L内の土砂を外に掻き出す様子を5倍速の早回し映像でご覧ください。 
巣口Lの左に土砂を毎回捨てるため、アクセストレンチの緩斜面(溝)が形成されます。 

トレイルカメラのレンズのすぐ手前に造網性クモが居座ってしまい、目障りですね。 

さっきまで2頭のアナグマ(幼獣?)が長時間かけて格闘していたのは、穴掘り担当を決める争いだったのでしょうか? 
あるいは、来季のヘルパー♂候補どうしの争いだったのかな? 
取っ組み合いで体力を無駄に消耗したのではないかと素人目には心配になるのですが、穴掘り前に体を暖める準備運動(ウォーミングアップ)だったのかもしれません。 


シーン2:10/26・午後18:42(@0:42〜) 
1頭aが巣口Lで穴掘りしている間に、もう1頭bが辺りをうろつき、作業を見守っています。 
「穴掘り作業をヘルパー♂aに任せる♀b」という定説に当てはめたくなりますが、♀なら左右の目が左右非対称(右目<左目)のはずです。 
外見でこの2頭の性別を見分けられないのですが、今回の個体bは左右の目の大きさが同じなので、少なくとも、春にこの営巣地(セット)で出産した母親♀でないことは確かです。 
私としては、今のところ2頭a,bとも大きく育った幼獣だと考えています。 

しばらくすると、幼獣bも穴掘り作業を手伝い始め、アクセストレンチを整えるようになりました。 
巣穴Lの奥を担当する個体aと、外のアクセストレンチを担当する個体bとが分業しています。 
母親やヘルパー♂(当歳仔の幼獣にとっては1歳年上の兄)の穴掘り作業を見ていつの間にか幼獣たちも穴掘りを覚えたのでしょうか?(それとも本能行動?) 

撮影の邪魔だったクモがようやくどいてくれました。 


シーン3:10/26・午後18:44(@1:42〜) 
 地上を分担していた個体bが作業を中断し、なぜかアクセストレンチ上のとある地点に別の穴を掘り始めました。 
ミミズでも見つけて採食しているのかな? 
やがてアクセストレンチの整備作業に戻りました。 


シーン4:10/26・午後18:46(@2:42〜) 
地中から掘り出した土砂と一緒に地上の落葉もついでに掻き出し、左に長いアクセストレンチを形成しています。 
穴掘り担当個体aは、全身が黒土で真っ黒に汚れてきました。 


シーン5:10/26・午後18:47(@3:42〜) 
ここでなんと、穴掘りの分担を交代しました! 
それまで穴掘りしていた個体aは、アクセストレンチを左に伸ばすようになりました。 
その後は少し疲れた様子で、奥の獣道を右往左往しています。 
立ち止まって身震いしても、体に付いた黒土は落ちません。 


シーン6:10/26・午後18:49(@4:42〜) 
いつものように1頭aが後ろ向きで土砂を巣穴Lの外に掻き出していたら、巣内から別個体bが頭から外に飛び出してきました。 
したがって、トンネル内にはアナグマが方向転換できるスペースがあることがうかがい知れます。 
個体bは身震いしてから右へ立ち去りました。 
「後はお願いね♪よろしく♪」 
採食や排便に出かけたのではないかと思われますが、最寄りの溜め糞場stmpに設置した監視カメラには写っていませんでした。 

残された個体aは穴掘り作業を独りで黙々と続けています。 


シーン7:10/26・午後18:51(@5:20〜) 
残された個体aによる穴掘り作業を5倍速の早回し映像でご覧ください。 
分業するパートナーが居なくなったので、地中の巣内を掘り広げる作業だけでなく、地上のアクセストレンチ整備も独りでやらないといけなくなりました。 

巣穴Lに出入りする際に後ろ姿の股間を注意深く見ても、外性器がしっかり見えませんでした。 
巣口Lの周辺に蔓延る木の根や落枝が邪魔でよく見えないのです。 


シーン8:10/26・午後18:55(@5:40〜) 
穴掘り作業を続けています。 


シーン9:10/26・午後19:06(@6:04〜) 
疲れてもときどき小休止を挟みながら、一気呵成に巣穴Lを深く広く掘り広げています。 


シーン10:10/26・午後19:24(@6:44〜) 
いつものように、穴掘り個体aが後ろ向きで排土していたら、別個体cが巣口Lから外に出て来ました。 (@6:50〜)
外出していた個体bがいつの間にか戻っていたのかと思いきや、この個体cは目の大きさが左右非対称(右目<左目)の、私には馴染みのある♀でした。 
♀cがいつ入巣Lしたのか、監視カメラに写っていないのですが、単に撮り損ねたのか、それとも未知の巣口がどこかにあるのでしょうか? 
穴掘りの重労働は2頭の幼獣(ヘルパー候補?)に任せて、♀cはずっと巣内に篭もっていたのかもしれません。
巣口Lで母から子に毛繕いしてやり、労をねぎらいます。 
体格では幼獣a<♀cでした。
母親♀cに激励された幼獣aは穴掘りを再開し、♀cは右へ立ち去りました。(採食に出かけた?) 
今度こそ独りになった幼獣aは、黙々と穴掘り作業を続けます。 


シーン11:10/26・午後19:30(@8:00〜) 
ようやく穴掘り作業を終えたアナグマaが、巣口Lの右外に出ていました。 
完成した巣穴にそのまま泊まるかと思いきや、身震いすると右へ立ち去りました。 
空腹になって採食に出かけたのか、あるいは体の泥汚れを落とすため水浴しに行ったのかもしれません。 
(アナグマの水浴シーンをいつか見てみたいものです。)

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
越冬に備えた穴掘り作業の一部始終を動画で記録できて大満足です。 
初めは2頭の幼獣が巣内と巣外に別れて分業していたのに、途中から役割を交代し、最後は単独での作業になりました。 
後半は母親♀も現れ、久しぶりに母子が一緒にいる様子観察することが出来ました。 

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